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罠でワナワナした。



生徒会でみんなでお仕事中、もう少しで前世で言うGWのような連休があるので、少しウキウキと話をしながら資料を纏めていると、ロットさんがプリントをさりげなく追加してくる。


「あら?なんですの?」

「たいしたもんやないけど、サインしとって〜」

「そうなんですの?なんの…」

ユリエ…とサインをしかけて、半分に折られてた事に気が付き広げれば



『生徒会 立候補届』


と書かれていた。



「んんんっ!?ロットさんん!?」

「ちっ…気付きおったか!」

「危ないとこでしたわ!!確かに先日公示されておりましたけど、わたくし日陰の華希望ですのよ!?目立たず騒がず大人ーーしくです!しかもこんな事して引っ掛かる方いらっしゃいますの!?」

「引っ掛かりかけたやん」

「ユリエ…で止めたからセーフですわ!」

「引っ掛かったやつもおるで?」

「え?どちらに?」


ロットさんの視線の先を見ればアベイルさんが机で顔を伏せている。


「……悪徳商法ですわよ?」

「利益は出ぇへんから商法やないなぁ〜」

「アベイルさんファイトです!」

「そのアベイルをここに引き込んだのは誰やったかなぁ〜?」

「ぐぅ…!!いえ!わたくしは少しだけと言いましたわ!!有能さ故に捕まえたのはロットさん達でございましょう?」


バチバチと2人の間に火花が散る。


「…ふぅ。仕方ありませんわね…ここに記入を?」

「おっ!姫さんは話が早くて助かるわ!!」


サラサラとサインを始めれば、途中でその手を掴まれる。


「…何故姉さんは、僕の名前を書いてるのかな?」


見上げればシルクがこめかみピクピクとしながら話してる。


「だってアベイルさんに申し訳ないじゃありませんの!」

「じゃぁ姉さんの名前書けばいいだろう?」

「だってシルクがユリエルホイホイにかかっちゃダメって、黙っとけって言ったんじゃない!!」

「だからって勝手に僕の名前を書くのはちがうんじゃぁないかなぁ!?」

「じゃぁ書くわよ!?わたしの名前書いちゃうわよ!?いいの!?人前に出るわよ!!ウッキウキして友達作りに励んじゃうわよ!!?」


そう言いながらペンで書く振りをする。


「なんなのその脅し!?」

シルクはプリントを奪ってロットさんに返す。


「くっ、シルっくんがおらん時にやるべきやったな!」

「姉がチョロいの分かってそーゆーことするのやめてください!」

「ちょいとシルクさん!?わたくし酷いこと言われましたわよ!?」

「まぁまぁ、ちょっと落ち着いて。ロットもちゃんと説明してからじゃないとダメだろ?」


そのやりとりを見て、笑ってレイさんが仲裁に入る。


「そうですわよねぇ。アベイルさんも怒った方がいいですわ」

「それよりユリエルくん、この前の件でここにサインが欲しいのだけれど」


そう言ってプリントを挟まれたボードとペンを渡される。


「この前の件?あぁ、掃除の件かしら?わかりました」


サインをサラサラっとユリエル・セル…まで書いたところで、シルクに後ろから手を握られ止められる。


「姉さんがチョロすぎる!!!!」

「え!?まさかレイさんまでグルですの!?」

「なんで今の流れで疑わないのかなぁ!?」


慌ててペンから手を離してシルクの影に隠れれば、レイさんは爽やかに笑う。


「いやぁ惜しかったね」

「せやからシルっくんおらん時に言うてるやろ」

「でもほら、立候補なだけだから。他に候補が出て来れば受かるとは限らないだろう?気楽にさ」


その爽やかな笑みに、わたしもニッコリと笑って聞いてみる。


「ならわたくしが出まぁすっ!って立候補したらどうなさいます?」

「それは勿論全面的にバックアップするよ」

「受からせる気満々じゃありませんか!」

「うーん…ユリエルくんは厳しいか」

「冗談抜いてわたくしもシルクも厳しいですわ。今までみたいにお手伝い出来る時に〜なんて、我儘なこと通じませんもの。シルクにも都合がありますわ」


ドヤっと言えば、レイさんはちょっと視線を外して考える様子。


「そうだね…シルクくんも忙しいよね」


そう言って改めてニッコリと笑って、

「忙しいね、シルクくん。」


「はい。申し訳ありませんが…」


「半年」


「え…?」


「指導」


「…!!」

妙に焦ったように、ビクリとするシルク。


「レイさん…?何を…?」

そう少し青い顔でシルクが聞けば、申し込み書を口に当てて、

「お礼は記入するだけでいいからね」

そう爽やかに微笑んで言われると、シルクは何も言わずに吸い込まれるようにレイさんに寄り名前を書いた。


「え!?シルク!?なんで!!?」

「何も聞かないで姉さん。僕の先の見通しが甘かったよ」


遠い目シルク。帰ってきて!


「レイさん!?うちのシルクに何しましたの!?」

「シルクくんがやる気になってくれて嬉しいよ」

そう言ってレイさんは記入された申込み用紙を折り胸ポケットに閉まった。


ふらふらとリングサイドならぬ、ソファに座り、真っ白く燃え尽きたシルク。


真っ白く、まっしろく…まっしるく…。


「レイさん!マッシルクなるまで何を言いましたの?」

「姉さん上手いこと言わなくていいから!そして大丈夫!僕はやるよ!だから大丈夫!!大丈夫!!」

「大丈夫って言いすぎて、逆に大丈夫じゃない気がして来るけど、本当に大丈夫なの?マッシルク?」

「その呼び方気に入らないで…」


そんな折にノックの音と同時に扉が開く。


「シルクここに居たか、少し用が…何だ?」


全員がロイさんを見つめた事に、当人は眉間に皺を寄せた。


「ロイさん!!今はお帰りになった方が…!!ここは魔の巣窟ですわ!!?」

「何の話だ?」

「狙われておりますわ!」


思わず駆け寄りそう言えば、眉間の皺が深くなる。


「ロイさんは本気でお忙しいですから、生徒会には入れませんわ!!もし…ロイさんを入れるくらいなら、わ…わたくしが!!」


意を決して声を発せれば、開いたままの扉から声が聞こえてくる。


「ちょっと入口で何して…って、ロイ様!?し、失礼致しましりゃっ!」

「あら、ミラさん?どうなさいましたの?ま…まさか、わたくしに逢いに…!?」


胸をときめかせて言えば「何でそうなるのよ!」とツンを返された。ちぇっ。


ロイさんと扉の前を退くと、スタスタとレイさんの前に向かい、胸に手を当て、





「あたくし、ミラ・オーギュスト、生徒会選挙に立候補いたしますわ!!!」




そう言い切った。




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