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二章「二人の新婚生活」7

 やって来たのは近所の商店街。


 品揃えの面からしたらバスで郊外のイオソやサトーヨーカドー行った方がいいのだろうが、帰りの荷物が大量になることを考慮すると近場の方がいいだろうということになった。


「ここの商店街はあまり変わってないな」


 金物屋や布団店がこのご時世で商売しているのは物珍しさを覚える。


「そこがいい所でもあるわよね。私、お気に入りの雑貨屋さんあるからそこから行ってもいい?」


 七海さんの先導についていく。


 こういうのってデートみたいでわくわくするのよな。


 って、デートしたことないけど。

 これはデートに入るのか? いや、買い出しか? 


 どっちでもいいや、こんなに楽しいのだから。


 七海さんのおすすめの雑貨屋さんに入店する。


 オルゴールのBGMが流れる店内。そこそこ賑わっていて品揃えも豊富である。


「ここは輸入雑貨も取り扱っててなかなかセンスもいいのよ」


 ふふんと大きな胸を張り、勝ち誇ったような表情をする。


「確かにお洒落な小物が多いな。こういうティーカップで飲むと美味しんだろうな。ちなみに七海さんの予算はおいくら」

「そうね。二万円ってところかな? それだけあれば十分でしょ」


「そうだな。俺もそれくらいを上限にして選ぶかな」


 二人して食器を選び始める。


「……」


 七海さんの視線がとある所で止まる。


「このマグカップ欲しいのか?」


 俺が指さしたのはペアのマグカップ。

 二つ合わせるとハートの形になるのだ。


「勇也がどうしてもって言うならそれにしようかしらね」


 と、俺の返事も聞かずにうきうきでマグカップを手に取る七海さん。

 俺の自然とにやけ顔になっていた。

 



「まだこの店だけじゃあ買い足りないから、ちょっと歩くけどイトリに行くか」


 そうして、俺達は『お、手頃じゃん』でお馴染の家具屋に向かったのだった。


「買うのは大学の参考書入れる本棚と家電製品ってところか」


「その他にも調理器具も欲しいわね」


「十年前のものより便利になったのたくさんあるしな」


 俺達は店内を見て回る。

 今更だが食器もここで良かった気もするが……。

 ゼアァ! 七海さんの好きなものを選べたんだからそれでいいだろう。


「本棚はこれくらいのサイズでいいわね」


「え? そのくらいの大きさでいいの? 四年間分でしょ」


「単位とってしまえば使わない参考書がほとんどだからね。今あるのも先輩から貰ったものがほとんどだし、後輩にあげるつもりよ。あとは即ブックオブ行きね。春休みとかは買取価格が下がるくらい増えるのよ」


 と、軽々しく組み立て式の本棚が梱包された段ボールを持ち上げる七海さん。


「俺が持つよ」


「あら、ありがとう。か弱い乙女には少し重かったわ。代わりにカゴ持つわ」


 やべぇ……結構重い。鍛えてるんだけどなぁ。


 レジで会計を済ませて家電製品や本棚は後日配送してもらうことにした。


「これくらいなら運んで帰れるじゃないのか?」


「この距離を運ぶのも結構疲れるのよ。それにこのあと夕食の買い物したいからね」




「勇也は何が食べたい? 好きな物作ってあげる」


 スーパーでカートを押していると七海さんが自信あり気な顔で聞いてくる。


 あれから料理の勉強も真面目にしているみたいで毎日違うメニューが出てくる。


「好きな物か。かつ丼だな」


「かつ丼ね。勇也がいかにも好きそうね」


「名前にかつって言葉があるだけで気に入ってるぜ。ヴィクトリー!」


 次々と食材を入れる七海さん。

 調味料なども購入してカートが一杯になってきた。


「あっ……お会計どうしよう。私、実家でお小遣い貰ってる立場だったからお金あまりもってないんだよね」


「しばらくは俺がアメリカで通訳のバイトして貯めた貯金があるから大丈夫さ。それにしても今後のこと考えるとバイトしなきゃな」


 食費だけでも倍になると思えば結構な金額になる。

 最悪、父さん名義のクレジットカードが使えるが結婚しておいて親の脛をかじるのは避けたいところだ。


 とはいえ高校生でバイトは日本だと中々厳しいと遼が話していた。

 都合よくバイト転がってないかなー。

 なんか近いうちに見つかりそうな気がしているのはなんでだろうな。


「私は大学生なんだしバイト見つかりやすいから探してみるよ」


「えー、でも七海さんの方が家事の負担大きいからあまり無理はして欲しくないなぁ」


「ありがと。でも支え合っていくのが夫婦だと思わない」


「そうだな。自分達の出来る範囲のことを増やしていこうな」


「おー!」


 元気良く拳を掲げる七海さん。

 ちらりと見えたおへそが素敵だった。




   ◇




 ピンポーン。


 玄関のインターホンが鳴る。


「ありがとうございました」


「七海さん。イトリから荷物届いたよ。さっそく組み立てるか」


 梱包を開き部品を取り出す。七海さんも隣に座り説明書を覗き込む。


「手伝うわ」


「じゃあここを抑えててくれ」


 なんか楽しい。


 何気ない日常の一時も七海さんといるだけでキラキラと輝くのはなぜだろう。

 こうして二人の新婚生活は続いていくのだった。


ブクマありがとうございます。

次話から三章が始まります。

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