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第十一話 「目に見えた成長」

今日もう一話投稿します。






レヴィが初めてダンジョン強化をした日から七日後。あれから数体魔物を増やし、そのお陰でダンジョン評価値が上り、入場料が増加、ダンジョン強化でまた評価値が上がり、というループで日々レヴィのダンジョンは成長していた。



現在の評価値は7000と少し。一層しかない始まりのダンジョンにしてはとても異常な数値だ。

普通の始まりのダンジョンが頑張って1000に達するかというくらいで、7000は三層程度ないと厳しい。

因みに一番ダンジョン評価値が高いダンジョンは、王都にある(・・・・・)[原初のダンジョン]である。作者不明とされているが、最古のダンジョンなのだから大方想像はついてしまう。



毎日リアの抱き枕にされながら寝るベッド、例の椅子、それから新しく買ったリア用の椅子が置かれた少し狭く感じる多目的室で、レヴィは緊張した顔でパネルを見つめていた。


「あと一人、あと一人……」


パネルに表示されているのは、[層追加]のページ。必要G:30000 の隣に赤文字で28973G と書かれていて、レヴィが睨んでいるのはそれだ。



部屋数が合計五つに増加し、通路の距離も長くなり、魔物もライルを含め六体。よくもまあ、と思うほどの成長具合である。

実際ライル以外は強くないーーというか普通の魔物のため冒険者に倒されるし、接戦で勝つこともある。勿論魔物が落とした素材持って出て行く冒険者はほくほく顏で、リピーターも何人かいた。


ライルが強いのは良いが、やはり冒険者もお金を稼ぎに来ている、ということをしかと学べたとレヴィは思っている。


因みにレヴィがこの七日間で行った強化は、七日前のも含め[部屋追加]を五回、[通路五メートル延長]を十回だ。始まりのダンジョンで出来ることはまだ全然少ないから、これくらいでも十分だろう。



そして遂に今日、レヴィは二層を追加することにした。

ダンジョン育成はここからが本番といっても過言ではない。というのも、ダンジョンにはそれぞれ[始まりのダンジョン]や、[原初のダンジョン]といった具合の[称号]がついている。


称号はダンジョンマップに表示されるため冒険者の物欲を刺激しやくなったり、何より称号に応じた強化が可能になるのだ。

称号はダンジョン強化の程度、配置されているモンスターの種族、立地などで左右される。

そしてその称号に関する強化のことを[専属強化]と呼ぶ。


森や自然に関するものであれば蔦や草木を話したり、水であれば湖や池をつくったり。また、水棲魔物に対するバフ、などもある。

一層だけのダンジョンは必ず[始まりのダンジョン]になるため、称号が変化する二層からがダンジョン育成の本番というわけだ。




「坊っちゃま、もう少し落ち着きましょう?」


そわそわと聞こえてくるくらい落ち着かずに動いているレヴィを、リアは頭を撫でてあやす。


「う、うむ……」


レヴィもまだ子供、それで止まるはずないが気持ち静かになりはした。ただその瞳は爛々とパネルを見つめている。


今の利用料は1500G。キリの良い数字なのは、レヴィが端数を嫌って調整したためだ。とはいってもレヴィだけでなく殆どのダンジョンの管理者はそうしている。


因みにこの世界でのお金は100Gの銅貨、1000Gの銀貨、10000(一万)Gの金貨、100000(十万)Gの純金貨、1000000(百万)Gの白金貨、10000000(千万)Gの純白金貨があり、一般的に流通しているのは上から三つ。純金貨より高価なものは、それこそ貴族や商人の間くらいでしか使われない。


物価はパンが銅貨一枚といったところか。大人が腹を膨らせる量の食事には大体銀貨一枚あたりが必要である。

それを踏まえれば始まりのダンジョンの入場料1500Gが高く感じてしまうが、実際魔物の素材は一つで金貨に届くほどの価値があるものもあるし、鉱物や薬草の類も取引相手次第でそれくらいで売れてしまうため冒険者は金貨でも躊躇いなく払うことが多い。





レヴィが待ち始めて数十分後、遂にパネルの文字が切り替わった。


必要G:30000/30473


「おおっ! リア!」


嬉しそうな顔で振り向いたレヴィに、リアは微笑みで返す。


「おめでとうございます、坊っちゃま」


「うむ! リアとレアルが支えてくれたおかげだ!」


レヴィはそのまま嬉々として層追加の[決定ボタン]を細く小さい指でクリックした。すると、三層の追加画面へと切り替わる。無事に終了したらしい。


レヴィは一度画面を一番最初の[ホーム]に戻し、ダンジョン情報を見る。


「称号:成長過程のダンジョン……。

…………まだまだ先は遠いなーー」


新たな称号を読み上げ、その後に続く今までとは全く違う情報に色んな感情が込み上げてきて、熱の籠った声でそう呟いたレヴィ。数瞬前の興奮が嘘のようだが、その心中にはもっともっと前へ進みたいという強い思いがあった。


(この二十日で坊っちゃまは本当に成長しましたが……満足していないようで良かったです)


リアは親代わりの立場として、自分の成長を何らかの形で目の当たりにした時そこで前進を止めないかという不安を持っていた。が、そんな雰囲気は毛頭見せない、いや、逆に新しく解放された新種のダンジョン強化をぎらぎら眺め始めたレヴィを見て安堵する。


(……ダンジョンがもう少ししたら、王都にでも行ってみますか)


そして、先代魔王がレヴィのためのダンジョンと同じように一生力をかけていた、[人間種と魔族の共存]のことも知ってもらおうと決意するのだった。






ーーダンジョン生成から二十日目ーー

















現在のダンジョン


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

成長過程のダンジョン 管理者:レヴィアストル・クラディール


2層

利用料:1700G

魔物:6体

部屋数:5

ダンジョン資金:473G

ダンジョン評価値:8600

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー







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