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076 その瞳は未来の君を……

 さて、今回のガチャではスーパーレアの竜水の聖矢のカードが手に入った。こいつは矢なので雷霆の十字神弓のジェムスロットに入れることができる。十字神弓のカードをスロットに重ねるとジェムとなってスッポリとはまるんだ。

 そんで、雷霆の十字神弓のスロットは四つあるだろ。今までは爆裂の神矢が二枚に加速のスキルジェムがふたつ入っていたわけだが、加速のスキルジェムをひとつ外して竜水の聖矢を入れることにした。

 右の竜腕に装着してるガントレット『神罰の牙』のスロットはみっつあってカウンターのスキルジェムがふたつはまっている状態だからこっちに入れればいいかと思ったんだけど、別の魔導器に入れると効果は重複しないらしいんだよな。残念だ。

 実は矢のカードを統合してひとつのスロットに入れてくれる矢筒ってアイテムもあるらしいってサライさんが教えてくれた。逃げ足が遅くなるのはちょっと不安だし、今回の件が片付いたら狙った方がいいかもしれない。

 あとは神罰の牙の空きのスロットにはめられるジェムや装備がありゃいいんだけど。ま、今後の引きに期待だな。


「どうしたんだいタカシ?」


 俺が少し考え込んでいるのを見てマキシムが尋ねてきた。

 この場には俺とマキシムしかいない。今俺たちは認定式のために王城内の控え室にいる。すでに教皇の間では教皇様をはじめ、お偉いさん方が勢揃い、ついでに聖騎士団やダルシェンにあのドーラなどの勇者勢も控えているはずだ。つまりは準備万端。何があっても対処は可能だろうと。


「ちょっと装備をどうしようかと考えていてな。手札も増やせたし、今回はいいガチャだった」


 そう言って俺は雷霆の十字神弓のカードをマキシムに見せた。カードの下にあるジェムスロットの項目には爆裂の神矢、爆裂の神矢、竜水の聖矢、加速スキルの文字が表示されている。


「竜水の聖矢か。それも確かに強力なものだけど、タカシは今後も弓使いとしてやっていくつもりなのかな?」

「どういうことだ?」

「ほら、君の右腕にはウルトラレアの神罰の牙もあるだろう。それと君とカウンターとの組み合わせは反則に近い。君だったらグラップラーでも大成できると思うんだよ」

「えーヤダよ。俺の武器はやっぱり雷霆の十字神弓だぜ」


 痛いのも嫌だしな。ライテーもいるし、そもそも未来視は十字神弓の能力だ。ライテーがくれた力なのにそれを利用してサブウェポンにするってのもなんだかなって感じだろ。


「そうかい。君がそういうなら別にいいのだけどね。ただ、そちらをメインにしないにせよ近接も鍛えておいた方がいいとは思うよ。正直に言って君の能力を知らずに間合いに入られたら僕も勝てない。あれは本当に君にとって強力な武器なんだ」


 マキシムがそう言って肩をすくめた。

 まあ、軽く素手で手合わせしたときにもマキシムの攻撃を俺は全部カウンターで返せていたしな。


「考えておく。けど、言うほどアレって万能でもないし」

「確かにそれはそうだね。ハマれば強いけど、そうじゃない相手もいるから」


 マキシムも頷く。

 マキシムは間合いに入られたら……と言ったが、それは間合いに入られなければ、どうとでもなるという意味でもあるのだ。

 たとえばマキシムの神巨人の水晶剣だ。あの巨大な剣の前ではどうあっても俺のガントレット『神罰の牙』のカウンターではマキシムまで拳が届かない。

 そのうえにマキシムはゴッドレアの剛力の腕輪の持ち主だ。神巨人の水晶剣の刃自体にカウンターを合わせて弾こうとしても純粋にパワー負けしてしまう。

 広域魔術にも弱く、またこっちの攻撃を受けながら反撃できる相手では俺もダメージを受ける。もっとも、それは近接戦をメインとしている前衛全般の問題とも言えるけどな。

 マキシムの言うように近接戦を鍛え上げれば、そうした間合いの弱点も読み合いで対処できるようになるかもしれないが……まあ、そこらへんは護身用としてそのうち覚えておいてもいいかもしれない。


