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084 光の使徒

あらすじ:前話を読み返したら、クライマーにボロ切れのように捨てられる専用エピソードとか用意されていたティモンさんが勢いで真っ二つにされて死んでいた。修正は特にしない。

「ふっ、どうやら私はあなたに助けられたようだなタカスさん。感謝するよ。この数奇な運命にね」

「ああ、いや。まあ目が覚めたんなら良かったけどさ」


 アフロだ。黒いアフロがいる。燃えてコーティングがとれた? いやいやいや。染めてたっつっても脱色してたんなら黒には戻らないだろ。もしかすると魔法的な何かがあったのか。まあ、どうでもいいけどさ。


「ふっ、しかし闇の神の末端がやってくれる。ヴァン、状況は?」

『何を偉そうにってるんだろうね、この男は。僕らが以前に倒したデミディーヴァ『クライマー』が復活して、見た感じナウラは肉体を乗っ取られているようだ。そしてライアンはあちらの上級魔族と、ダルシェンと教皇たちはクライマーと戦っている』


 ヴァンがそう答える。上級魔族とかいう化け物の相手は聖騎士団の団長が相手をしていて、他の聖騎士も纏めてデミディーヴァを相手にしているみたいだな。そして、どちらの陣営も苦しい状況のようだ。というか、あのデミディーヴァ相手によく善戦してるってところだよな。数でどうにかできる相手とは思えなかったんだけど。


「それでタカスがいるのに、マキシムがいないのはどういうことだ?」


 そこを疑問に思うのは当然か。俺はあいつと一緒にここに来る予定だったからな。けど、あいつはあいつで今戦ってんだよ。


「マキシムなら陣内死慈郎とかいう魔人の相手をしてる。終わったら来てくれるはずだ」

「そういうことか。まったく、随分と闇の神の手勢にやられているようだな。嘆かわしい」

『君がもっともやられた人物だという自覚はあるのかねぇ』


 まったくだ。しかも肩をすくめてやれやれってリアクションで返して来るのが心底イラっとくるな。


「ナウラ様が囚われているか。であれば救い出すのは私の役目だろう」

「なあ、とらいく……いや、ドーラ。俺はデミディーヴァを倒す手段を持ってる」

「ふむ、どういうことだ?」

「アンタが俺の薬草を食べるんだよ」


 力が拮抗している状況だ。そこに神の薬草でゴッドレア化した寅井くんが駆けつければ戦況は逆転できるはずだ。だから……


「ふっ、私の体を気遣ってくれるのか。だが心配は無用。薬草は君自身が傷ついたときのために使いたまえ」

「は? いや、そうじゃねえよ」

「私はナウラ様を救い、デミディーヴァ『クライマー』を倒す。君はそこで見ていたまえ」

「おい、話を聞け!」


 って、行っちゃったよ寅井くん。マジかよ。ヴァンさんが引きずられて謝ってる。あの口パクは『あいつは人の話を聞かないから』か。精霊は基本、元となる魔導器からは離れられないんだよな。離れられないっていうか、あっちが本体だものな。


『ラーイ』

「ライテー、分かってる。教皇様なら俺のゴッドレアも知っているはずだし、俺たちもデミディーヴァのところに行って」

「ぐわぁあああああ!」

「ってぇ、おっさんが降って来たぁああ!?」


 おい。この血まみれのおっさん、ライアンさんじゃねえか。それで聖騎士団長が飛んで来たってことは?


『貴様か。くくく、再び出会えるとはな』


 うお、こええ。デッケエイノシシの化け物がこっち睨んでやがる。上級魔族ってヤツか。前に会った上級魔族が変身した姿とまるで同じってことは、こいつらはそういう種族ってことなのかね。


『なんだ、その顔は? 俺を忘れたとは言わせんぞ!』

「神託者。こいつはお前の知り合いか?」


 俺は首を傾げた。以前に倒したヤツの知り合いならそんなことは言わないだろうし……誰?


『ふざけるな。私はお前にデブ天使をぶつけられた魔族のザクロムだ!』

「は? リリムにやられたあの魔族か。なんで生きてんの?」

『迂闊であったな。核石が残っていれば我々は復活はできる』


 復活できるって……でも、神殿で換金したし、それはそのまま捧げられるんだったよな?


『分からないという顔をしているな。貴様らが神に納める核石、並みの魔物であれば神殿でそのまま奉納され白の神に還元されるだろうが、私ほどの者の核石となればそうはいかぬ。一旦は浄化するために高司祭の元に送られるのだよ』

「そうか。タカシの渡した核石は……つまり、ナウラ様に届けられたのだな?」

『そういうことだ。あの女の元に届けられるよう、ティモンが手配したそうだ。であれば我が復活は容易……というわけだな』

「マジかよ。ズッコいな」


 復活できるなんて知らなかったし、ナウラさんに届けちゃったのかよ。知らなかったとはいえさ。もう聖王国ガバガバ過ぎるだろ。


「聖王国の管理体制の甘さが露呈した瞬間だな」

「ぐ、返す言葉もない」


 状況を察したライアンが流石に呻いた。

 しかし、どうする? あっちは寅井くんが入って押し返したみたいだが、こっちのライアンはボロボロでさすがにひとりじゃ厳しい状況だろう。このまま耐えきれるならともかく、挟撃されたら厄介だ。となりゃ……


「やるしかねえか。ライアンのおっさん、まだやれるか?」

「誰にものを言っている? 言われずともコレを教皇様の元へは近付けさせぬ!」


 そうは言ってるけど、血が噴き出してるぞこのおっさん。


『ふたりがかりか。まあ、元より逃すつもりもないがな。あの怪物がおらぬが油断はできぬのはこの身で理解している』

「いや、俺はただの雑魚ですので、油断していいですよ?」

『神竜の血を引き竜眼を持つ貴様が雑魚? 冗談も休み休み言え』

「神竜だと? お前が……いや、あなた様は神託者……いや、遣わされた者だというのか!?」


 そういえばあいつ、そういう設定で俺を妄想してたよね。ライアンのおっさんもなんか乗せられてるし。


『くっくっく、聖王国の聖騎士団長が知らなかったとは……随分と念入りに秘匿されていたようだな』

「そんな事実はねえんだけどなぁ」

『はっ、今さら誤魔化しなぞに意味はない。兵器化した天使を使う白の神ガルディチャリオーネの尖兵。貴様だけは、貴様だけは生かしてはおけぬ!』

「つまりはガチャ様の使徒!? なんという、なんということだ。俺は今、聖騎士としてもっとも誉れ高き戦場に立っているということか!?」


 あ、駄目だ。こいつら、勝手に盛り上がってやがる。

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