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一章「運命の出会い」1

よろしくお願いします。

ブクマ、評価お待ちしております。

 日付が変わった。十八歳の誕生日。俺、旗井(はたい) 勇也(ゆうや)は大人になったのだ。


 即座に家を飛び出す。


 そして、決闘の舞台――杉野公園。通称スギコーへ辿り着いた。


 十年前。俺はここで決闘をした。


 勝負は引き分け。


 そして、今宵再び決闘をする。


「って、寒っ、何か羽織ってくれば良かったな」


 四月の真夜中零時は肌寒い。一旦家に帰ろうか。


 てか、十年経ったトーマ。より化物になってたらどうすんだ。


「……って、いかん。気持ちで負けてどうする。ゼアァ!」


 修行で身についた謎の気合いを発する。


 腕組みをして来訪者を待つ。公園の街頭の明かりが寂しく俺を照らす。


 ……。


「き、来た!」


 人影がこちらに近づいてくる。


「えっ……」


 わずかな月明かりでも煌めく漆黒の長い髪、風になびき小波を立てて舞う。

 口元を三日月にして微笑む整った顔立ち。長い睫毛が印象的な大きな瞳、

 程よく引き締まったウエスト、服を押し上げているバスト。おっぱいでけー。


 一目で彼女だとわかった。


 どうして彼女がここに?


 二度目の偶然は出会うべく出会った必然に思える。


 運命の相手。


 鼓動が高鳴るのを抑えられない。


「……綺麗」


 そんな俺の動揺など知らずに彼女はゆっくりと歩きながら空を見上げて呟く。


 視線の先を追うように空を見上げる。


「なるほど、綺麗だ」


 雲一つない夜空には星が無数に輝いている。まぁ、目の前の子はそれ以上に綺麗なんだがな!


 そういえば目の前のことに囚われすぎて空をしばらく見ていなかった。


「きゃっ」


「いて」


 上を向いていた彼女は目の前に俺が居ることに気づかずにぶつかってきた。


「ごめんなさい。私、前をちゃんと見てなくて。まさかこんな時間に人が居るとは思わなくて」


「いえ、こちらこそすみません。どこか怪我してませんか?」


 俺が尻餅ついているのに彼女は平然とした顔で立っている。

 ……結構な勢いでぶつかったぞ。フィジカルつえー。


「ええ、大丈夫。……さぁ、立ち上がってくだ……うおおおおおおおおほほほほほーい!」


 差し伸べられた手を握った瞬間、奇声を発した。


 思わず手を引っ込めると元の勝気な表情に戻る。……なんだったんだ今の反応。


「この私の胸のトキめき。そしてその右腕の傷……間違いない。君、ユーヤでしょ?」


「へ? 確かに勇也だけど、どうして俺の名前を知っているんだ?」


「やっぱりユーヤだったんだ。この前、駅で会った時にもしかしてとは思ったんだけど。久しぶりー。小学生の時以来だよね」


 胸の前で小さく振る彼女。

 ん? 小学校の時以来?


「ちょっと待って。俺とあなたは以前に会ったことがあるのか?」


「えーひどくない? 私、君に傷物にされちゃったんだけど」


 口を尖らせて拗ねた表情を浮かべる。表情がはっきりと変わる人だな。


「そんな! 俺はまだどうて……こほん」


「えぇ、そんな意味で言ったわけじゃあ。私だってまだ……わー今のなしっ。違うの、これ、見てよ」


 彼女は前髪を掻き上げて顔を寄せる。


 とてもいい匂いが鼻腔をくすぐる。

 てか、近い。肌きめ細やかだし白いな。その分額の傷が目立つ。ん? 額の傷?


「んん? この額の傷……何でついたんだ?」


 傷口をそっとなでる。


「のほほほほぉおぉぉん!! 見てって言っただけなのに気軽に触らないでよ!! こっちにも心の準備があるんだからぁ!」


「す、すまん」


 急にアクセル全開のハイテンション。呼吸が乱れるほどに取り乱している。


「それになでるなら頭をなでなでして欲しいなあ。こほん……この傷は君との決闘で傷を負ったのよ」


「決闘? 俺が? んん?」


 後にも先にも俺が人生で決闘した相手は一人しかいない。


 改めて彼女の顔を見つめる。

 この憎たらしくも勝気な表情……どこかで。


「……………………トーマ?」


 んな訳あるか。トーマは男だろ。こんな美女な訳あるか。あはははは。


「あはははは」


「やっと思い出してくれた。トーマ。貴方達が西区の化物と呼んでいたトーマよ」


「あははは、はぁ?」


 え?

 ええ?

 えええ?


「トーマって女だったのかー!!!」


 なんというベタな展開。


 運命の相手は因縁の相手でした。


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