44話 爆弾魔 マリベル
44話 爆弾魔 マリベル
爆弾魔マリベル。
グレスト王国で活動するSランク冒険者の1人で、その二つ名が示す通り、彼女は爆発系の魔法を得意としている。
「あら、私のことは炎の魔女「フレアウィッチ」と呼びなさいって言ったでしょう」
「炎の魔女なんて可愛らしいもんか。せめて、ギルドの設備を壊すのくらいやめてから言え」
「ロックされてたんだもの。仕方ないでしょう?」
訓練場の扉は先程の爆発によって崩壊している。
魔術保護がかけられている訓練場の扉を簡単に爆破するとは、爆弾魔と呼ばれるに相応しい実力者なのだと認識させられた。
「それで、その子がグレンとパーティーを組んだっていう子かしら?」
「は、はじめまして。フリージアです」
相手がSランク冒険者というだけでなく、その身に纏うオーラに圧倒されて緊張してしまう。
「ふふっ、可愛い子ね。私はマリベル、『フレアウィッチ』のマリベルよ。よろしくね」
「よろしくお願いします」
爆弾魔という二つ名が好きでないのだろうか。
迂闊に口にしないように気をつけよう。
「それより、あなたたち困ってることがあるみたいね」
「‥‥望みは?」
「もちろん、グレンとバトル‥‥のつもりだったけど、気が変わったわ。フリージア君に相手してもらおうかしら」
マリベルさんは、ぺろりと舌なめずりして妖艶に微笑みながら言う。
だけど、その妖艶さの中になぜか、獲物を前にした獣のような獰猛さが見えた気がした。
「どうしてフリージアなんだ?」
「なんとなく気になったからよ。それで、どうするの?」
「僕でよければお願いします」
元々、天輪花を必要としているのは俺なのだから、断るはずがない。
それに以前にもグレンと話していた通り、他のSランクの冒険者と戦える経験はとても貴重なものだ。
こうして、急遽マリベルさんと戦うことになった。




