64話 逆鱗
最近投稿できず申し訳ありません。
先週ワクチンを接種して、特に副反応の発熱などはなかったのですが、腕が痛かったり、時間がなかったりして書けていませんでした。
来月に２度目の接種があるのでまたそのあたりで更新が遅れるかもしれません。
64話 逆鱗
ドラゴンは怒りが限界に達すると、体中の鱗が逆立つ、逆鱗と呼ばれる状態になる。
逆立った鱗は先端が尖っているため、安易に攻撃すると逆に傷を負ってしまう。
また、鱗を飛ばしたり、鋭い鱗をぶつけるように突撃したりといった、非常に強力で厄介な攻撃をしてくるようになる。
「グガアアァァァァ！！」
響くような大音声の咆哮をあげてドラゴンが突撃してくる。
「限界突破！オラァァ！！」
だが、逆鱗状態のドラゴンの突進をグレンは限界突破の膂力で正面から受け止めた。
「ガアァァァァ！！」
「らァァァ！！
ぶつかりあった状態から雷魔法で電気を流し、痺れた隙に地面へと叩き落とす。
「雷連鎖！」
この雷魔法は敵に直撃すると連鎖するように広がって多段ヒットし、その全てに爆発の追加攻撃が乗る。
ドラゴンが抜け出すまでの数秒間の攻撃で背部の鱗の半数ほどが剥がれ落ちた。
「ギャオオァァァ！」
咆哮をとともに羽をばたつかせて逃れる。
だが、ドラゴンがその集中攻撃から抜け出した後も形勢は変わらなかった。
ブレスを放つフリをして突進攻撃をしたり、予備動作なしでブレスを撃ってきたりと色々と変化を加えているが、突進はグレンが正面から受け止め、ブレスはマリベルが相殺するというように、完全に押さえ込んでいた。
「グラァァァァ！」
全身の鱗が魔力を帯びて赫く光り、身体から剥がれて空中に浮かぶ。
ドラゴンの最後の切り札とも言える攻撃の鱗飛ばしだ。
鱗がなくなるのでその後の防御が脆くなってしまうが、この攻撃はブレス以上の破壊力を持つ。
「ゴアァァ！！」
膨大な魔力の込められた鱗が一斉に射出された。
一つ一つが大魔法並みの魔力を持つ龍鱗が100個以上、まさに必殺の威力を誇る攻撃だ。
ここにいるのが3人のSランク冒険者たちでなかったら。
「大爆発！」
「サンダープリズン」
「影の加護」
マリベルの爆発魔法が大多数の鱗を相殺し、グレンとエイルの結界が残った龍鱗のダメージを軽減する。
ここまでしてもそれなりのダメージが残ったことからこの龍鱗がどれほど強力だったかうかがえる。
だが、もうドラゴンに手は残されてきなかった。
「ギュゥゥゥ」
結界から出てきた3人を見て恐れるような表情を浮かべて後ずさる。
その時、漆黒だった体の色がスゥっと消えていき、数秒後には緑色の体躯に黒眼のドラゴンとなった。
そして、ヴァンパイアの「足止めをしろ」という命令を無視して逃げるように飛び去っていった。
「追った方がいいかしら？」
「いや、もういいだろう。それより天輪花を集めてフリージアのところへ行こう」
グレンはあのドラゴンに何が起きたのかを正確に理解していた。
体色が戻り、ヴァンパイアの命令を無視した、つまり、眷属化が解けたのだと。
天輪花を予備も含めて5本ほど拾うと、フリージアたちのいる方向に向かって山を降りていった。
逆鱗はしばらくすると全て抜け落ちて、再生するのにかなりの時間がかかるため、本当に危機的な状況に陥らない限りドラゴンもあまり使いたくない手段という設定になってます。
