52話 最後の話し合い
ついに授業始まってしまいましたが、今後も毎週更新が続けられるようにしたいです。
52話 最後の話し合い
グレンの元同僚で現Sランク冒険者のエイルさんが入ったおかげで、Sランクが4人という大戦力のパーティーになった。
それに、エイルさんは騎士団時代には偵察をしており、今ではソロで冒険者をしているだけあって、偵察だけでなく攻撃やタンクなど、なんでもこなせるオールラウンダーらしい。
ただでさえ頼もしかったパーティーが更に頼もしくなった。
これならどんな相手だろうが負ける気がしない。
「これから訓練場行くんだろ?俺が加わったことで色々変わるだろうし、連携の再確認しようぜ」
「魔力が0‥‥?」
エイルさんの告白に呆然としてしまう。
「そ。俺は生まれつき魔力がないんだ。レベルが上がってもそれは変わらない」
ほとんどの人が魔力を僅かにでも有している。魔力を完全に持たない人は国全体でも数十人程度しかいない。
まして、一流の冒険者になれる人などエイルさん以外いないだろう。
「だけど、魔力が完全にないってのも悪いことばっかりじゃないんだぜ?魔法に依らないスキルは問題なく使えるし、なにより魔力探知に引っかからないのが大きい」
実際に俺の魔力探知では探知することができなかった。
エイルさんが気配を完全に遮断して奇襲してきたら、俺にはどうしようもないだろう。
「俺のエクストラスキルは「影支配」だ。その名の通り、影を利用して攻撃したり、影に潜ったりすることができる」
「魔力がなくても使えるんですか?」
「使えるぜ。制限も少しはあるけどな」
使う技によっては気力や体力などを消費するものや、時間制限のあるものもあるらしい。
魔力探知に引っかからない隠密能力と、影支配による火力と汎用性とを組み合わせた隙のない戦術だ。
「天輪花を手に入れるのはできるだけ急いだ方がいいんだろ?予定通りに明日出発にしようぜ」
「俺もそれでいいと思う。天輪山に行くには闇魔の森を越えなければならない以上、ドラゴンと戦うまでにエイルとの連携も慣れるだろうし」
天輪山の周りには闇魔の森と呼ばれる、これまた強力な魔物たちが跋扈する森がある。
昔、この地で天使と悪魔が争い、相打ちになった。
その時倒れた天使が天輪山になり、悪魔が闇魔の森となったと言われている。
これが真実なのかは不明だが、天輪山は神聖な魔力に、闇魔の森は邪悪な魔力に包まれており、そこにいる魔物の性質も異なることは事実である。
天輪山と共に闇魔の森も危険区域として封鎖の対象となっている。
「闇魔の森の魔物たちもかなり強力よ。気を引き締めてかからないとね」
「そうですね。目標達成を目の前にして気が緩むことのないようにしたいです」
その後、闇魔の森や天輪山での戦いについて戦法を立て、今日は休むことになった。




