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098 未来を掴むために

あらすじ:

 良い案を思いついたのだが、それらを全部すっ飛ばして要求したいことだけを口にした主人公がいるらしい。

「それはつまり、死ぬ前に豪遊でもしたい……ということかな神託者殿?」


 は、俺は何を!?

 ちゃうねん。名案が浮かんだけど、それをするためには結構な戦力が必要で、俺自身も戦力アップがしたくて、だからガチャがしたいからお金を貸して欲しい。という名目でガチャがしたい……そんなことを考えながら口を開いたら、金を貸してくれと言っていただけなんだ。


「いえ、そうではなく……いや、ある意味ではそうかもしれないけど。それがみんなのためにもなるんだっていうか」

「何を言っているんだ、お前は?」


 全く冷静に正論で返してくるなよ、畜生。


「大体だな神託者よ。借金というが、あと三日で死ぬかもしれないお前が返せるのか?」

「ぐぬぬ」

「タカシは死なせない。早く攻め込むことが決まったならタカシの時間が尽きる前にリリムを助け出すことだって可能なはずだ」


 さすがだぜマキシム。自力での任務達成率の低さに目を瞑れば頼りになる女だよお前は……って、なんで悲しそうに見てるんだよ。俺の考え読んだの? 直感力高過ぎない?


「確かに可能性は残っている。とはいえ、死ぬかもしれない状況で最後の晩餐を……と考える気持ちも分からないではない。それにだ。デミディーヴァ戦における神託者殿の活躍は目覚しかった。報酬を渡さぬわけにはいかぬだろう?」


 その言葉にはみんなが頷いてくれた。そうだよな。俺頑張ったしな。


「それでは、神託を我が聖王国にもたらした功績を考え、神託者へ支払われる残りの金貨300枚に加えてデミディーヴァ討伐に対して金貨3000枚を与えよう」

「マジっすか!?」


 ヤバい。教皇様惚れるわ。俺が女だったら抱かれてもいいね。あ、俺女だったわ。やっぱ無理だわ。抱かれるのは無理だわ。ごめんな教皇様。

 しかし金貨3300枚か。信託者分は前借り分もあったからリリム用に340枚は外すとして、2960枚か。こいつをケチると俺の命が尽きるからな。それにしてもリリム用には以前に200枚も用意はしてあったし、何気にあいつって棚ぼた長者だよなぁ。うん、生きて戻ってこれれば……ではあるけど。


「それでは神託者よ。近場の街までは案内させよう。それで思う存分に……」

「はい……って違う。そうじゃない。俺はガチャがしたいだけなんだ」


 おっと、危ねえ。金貨でちょっと意識がお空の彼方に飛んでたわ。なんか俺が死ぬ前に贅沢したいって流れにされてるけど違うから。俺は未来を見て生きてるから。


「ガチャ……それが君の最後の贅沢か」

「だから、そうじゃないんですよ。手持ちの戦力を増やしたいんだよ。これからサンティアに忍び込むから力が欲しいんだってば!」


 あとはガチャがしたい。体感的には半年ぐらいやっていないような気すらする。いや、気のせいだとは思うんだが。


「どうやらタカスさんは最後まで戦うつもりのようですよ教皇様」

「ふっ、やっぱりこいつは根性はあるようだ。そうだな。サンティアに忍び……込む? ん?」


 ダルシェンさんが首を傾げた。あ、全員が俺を見てる。いやん。


「タカシ、今その表情やポーズは止めておいた方がいい。同性でもゾクッときそうだ」

「ん?」


 マキシムに真剣な顔で忠告された。なんの話だ?


