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カード

「え……リーナさん、本当に良いんですか?」


思わず僕は聞き返した。

こんな裸の男を家に招待するなんて彼女は少し無防備すぎる。

自分で言うのもなんだけど、普通はこんな男の話なんか聞くはずもなく、通報されてもおかしくはないのだ。

と言うかむしろそれが普通だと思う。

しかし彼女は


「もちろんよ!こんな話を聞いて何もしないなんてそんなの私が許せない!」


天使だ。

無償の愛とはこういうものなのか……と心の中で感涙していると


「あ、私のことはリーナで良いわ。あなたの名前は確かサイリくんっていうのよね?

とりあえずこれからよろしく。」


リーナは立ち上がると膝をポンポンと叩いて僕の方に手を伸ばしてきた。

僕はブツを隠していた手で彼女に触れるのを避けたかったので、遠慮してその手は取らないまま自分で立ちあがった。


「ありがとう、リーナさん。いつかこのお礼は返します。」

「別に何もしなくて良いよ。私のはただのお節介だしね。

あと”さん”も敬語も禁止!次使ったら置いて行っちゃうよ!」


置いていかれるのは非常にまずい。こんな千載一遇のチャンスを棒にはふれない。


「う、うん。わかったよリーナ。」

「よろしい。」


そうやって微笑んだ彼女は何か皮ブーツをごそごそとし始めた。

何かを探しているようだ。


「どうしたの?リーナ」


思わず気になった僕は聞いてみた。

もしかしてぶつかった時にどこか痛めたのか!?

僕がオロオロとしていると何かを見つけたようにあったあったとリーナが嬉しそうに言った。

そうして取り出されたのは、一枚のカードだった。

閉じている扉のイラストが描かれている。

扉のイラストは僕がこの世界にくる時に開いたあの扉とそっくりだ。

カードを僕が眉を寄せて見ているとリーナは


「あ、記憶喪失ならこれを覚えていなくても当たり前なのかもね……

これはこの世界での必需品、カードよ。」


はてなマークをさらに頭に浮かべている僕に対してさらにリーナが言う。


「えっと、細かい説明は省くけど、簡単に言うとこのカードを使うといろんなことができるの!

火を出したり、水を出したり、足が速くなったり……もう本当にたくさん!

あ、このカード一枚でそれらすべてができるってわけじゃなくて、例えば」


そう言ってリーナは手に持ったカードを僕にかざして


「オープン!」


と言うとカードから緑の光が生まれた。

その光は僕を覆うようにしてまとわりつき、手で払ってもうまく取れない。


「うわあ!何これ!」

「これはステルスの魔法ね。今はステルスのカードを使ったからその魔法が使えたわけ。

こんな風にカードごとに使える魔法は一種類と決まっているの。そしてこれがオープンしたカード。」


緑の光に包まれながらリーナのカードを見ると、扉は開かれ、そこには魔法陣が描かれていた。

この扉を開けることによって魔法が使えて、その掛け声がオープンなのか。

なるほど〜〜。




うん?さっき僕にかけた魔法は確かステルスって言ってたよな?


「ごめんねサイリくん。テレポートのカードがあればこんなことにはならなかったんだけど……」


え、うそ


「ステルスは姿を消す魔法で、使用者と対象者以外からは見られなくなるカードなんだけどね?」


また僕は同じ罪を繰り返さなくちゃいけないの?


「つまり、今は私以外には誰にも見えない状態だから」


神様どうか僕にお慈悲を


「私の家まで歩いても誰にも気づかれないよ!!!」

だいたい全裸

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