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139 王妃の帰還

あらすじ:

2日目の成果

・ブロンズゴーレム3体

・アイアンゴーレム4体

・シルバーゴーレム1体

 黄金都市ドルチェに来て3日目。

 本日は多分快晴。外は砂漠だから快晴以外の日なんて年に何回あるのやらって話ではあるけどな。そして俺たちは昨日のリベンジマッチのために王塔の正門前に来ている。昨日と同様にミスリルドールを中央に、スティールゴーレム10体が左右に並んでいる。

 昨日回収せずに逃げたせいか倒したスティールゴーレムが全部復活してやがる。無駄働きだったな、畜生め。今日は全滅させてやる。


「それでマキシムとリリムは配置についたかな?」

『問題ないな。ほれ、上で手を振ってる』


 相変わらず俺の腕に掴まってるアルゴが尻尾の先を建物の上に向けた。

 ちょうど正門側からは見えないように壁の裏に隠れているマキシムがこちらに手を振っている。俺もそれに手を振り返しながらここから先の手順を思い浮かべていく。


「スティールゴーレムを俺が引き受けてあいつらがミスリルドールのところに降下して仕留める。問題はミスリルドールの動きだが……昨日のことを考えればスティールゴーレムとの連携はないだろうな」


 ミスリルドールとスティールゴーレムではスペックの差があり過ぎて共闘するには向かないらしく、昨日もミスリルドールの間合いを避けてスティールゴーレムは動いていた。

 とはいえ、スティールゴーレムだって馬鹿にはできない。ミスリルドールほどの速度も硬度もないけど、硬く、よろめかず、動きもゴーレムとしてはそれなりに速い。そいつら10体に囲まれれば俺も軽く死ねる自信はある。昨日だってリリムを前に立たせて牽制してたから戦えてたわけだしな。

 爆裂の神矢を一斉に放って一時的に動きを止めることはできるがその後に倒しきれなかった連中を止めるのが難しい。なので今日は戦法を変える。

 そう考えながら俺は腕に止まっているアルゴを見た。


「行けるよなアルゴ?」

『さてな。ま、失敗しても得られるガチャ資金が減るだけだ。気にすんなよ』

「成功させるぞ、絶対に!」


 昨日失敗して1日分ロスしてる。今日はミスできない。俺の十字神弓を重ねるチャンスは逃せない。


「出ろボルトスカルポーン!」


 俺が使ったのはお馴染みの骸骨兵召喚だ。

 こいつは十字神弓の雷の矢を吸収することで昇格プロモーションを起こすことができる。ただ、これまでナイト、ルーク、ビショップまでは昇格プロモーションできたがクィーンとキングは基本的にはできなかった。

 過去にクィーンへ昇格プロモーションできたのは神の薬草を食べたときとアルゴの力を借りたときだけなんだ。けど、後者の条件を俺は今クリアしている。


『オッケーだタカシ。魔力のパスを繋げたから俺様の格を上乗せできる。ま、この体じゃ大した量の魔力は渡せねえからほとんど自前のだけでやってもらうしかねえがな』

「へいへい。あのときとは違うってこったな」


 アルゴと初めて会ったときにはこいつの魔力を使ってクィーンを呼び出していた。幼竜となったこいつにあの時みたいな膨大な魔力はないが、アルゴも元はサンティアの守護竜だ。その格ってのを召喚を行う際の点火剤として利用するわけだ。


「じゃあ始めますか」


 俺はゆっくりと雷霆の十字神弓を構えると九本の矢を束ねたナインアローを生み出す。


『こいつだけで下手なアーツよりも強力だよな』

「溜めが必要なのが難点だけどな」


 戦闘で使用するには前衛に守ってもらう必要がある。ミスリルドールたちは一定距離まで近づかないと動かないから今は大丈夫だけどな。


「そんじゃ、出てこいクィーン!」


 そんな高威力の矢を俺はポーンに放つと以前よりもはるかに大きな雷の力を受けたボルトスカルポーンが全身を放電させながら両手を天に掲げる。見た目は漫画で電気ビリビリされた人みたいになっているが別にダメージはない。あいつは電撃を吸収するので、むしろ気持ちいいはずだ。

 そしてポーンの体に変化が起きていく。その骨身に肉がつき始め、鎧が女性の体型に合わせた豪奢なものに変化し、さらにはティアラのように変わった兜からは艶やかな銀髪が溢れ、瞬く間に骸骨兵が妖艶な美女に変わっていった。


『お呼びでしょうか、王よ』


 そして以前と変わらぬ出で立ちの彼女が俺の前で膝をつく。

 それこそが雷纏いし王妃ボルトスカルクィーンだ。平均的な戦力のポーンと、機動力のナイト、巨人のルーク、回復と補助魔法のビショップを複数召喚できる軍勢召喚の力を持つ召喚体。こいつの力が今回の作戦の要のひとつってわけだ。


「よぉクィーン。こいつの力を借りてだけど、ようやく自由に喚べるようになったよ」

『おお。神竜様を従属させるとは、さすが我が王です』

『従属じゃねえ。ダチだ。マブダチ』


 お前。いつ、俺とマブでダチになったよ? まあいいけどさ。

 それから俺は門前にいるミスリルドールへと視線を向けた。こっちが目の前で準備してるってのに律儀にその場から動かないでいるのは門番としての命令を受けているからだろうな。


「クィーン、ミスリルドールをマキシムたちが倒す間、あのスティールゴーレムたちを足止めしたい。今の俺の魔力ならどの程度喚び出せる?」

『はい、我が王。王自身のお力を損なわせぬよう、8割ほど魔力を使うとして……ナイト、ビショップ、ルークであれば十二体。ポーンならば二十四体というところでしょうか』

「そんなにか?」


 クィーンの言葉に俺は目を丸くした。以前にアルゴの魔力を使ってクィーンにナイトを喚ばせたときと同数だぞ。しかも説明の通りなら余力を残してだろ?


『御身が白神より与えられし左の神樹の腕により魔力量が増えたことに加えて、魔力の増幅と効率化もされております。なので、その数であっても別段不思議ではありませんよ、我が王』


 そうなんだ。この木の腕って魔導器枠ひとつ増えたどころじゃないんだな。改めていいもんもらったんだと思い知ったよ。


『それと王よ。御身がキングに至るという手段もございますが』


 キングか。こちらはまだ喚んだ自体がことはなかったが……至るってどういうことだ?


「なあクィーン。至るってのは? 喚ぶんじゃないの?」

『御身はすでにそこにおります。私が仕えしはただひとり。キングとは王を真なる王に昇格プロモーションさせ、王剣にて戦うことができるようにするものです』

「なるほど、パスで」

『そうですか』


 クィーンが少しがっかりしてるけど、どうもキングは召喚剣とバフ的なやつっぽい? けど俺は後衛だからね。今はそういうのはいらないんだ。必要なのは頭数だからね。


「ルークを12体だクィーン。あの門の前にいるスティールゴーレムをマキシムたちがミスリルドールを倒すまで足止め、可能ならば破壊が目標だ」

『承知いたしました王よ。それでは出でよ我が軍勢!』


 俺の指示に従ってクィーンがその手に持っていた細身の剣を地面に突き立てると正面に3メートルの巨人ボルトスカルの骸骨兵ルーク12体を召喚していく。さて、じゃあリベンジマッチと行きますか!

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