「神託者殿。忍び込むと今言ったな。まさか魔都に侵入し、聖門の神殿に忍び込むつもりなのか?」

「それは流石に無謀ではないか」

「それに失敗すれば、門を破壊される可能性もあるのだぞ」


 色々と言われてる。勘違いされてるな。まあ、俺だって魔物がうじゃうじゃいるようなところに忍び込もうなんて思ってねえっての。


「いえ、そうじゃなくて俺がアルゴに呼び出された転移門のルートで入るんですよ。そうすりゃ、連中にも気付かれないはずですし」

「なんだと?」

「神託者殿。アレはアルゴニアス様のお力なしでは不可能だと報告があったはずだが?」

「あー、あれね。嘘です。俺が操作しても入れます」

「なんだと?」

「どういうことだ!?」


 めっちゃ怖い顔してる人いるな。四大司祭の……ええと、名前忘れたわ。まあいいか。


「アルゴにやり方を教わったんですよ。だから敵が気付いてなければ裏口から侵入できるってわけ。俺もさっき思い出したんだけど」

「そんな重要なことをなぜ黙っていた?」

「アルゴに黙っとけって言われてたんで。話したら拘束されるからとかそんなこと言われたっけか」

「当たり前だ。我らでさえも入ることは許されぬサンティアを聖王国のものでもない者が立ち入る法を持っているなど言語道断」

「待てジダン」

「教皇様?」


 めっちゃ睨まれたが教皇様が止めてくれた。


「神託者殿はアルゴニアス様と知己。それも神竜の力を持っている。であれば、資格としては十分だろうに。我らが口を出すことこそ不敬であろうよ」

「確かに……しかし」

「アルゴニアス様が隠すようにとおっしゃられた……っというのに間違いはないな?」

「あ、はい」

「であればこの場の者は全員他言無用だ。アルゴニアス様の御意思に従うのだ」


 教皇様の言葉に全員が「はっ」とか言いながら頷いた。これで捕まったり閉じ込められたりしないってことでいいんかね。おっと、教皇様がこっち見てる。


「それで神託者殿。転移門を使えばあちらに行けるのは間違いないんだな?」

「そうっすね」

「転移門まで二日もあれば問題ないか。であれば聖王都奪還も二日後の夜より行うようにすれば」

「二日では戦力が整っておりませんが?」

「神託者殿には切り札がある。しかも夜通し戦えば、その手札も増えてこようというものだからな」


 神の薬草のことだな。なるほど、そういう意味で夜にというのは助かるかもしれない。


「場合によっては神託者殿がアルゴニアス様を救出、門の制圧、或いは撃破という手を打つこともできるだろう」

「無茶言わんでください」

「君だけならばな。だが勇者をすべて付ける……といえば、どうかな?」

「それは……確かに」


 日を跨げば神の薬草は復活する。勇者ならゴッドレアの装備を持っているから耐性もある。マキシムと寅井くんかダルシェンさん、もしくは合流できるならサライさんでもいい。勇者ふたりが神の薬草を使って戦えば、勝機はあるか。


「では私も同行いたします」

「駄目だナウラ。お前は今、我々の最大戦力だ。騎士団長、聖騎士団もだ。お前たちには聖王都奪還に動いてもらう。神託者殿は少数精鋭でアルゴニアス様の奪還作戦を、そして合わせて我らは聖王都奪還作戦を開始する。我らの攻撃は神託者殿たちから敵の目を逸らさせるための陽動にもなるだろうし、外に悪竜を誘い出せれば霊峰サンティア奪還も不可能ではないだろう」


 教皇様の言葉にその場でオォォオオオオッと歓喜の声が上がる。

 盛り上がってるな。まあ、最悪リリムに給料渡して撤退すりゃあ俺も助かるしな。そしてガチャだ。今回貰えるのは金貨2960枚。つまりは施しの聖貨1480枚。いや聖王国経由の場合、聖貨支払いなら金貨100枚分につき聖貨10枚おまけになるわけで1770枚ってわけだ。

 そしてデミディーヴァを今回倒したってことはだ。俺が以前に『神罰の牙』を手に入れた1回聖貨5枚の最高レートの『神器限定ガチャ』ができるはずで、今の俺なら354回引けるってわけなのさ。がははは。勝ったな、これは!


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