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二章「二人の新婚生活」6

 今日の晩御飯は豚キムチチャーハン。


 次の日は納豆チャーハン。


 その次は高菜チャーハン。


「七海さん……もしかしてチャーハンしかレパートリーないの?」


 台所に近づくと怒るから料理の工程は見れないが疑惑は確信に変わりつつある。


「ぎくり。そ、そんなことないわよ」


 これでもかというくらい目が泳いでいる。自由形である。


「今日はチャーハンじゃないから。ほら」


 出てきたのはチキンライス。あ、これ、チャーハンにケチャップ足しただけだ。


「……」


「……」


「えぇ! そうよ! 料理なんてやったことないからチャーハン以外レパートリー何てないわよ! ぷんすかぷーんよ!!」


「そんな可愛く激高されてもなぁ……なんで料理を任せて何て言ったんだ?」


「料理が出来る素敵なお嫁さんだと思われたくて見栄を張ったのよ! どうしても勇也に好かれたかったの」


「そうだったのかよ。別に料理が出来ないからって幻滅しないのに。出来ないことがあったら二人でなんとかしようぜ。俺達夫婦なんだからさ」


「勇也がどうしてもっていうならそれでもいいけど」


 ぐっ、上から目線の言い方が気になるがここは食べさせてもらっている俺が折れるべきだろう。


「お願いするよ。じゃあ明日は二人で夕食作ろぜ」




   ◇




 いざ進めやキッチン。目指すはじゃがいも。


 コロッケは上級者向けなのでカレーライス作りが初めての共同作業です。


「でも作り方わからないし」


「携帯で調べればいいだろ。材料もレシピ通り揃えたし」


「なんかそれずるくない? 自分の実力じゃないというか」


「俺達は元々実力ないだろ。学校の勉強だって参考書みたり過去問といて解き方覚えるだろ。それと似たようなもんだって」


「例えが上手いわね。それなら納得だわ」


 ということで二人で試行錯誤した末にカレーライスが完成した。


 やっとチャーハン以外が食べれる……。


「ごちそうさまでした」


 カレーライスの味は上々。だがまだまだ改善の余地はありそうだ。


「なるほどね。こうやって料理のレパートリーを増やしていけばいいのね。やっぱり料理はお嫁さんの仕事。これからも私に任せて欲しいわ」


「そういうと思ったよ。……これ、プレゼント」


「開けてみていいかしら。わぁ、エプロンね」


 七海さんはフリルのついた純白のエプロンをさっそく身についてくるっと身を翻している。

 一緒にスカートも翻り純白のパンティーと相まって最高だぜ。


「大切にするわ。旦那様」


「そうだ明日の朝は味噌汁が飲みたいな。アメリカだとなかなかお味噌が売ってるところなくてさ。奥さんの味噌汁を是非食したいです」


「もしかして毎朝、お前の作った味噌汁が飲みたいぜっていう常套句(じょうとうく)に憧れてるの? いいわよ。明日の朝楽しみにしててね」




   ◇




翌日。

朝食にはごはんと納豆、味噌汁。要望通りだけど育ち盛りには物足りないぜ。


朝は時間が無いし七海さんは味噌汁に全力を注いだのだろう。どれどれ。


「うっ、もしかしてこれお湯を味噌で溶いただけ?」


 まずい訳ではないが想像してた味ではない。具も入ってないし。これは味噌湯だ。


「え? 違うの?」


「出汁をとったり、具材を入れたりしないと味噌汁とは呼べないぜ」


「悔しい。勇也に認められたい。明日こそはちゃんと作ってあげるわよ。だって私はあなたのお嫁さんだもの」


「うん、頑張って!」


 照れながら微笑む七海さん頭をなでる。


「うっひょーい! 七海がんばりゅ! 勇也しゅきー!」


 こうやって少しづつ夫婦になっていければいいなと思うこの頃である。




   ◇




 学校から帰ると七海さんが居間でノートパソコンでなにやら入力している。

 剛力にはそぐわず優しいブラインドタッチである。


「宿題でもやってるのか?」


「そ。週明けまでに提出しないといけないレポートがあってね。むむ、この方程式は……参考書見ないとわからないわね。あーでも今計算している式を終わらせたい」


「俺が取ってこようか?」


「お願いしてもいいかしら。量子力学って書かれた黄色い本なんだけど。大学の教材まとめた箱に入ったままだと思うから」


「了解」


 一人っ子で育ってきたため、我が家には子供部屋が余っている。


 二階にある俺の部屋の向かいの部屋を七海さんの部屋ということにした。


「失礼しまーす」


 まだ整理できてないみたいだ。家事とか忙しい思いをさせちゃってるからなぁ。


 殺風景な部屋の真ん中に平積みにされたままの箱を探す。


「……一番最初に下着類のケースを引き当ててしまう自分のエロスよ」


 好きな異性の物はなんでも気になっちゃう。十代の性欲舐めんな。


「パンティーってこんなに小さいんだな。そのわりにブラジャーはでけーのなんの」


 ちゃんと上下揃えるんだなぁ。

 そろそろ真面目に本を探さないとなぁ。

 その前にもう一組じっくりと見たい。


「……ふぅ。さてと、教材の箱は……これか」


 箱を開けると結構な数の本が。お目当ての本を見つけてパラパラと捲る。

 なるほど、わからん。


 記号と数式の謎の文字列が並んでいる。

 もしかして、七海さんあんな感じでめっちゃ頭いいのか? 

 ゴリライモ女だと内心バカにしてたわ。


「この本でいい?」


 居間に戻り分厚い参考書を手渡す。


「ありがとう。ふんふん、なるほどね。勇也のおかげで次のステップへ進めそうだわ」


「どういたしまして」


「ちょっと休憩にするわ。勇也もお菓子食べない?」


 七海さんは屈んで手を伸ばしてコンビニ袋に手を伸ばす。


「それじゃあいただこうかな」


 はい、いただきました。

 真正面からだと谷間がはっきりと見えた。あのサイズのブラとおパンティー身に着けてるんだよな。


「さっき部屋にお邪魔したんだけどさ、七海さんの荷物ってあれで全部?」


「そうね。最低限必要な物を持ってきた感じかしら」


「ちゃんと家から机とか私物を持って着た方が良くない? 引っ越しなら手伝うからさ」


「あー、それもそうね。そこらへん考えてなかったわね。勇也の家に嫁ぐことしか考えてなかった」


 ちろっと舌をだしてウインクする。可愛いので頭をなでなでする。


「うっひょおおおー! でへへえへ。私は勇也がいれば幸せですぅ~」


「引っ越しついでに七海さん専用の物を買い揃えないか?」


 来客用のコップでお茶を飲む七海さんが気になっていた。


「私専用の?」


「七海さんもこの家の家族なんだしさ、七海さんの用の食器とか揃えてもいいんじゃないかな?」


「それもそうね。だったら勇也の分も買い換えない? さすがに小学生の時に使ってた茶碗だと小さくない?」


「確かにな。箸とかもこの際に新調してもいいかもな」


「決まりね。今度の休み買い物に行きましょう」


 こうして新生活に伴う準備のために出かける俺達であった。



ブクマありがとうございます。

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