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第七話 「とある冒険者の悪夢」

明けましておめでとうございます。

ダンジョン生成から十三日目。







ーーイルキシュア王国王都、リンデラにてーー




王城から一直線に通ずる石畳の大通り。カラナ通りと呼ばれるその通りを僕は歩いていた。


カラナ通りは王都の南口までずっとずっとその広さを変えず、またいくつもの脇道を抱えているこの王都で何より有名で、最初に対面するはずの名物。


王都へ入るための検問をする南門はカラナ通りに面しているし、そもそも横幅二十メートルの通りだ。目につかないはずがない。


そしてカラナ通りが他国にまでその名を馳せるもう一つの理由、それは圧倒的な店の数。僕もこの都市に来た時の気持ちはずっと忘れられないと思う。

だって、1キリメータル(km)の道の両端全てが露店などの店で埋まっているくらい多かったから。加工済みの食材ーー焼いた肉とか、お菓子とかーー、野菜やお肉、宝石、本、武器防具と、とにかく目につくところはみんなお店だった。


他国から来た商人が、王都民が。行く人来る人、売る人買う人。

活気と笑顔の絶えない、そんな都市。




今は太陽が空の頂きに差し掛かる時間で、この季節で一番過ごしやすい時間だ。


僕は南門へと歩きながら地図を見る。僕が唯一持っているダンジョンマップは、イルキシュア王国付近のもの。


ダンジョンクリスタルの製造元であるだけにこの国のまわりには沢山のダンジョンがある。

それは魔物がいる王道なダンジョンだったり、採掘用のダンジョンだったり、はたまた遊べるようなダンジョンだったり。ダンジョン区画、なんて呼ばれる土地が作られてしまうほどだ。


さて、今日はどのダンジョンに行こうか。


僕はしがない冒険者。ダンジョン攻略を仕事にしていて、倒した魔物の素材や採集したものを売って生計を立てている。

この都市に来たのは約三年前で、それからずっとこの冒険者という職業だ。ランクはこの春シルバーに昇格したばかり。受けられるクエストの幅が広がったおかげで前よりも断然お金が稼げる。


まだ信頼できる仲間に会えていないためパーティーは組んでいないけど、僕は様々なダンジョンに行くから、それも仲間に制限されなくて丁度いい。特に最近は出来たばかりのダンジョンを見に行くことにはまっている。

そういったダンジョンなら利用料は安いし、何より自分が利用することで助けてるんだって気分になれるし。まあ偽善だとか自己満足な考え方だけど、実際人の役に立っていて客観的に見れている分まだましだと思う。


んと、これは始まりのダンジョンか。

王国の南側の平原にあるダンジョンが気になったからタップして情報を呼び出す。

作成から十二日、ダンジョン評価値が五千、人気度はゼロ……。

なんか、大分アンバランスな数値だだ。人気度ゼロ(前の日に誰も来ていない)は作ったばかりならしょうがないとして、称号が始まりのダンジョンの状態で評価値五千というととんでもない魔物がいるか、魔物がいっぱいいるかってことになる。

けど魔物の数を増やすにはダンジョン強化が必要で、ダンジョン強化されているなら始まりのダンジョンではないはずだから後者はありえない。


ここにしよう。

幸い昨日の稼ぎはいつもより良かった。今日何も稼げなくても何も問題はない。


仲間がいないと気楽で良いな、僕はそんなことを考えながらカラナ通りを南へと下っていった。













始まりのダンジョンに相応しい、あの岩の入り口に入って階段を降りると、左右に道が分岐していた。しかし、どちらもすぐ突き当たりで左なら右へ、右なら左への通路があるようだった。


僕は始まりのダンジョンならどちらにいっても大して変わらないと思い、取り敢えず右の通路へと足を進める。


始まりダンジョンの床と壁の材質は土、明かりは五メータルごとに壁についている松明のみ。

天井が異様に高かったり低かったりすることはないし、特殊な装飾や木、水がある訳でもない。


僕は三年前初めて訪れた始まりのダンジョンを思い出しながらざっざっと歩く。

持ち物はバッグと剣のみ。腰に下げた剣にいつでも手をかけられるようにしながら角を曲がると、また先に突き当たりが見え、左に続いていた。


おそらく階段を降りてすぐの左の通路も同じようになっていて、通路が四角を描くように繋がっているのだろう。始まりのダンジョンでは通路の距離や部屋数が少ないししょうがない。


二つ目の突き当たりを曲がると、案の定向こうは突き当たりで左に曲がれるようになっていた。やはり四角の通路だった。僕は三年という時間が身になっているのに嬉しさを感じながら進み、左の壁の途中にある扉の前に立つ。


無いとは思うけど、一応罠の確認だけしてから開いた。木の扉は軽くあき、小さな部屋が見えた。


始まりのダンジョンのダンジョン評価値を五千にまで引き上げる魔物。僕は胸を躍らせながら足を踏み入れる。


しかしながら部屋に居たのは一体のスライム。青い粘液の塊でしかないあのスライムだ。

至って普通。大きさも、気配も。今の僕なら剣の一振りで切り捨てられるだろう。


がっかりした僕は剣を抜いて無造作に近づきーー


次の瞬間、悪夢を見た。




中途半端で申し訳ないです。明日も投稿予定です。

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