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134 地下都市への誘(いざな)い

あらすじ:

 自分に足りない部分は仲間が補う。それこそがパーティの正しい形である。だから借金ではなく仕事を選んだのが仲間の説得によるものであるという事実こそがタカシの成長の証なのであった。凄い。

「ここが黄金都市……か?」

「ハァ。結構明るいんですねぇ」


 転移門を抜けた俺とリリムは思わずそう呟いた。

 転移門周囲の壁はボロボロで外側の様子が確認できるんだけど、見えるのは岩壁だけ。ただ自然光らしい光もあるみたいだ。地下都市ってぐらいだから真っ暗なのを予想してたんだけどな。とりあえず俺とリリムが周囲を警戒しながら遺跡を出るとそこにはマキシムとアルゴが待っていた。

 俺だけではなくアルゴも転移門は操作できるからな。念のためにふたりには先行してもらっていたわけだ。


「来たねタカシ、リリム」

『ケッ、ビビって来ないんじゃねえかと思ったぜ』

「うるせえアルゴ。お前は一言余計なんだよ」


 そう言い合いながらもアルゴはマキシムの頭の上から俺の右の竜腕に飛びついた。俺の腕を通して神竜の竜気を補充することで成長が早まるらしいとかなんとか。サイズ的にはこれぐらいの方がいいんだがな。寝る場所とか餌代も馬鹿にならなさそうだし。


「それでマキシム、どんな感じだ?」

「この遺跡周辺に魔物の気配はないね。それと野営の跡がいくつかあったけど、いずれも最近のものではなかったかな」


 すでに調査をしてくれていたマキシムがそう口にした。

 俺たちは今、聖王都の聖門の神殿から霊峰サンティアの転移門を経由して、かつて滅びを迎えたエギンスト王国の地下に存在する黄金都市ドルチェ……の入り口手前の転移門の遺跡にいる。

 聖王国がすでに調べた通り、ここの転移門は動いていなかったが壊れていたわけではなく、ただ非活性状態だっただけみたいだ。スリープモードってヤツだな。で、転移門の経由の変更も問題なくできて、ここまでたどり着けた。


「じゃあ、この地下都市にいるのは俺たちだけか?」

「いや、ここ以外で野営をしていたら分からないからね。ただここら辺で動いている探索者はいないみたいだ」

「あー。まあ、そうか」

『転移門は一応非活性状態に戻しておいたほうがいいな。勘ぐられると厄介だ』

「了解。そいつはやっておくよ」


 この黄金都市ドルチェはマキシムも名を知っていた通り、完全に秘された地というわけじゃないし、聖王国以外の人間だって探索に来ることはある。

 もっともここからじゃ見えないが外は砂漠で、今ではこの地を治めている国もなく、わずかな部族が集落を作って暮らしている程度だって話だ。補給も難しい上にこの地の魔物は強く、また住んでいる部族は外の人間を嫌うから本格的に探索ができていない……と、教皇様からもらった資料には書いてあったな。

 それから俺たちは周囲の探索を念入りにした後、続けて黄金都市ドルチェの方に歩き出すと、その姿がすぐに見え始めた。


「黄金都市。その名に違わぬ美しさですねタカシ様」


 目に入ってきた都市を見たリリムがそう口にした通り、そこは確かに黄金都市に相応しいものだった。この土地特有のものなのか、黄色の石の建物が並び、そこに太陽の光が当たってキラキラと輝きを放っている。


「そうだなぁ。けど、なあマキシム。太陽の光があるってことはもしかしてここって地上まで吹き抜けなのか?」


 俺が頭上を見上げると間違いなく太陽の光が射している。

 吹き抜けなら空飛ぶ魔導器とか魔術や……あとはパラシュートで降りりゃあ、たどり着くだけならなんとかなっちまうんじゃないのか?


「いや、探索隊の資料によれば吹き抜けではないみたいだね。位置的にこの上には四角錐状の石の建物があってね。そこから太陽光をなにかしらの技術でこの地下まで届かせてるんじゃないかって書かれていたよ」

「なるほど?」


 四角錐状の石の建物ってピラミッド?

 マキシムは時間もなかっただろうに事前によく調べてるな。俺はもらった資料も文字が多すぎてパラパラ見ただけだってのに。

 それで周囲は……と、黄色の石の建物に念入りに彫刻されていて、それだけでも結構な文化財に見える。それに中央にはビルみたいな塔が並んでいて……さらに中心にある一番でかい塔はこの黄金都市を支えるように天井まで伸びてるな。つか、支えるようにっていうよりあれ、この都市の支柱なんじゃないか。どういう技術力なんだよ。


「それで都市の入り口まで近くなってきたけど……今のところ魔物の気配はないっか」


 俺は片眼鏡モノクルにセットした見通しの水晶を使って周囲を見渡す。

 ちなみに俺の今の装備は見通しの水晶に加えて


UR雷霆の十字神弓【2枚】

◆矢筒

◆剛力

◆剛力

◆神鷹の目


UR神罰の牙【4枚】

◆加速

◆加速

◆集中

◆直感

◆カウンター

◆カウンター


 で、三枠を使ってる。さらに俺にはこの腕がある。


神樹の腕

◆ゴッドヒール【4枚】

◆ボルトスカルポーン

◆守護天使


 元神桜の杖が俺の腕に融合した結果、四枠目とも言えるものになっている。ジェムも装着できるし、三枠目と判定もされない。最初は人の腕を勝手に木にしやがってと思ったが慣れちまうと気にならないし実際便利だ。

 それと神桜の杖のときには神炎の嵐を付けていたが、今はゴッドヒールを入れている。地下でゴーレム相手に戦うのに炎じゃ厳しそうだし、薬草は腐るほどあるもののダンジョン探索的な感じならとっさの回復手段もあった方がいいからな。


「問題なさそうだけど……マキシム、街に入って大丈夫だと思うか?」

「うん。けどゴーレム系は起動しないと反応しないタイプが多い。そういうのは見通しの水晶でも確認し辛いし、それと罠もあるかもしれないから気を付けてね」

「罠って……マジで?」

「ここは王侯貴族が暮らすエリアだったんだ。ゴーレムがいるのも都市防衛のためだし、侵入者防止用の罠があっても不思議じゃないよ」


 マジかよ。油断できねえところだな。んー、おっと。早くも敵を発見だ。


「よし、リリム」

「どうかしましたかタカシ様?」

「この先に敵が二体いる。都市の入り口前……多分門番のゴーレムだろう」


 俺の言葉にリリムの顔が強張る。自分に声がかけられた意味を理解したんだろう。けど以前のように腰は引けていない。


「お前の実力のお試しタイムだ。今回はいけるな?」

「はいっ。お任せください」


 俺の問いにリリムがはっきりと是と返してきた。

 以前のこいつなら「無理無理カタツムリ」と言って拒否っただろうが、曲がりなりにもゴッドレア持ちになったし、聖王都での訓練で着実に力はつけた。それに今回こいつは結構ガチャを回して単純に戦闘力も増しているからな。もう以前のリリムとは違う。ニューリリムだ。

 さあ見せてもらおうか。中課金者になった者の実力とやらを。

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