「だろ。それはそれとしてさ。リリムとザイカンさんはもうそろそろ神殿に着く頃か?」

「うん、そうだね。時間的にはローエン様とも合流して聖門の神殿に入るところかな。聖騎士団の部隊をひとつ付けているし、サライもいる。君が出会った悪竜はアルゴ様の攻撃で瀕死なんだろう。お父さんたちと勇者が組み合わされば本来は悪竜の討伐部隊としても機能できるくらいの戦力だからね。最悪でも僕らが辿り着くまでは守りきれるはずさ」


 そうなのか。ザイカンさんたちも出会いはアレだったが、やっぱり優秀な人たちではあるんだな。リリムはまあローエン様と一緒に守ってもらおう。アルゴに関してもローエン様がいれば大丈夫なんだろうが、あいつ自らアルゴとの仲介として行っちまったしな。


「それとナウラ様もすでに入場している。ローエン様からの連絡が届けば、予定通りに僕らが入場するのと同時にナウラ様の捕縛となるはずだ」

「できれば、入場する前に終わって欲しいんだけど」

「何を言っているのさ。僕と君が正面の逃げ道を防ぐんだろう」

「デスヨネー」


 ローエン様の連絡次第だけど、神託者である俺が入場するのと同時に聖騎士団が一斉にナウラさんと従者たちの捕獲に動く予定ってわけだ。で、出入り口はすべて塞ぐ。そしてメインの入場門は俺たちの分担……正確には俺は協力ってだけで本来はマキシムと門番の聖騎士たちの役割なんだけどな。ま、その場にいるって時点で危険度は変わりゃしない。


「あとは神域の状況次第だな」

「そうだね。それに……今更だけどね。実は僕も緊張している。今だってナウラ様がそんなことをなさるなんて思えない。タカシはそうじゃないのかい?」

「さてね。俺はアルゴに言われてやってるだけだ。ぶっちゃけナウラさんに対しては良しも悪しも思うところはねえし」


 マキシムもナウラさんを今まで信じてきたわけだからなぁ。正直に言えば俺もあの人柄からしてナウラさんが裏切って魔族の側についてるなんて思えねえ。けど、俺はアルゴと神域の状況は知っている。


「なあマキシム、アルゴがやべえってのは事実なんだ。どこのどいつが動いているにせよ、神域は押さえておかねえと不味い。全部はそれからだ。ナウラさんが悪くないってんならあとで頭を下げりゃあいいさ」

「確かにね。あの方が僕の知っている通りのままの方ならそれで許してくれるだろう。あのドーラ、彼とかは難しいかもしれないけど」

「そっちはそっちでどうにかするよ」


 まあヤンキー先輩チーッスとか言ってやればいいだろう。ネタはいくらでもある。


「まあ君ならどうにかしてしまいそうだ。君は僕が見込んだ男……いや今は女性だからね」

「んー。なあ、マキシム」

「なんだい?」


 まったく爽やかな笑顔を返してくるな。やっぱりコイツはいいやつなんだよ。俺が女になったって状況にちょっと暴走してるだけで……なんで男として育てられたのかは知らないけど、そういう環境の中でこいつは多分、自分が好きになった相手と結ばれる道が見つかったからって浮かれてるんだろう。けどな。俺はやっぱり……な。うん、だからあんま引っ張っておくのもこいつのためでもないし、俺らしくもないって言うかさ。


「あのな……マキシム」

「なんだい、タカシ?」


 なーに。さらっと言っちまえ。大丈夫だろこいつなら。だから


「俺はやっぱり女のままでっての……は?」

「そこにいたのか。我が敵よ」


 一瞬、視界に以前に見た侍が映った。それは完全な不意打ちだ。マキシムは背後に現れたそいつにまったく気付いてもいない。心臓の鼓動が跳ね上がる。世界が凍ったように感じられた。不味い。マキシムに注意を


 そして一閃。侍の放った一撃でマキシムの首が宙を……

1.すり替えておいたのさ(頭を)

2.マキシム、新しい頭よ

3.マキシム、サッカーしようぜ。ボールお前(の頭)な


 大丈夫です。接着剤とかでくっつくと思います。

 来週はお正月休みします。次回の更新は1月9日となります。

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