表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/12

ハンデ

 この世から消されるとはどういうことか、なんとか気を落ち着けたところでピィに聞いてみた。


「神の怒りによって死ぬ。ということですね」


 わあ簡単。

 つまりこのまま僕が瀕死になるのが嫌で逃げると殺されちゃうわけかあ!

 むしろここまでくると清々しくもなってくる。

 もう逃げ場はないのだ。なら僕は試合に出て、ボコボコにされて帰るとしよう。


「リーナ、僕がボロボロになって時は看病を頼んでいいかな……?」


 半泣きで僕はリーナにつぶやいた。

 そうするとリーナは


「何諦めてるのサイリ!これはチャンスじゃない!もし勝ったら神からの恩恵が手に入るのよ!?」


 へっ?と僕は前向きすぎるリーナにちょっと呆れる。


「何行ってるんだよ。僕が勝てるわけないだろ……」


 瀕死になるくらいの激しい戦闘を行うくらいだ。僕の身体能力じゃ到底勝てっこない。

 僕は自慢じゃないが喧嘩では絶対に勝てない自信がある。

 きっと筋肉隆々の悪人ずらしたスキンヘッドの人が僕に殴りかかってくるんだ……

 もしかしたら武器を使ってくるかもしれない。

 そうなったらせめて楽に逝けるようにお願いしよう。


「なーんだ。そんな心配をしていたの?この魔法闘技会ではどんな物も持ち込み禁止よ。

 闘技会で用意されたいくつかのカードを使って戦うの。」


 カード?そういえばこの世界ではカードを用いて魔法を使えるんだった。

 さっきの朝ごはんの時も、コンロの代わりにカードを用いて火を出していた。


「お互いに使うカードは同じで、とても公平な試合になのよ?」


 つまりは自身の体を使ったストラテジーカードゲームといったところだろうか。

 確かに公平に、見える。しかし僕が見てきたのは現状ステルスとコンロがわりのしょっぱい火程度だ。

 絶対的な知識量が足りない。

 カードゲームというのは勝つためにカードプールという重要なものがある。

 これは、カードゲームで用いられるカード全般を指す言葉だ。

 相手が何をしてくるのか、自分のカードに対しての反撃手は何があるか、

 そういったことを考えるためにはカードプールの把握は必要不可欠だ。

 リスクリターンの計算に、この知識が関わってくるということだ。

 他にも環境や、メタなど勝つために知る要素はあるが、今回は必要ないだろう。

 今回で問題なのは、用意されたカードの効果を相手は知っていても僕は知らないという点だ。

 それは大きなハンデになるだろう。


「同じカードを使っても、同じように戦えるわけじゃないよ……

 僕はカードに対しての知識がなさすぎる。」

「その点は安心してください!」


 そういうとピィは淡い光を放った。

 リーナと僕はその眩しさに思わず目を瞑った。

 眩しさに目をチカチカしながら再び目を開けると、ピィが消えていた。


(サイリ様、聞こえますか?)

(う、うん。ところでピィは突然どこにいったんだ!?)

(サイリ様の意識の中ですね。私はこうして自由にサイリ様の意識に入れるのです!

 これでサイリ様にはカードの情報を私が教えることができますよ!)


 そんなことを話しているとリーナが


「わあ…‥本当にピィちゃんってサイリの精霊だったのね!」


 リーナは目を輝かせながらいった。

 精霊はこういうことができるものだという認識らしい。


「ピィちゃん、これから新しいご主人様と頑張ってね!」


(あ、サイリ様。私は最近契約したばかりの精霊という設定ですので、そこのところよろしくお願いします!)


 昨日の緊張していたような態度はどこにいったのだろうか。

 結構したたかなのかもしれないなあ。


「そういえば、他の参加者はどんな人なの?」

「あ、ご、ごめん……急いで帰ってくることに夢中で新聞持ってくるの忘れちゃってた……」


 僕がジトーっとリーナを睨むと彼女はバツが悪そうにきゅっと体を縮めこませた。

 まあリーナがいなかったらこうして服を手に入れることも、寝泊りもできなかったんだ。

 最悪、新聞とやらにも気づけないまま神の怒りを受けていたかもしれない。

 とりあえず僕の大きなハンデはピィのサポートによって埋められた。

 それなら次に解決するべきはあれだ。


「この世界のカードゲームのルールを教えてくれないかな。」

カードプールって覚えるの大変だよね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