輪廻転生ならジャパンで頼むし…
「ユーリ、お前は俺の婚約者だ」
「姉さんは僕が護るよ」
幼き頃に決まった婚約者、金髪の第一王子のロイに、銀髪の優しい義理の弟シルク。
「ふふっ、ユリエルくん。私は君の騎士だよ」
「なんや面っ白い姫さんやな!オレと一緒に商売しよか」
灰色の長髪をした麗しの生徒会長レイに、その幼馴染で商売人、緑に赤のメッシュ髪のロット。
「おぉ!!お嬢ぉ!!ワシの後ろに隠れておけぇ!!」
「ゆりえるさまぁ。ぼくの事お膝に乗せて?」
人一倍大きな体格でカラリ笑う真紅色をした逆立つ髪の先輩グラヴァルドに、ピンク頭で可愛らしく甘える小柄な後輩、天才カフィトル。
「あ、あの、ユリエルさん。ボクは…その…」
「あらやだぁユーリちゃん〜、ロイなんて捨ててウチにしない?」
青い髪で控えめな同級生アベイルに、黄色と茶のワンレンソバージュで女性の格好をした不思議なリラン。
「ユリエル様の為でしたらこのベレト!命を賭しても構いません!!えぇ寧ろ望むところです!!」
紫の癖のある髪を結び、ハァハァと手を合わせ悦びに打ち拉がれる教師ベレト。
「ユリエル、お前は我の元へ来い」
そして謎の金の目をした誘拐犯。
「エリューはクロモリが護る クロモリはその為にいる」
主人に似た黒髪黒目の召喚獣。
そんな色とりどりのイケメン達に囲まれて、主人公ユリエルは、
「あらまぁ、若いって素晴らしいわね」と、ただ若い子の幸せを邪魔せず、己の幸せな人生を生きていきたい。
悪役令嬢の強制力とか、その辺なんとかしながらも、婆心と共に今日も幸せに学園生活を送ります!!
「ふぇぇえぇぇぇんっ」
なんとも甘い可愛いこの泣き声
うちの子もこんな泣き声してたなぁとか懐かしくて、閉じた瞼を開いて見たけど、声の主は見つからなくて。
お母さんがもう抱きにいったのかしら?それでもすぐに泣き止むなんてなんていい子なの?
そんな風に微笑ましく考えても、泣き声はすぐ近くから聞こえたはずなのにそれっぽい子が見当たらなくて、思わず何かあったんじゃ…!?
そんな老婆心で声を上げて探そうとした瞬間、
「ふぇぇぇえぇえ〜」
って、これわたしの声かよ!!!!??
※※※※※※
ひとつ冷静になって思い返してみよう。
記憶にある限り、私は日本に生まれ、46歳子供2人、孫1人、順風満帆…とはいかないまでも、18で夫と出会い、21に結婚、翌年には長女、更に翌年には長男が生まれ、幸せいっぱい目一杯だったが、私が33で上の子が11の時に夫と離婚。
実家の両親と同居しつつ子供を育て、長女も21で結婚。翌年には孫も産まれて万々歳。しかも孫が生まれるのと同じ頃に長男も結婚。
そんな折、私が病魔に侵されてる事が発覚。
気付いた時には余命幾ばくも無く、せめてもと子供や孫と時間を過ごし、少し頼りないけど優しい長男に嫁を大事にと釘を刺し、お嫁さんにもお願いと御礼を伝えて、少しだけだけど、保険金も残して、家族に見守られ旅立った。
苦労がなかった訳ではないけれど、親や友にも恵まれ、少し早すぎる人生や、なにより親より先立った後悔はあるものの、トータルすればめちゃくちゃ幸せな人生でした。
完。
……だからさ、もうある意味一周して、おむつ変えられるとか、ミルク飲まされるとか、もうその辺はどうでも良くて。
ほら、生きてたらそのうち介護されるとか考えちゃう歳だったし?プライドとかもういいよね。みたいになってくるわけよ。
あとは記憶にある私より、めっちゃ若い優しいお母さんにめちゃくちゃ蕩けるような笑顔向けられたり、子供だからわかんないとか思って、めちゃくちゃラヴラヴ〜な両親とか、我が身思い出して痛すぎたりするのもなんとか堪えられるけど、
とりま…ここどこっ!!!?
ってなってる訳で……。
明らかにヨーロピアン的な家具と、貴族っぽい雰囲気。
日本でそうナチュラルに聞いた事ないメイドさん。
これが某エツコさん的な家政婦さんならなんとな〜く納得しちゃうかもだけど、ママさんの頭は金髪だけど、瞳はブルー。それはいいけど、パパさんの頭はグリーンで目もグリーン。
メイドさんは赤茶の人や、お祝いに来る人もなんて色彩豊かなカラーリング!!
これはアレかな……嫁に行ったけど置く場所ないからって持っていかず、娘の本棚に並びまくってる……、
異世界転生とかってやつだ!!!
てかお母さん子育て終わって暇出来たから読んでたからね!!
元々本好きゲーム好きだし、だってそこにあったから!
こんなところで自己確認は終了かな……。
とりま……孫に会いたい。