悪役令嬢になるかなるまいかっっ!!
自分が悪役令嬢とやらだと分かったあと、暫くの間は両膝と両手の平とついでにおでこが地面とお友達になって、母はオロオロし、執事さんが飛んできて、めちゃくちゃ心配されて、ベットに寝かされ、早翌朝。
あ〜〜…よく寝た!!!
あれよね。寝ないと頭回んないしね。
テスト一夜漬けで挑んで、テスト途中で寝たあの黒歴史…!!
ってのは、どうでも良くって!!
この先自分がどのポジションで行くのか考えていこう。
1. 悪役令嬢の仕事を全うし、国外追放。
2.それなりに悪役令嬢の仕事をしつつ、そこまで恨まれない感じでヒロインのエピソードクリア
3.一般令嬢になりきり、第二の悪役令嬢の出現に期待する。
ハイッ!! 考える事なく『3』1択!!!
なんで悪役令嬢とかしなきゃいけないのかな!?
平穏無事に人生終えたい!!
王子や騎士やら魔法使いのトップやら、あとなんだっけ…みんな名前がねぇ〜…出てこないのよ…なんかシャレた名前だったし…所詮アラフィフの記憶引き継いじゃってんだよねぇ〜…
ロイ様だけは、メインヒーローだったのよ。たしか。
でも私が好きだったのは騎士の…なんだっけ…ラ…なんか違うな…ロバートデニ…違う違う!ジョニーデ…絶対チッッガーウ!!あーもう出てこない!!
この知識の吸収スポンジ時期の今、もう一回あの本プリーズ!!!
「お嬢様!!? 大丈夫ですか?!」
両手で頭を抱えて記憶を掘り出していると、メイドのアナに声をかけられた瞬間、何事も無かったように、令嬢の顔に戻り、
「アナ?大丈夫よ!なんでもないわ?ノックもなしに珍しいわね?」
「いえ…何度か致しましたが、お返事がないので様子を見に入らせて頂きました…申し訳ありません」
「あら?ごめんなさい。考え事をしていたせいだわ。もう大丈夫!!元気よっ!!」
「頭を抱えていらっしゃいましたが…頭痛などは…」
見られてたかっ!!と思いつつ、テヘペロと、「髪の毛ぐちゃぐちゃになってたから、手で直してたの」そう言えば、アナはホッとした顔をして「只今クシを取って参りますね」と鏡台に向かった。
素直なアナに感謝しつつ、横文字の名前が思い出せない昨今、みなさんいかがお過ごしでしょうか……。私は異世界転生という流行に乗って、悪役令嬢になりま……せんでした!!!!!
アッブネ!!なんか脳内で現実逃避と謎の手紙を書いてたわ……。
ならないならないならないならないっ! 私は悪役令嬢にはなりません!
前世になぞって……バツイチはなぞらずに、幸せ一本! 平和で穏便に生きていきたいと思います!!そう脳内でもいい!!決意を述べるのはいいことだ!!ヒューゥ⭐︎
そんなこんな考えているうちに、あれよあれよと可愛い私の出来上がり。
アナ、優秀なメイドやでホンマ……。