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0.プロローグ

以前投稿した小説の加筆修正版になります。幼馴染Love要素がUpしています。

誤字などありましたら指摘して頂けると助かります


キーンコーンカーンコーン


「さて、帰るか」


僕は天津幸村(あまつゆきむら)。高校受験を控えた中学3年生、黒髪黒目で普通の体格。ゲームや小説が大好きなちょっとオタク気味のどこにでも居そうな普通の。。。


「では無いな。。。。」


そう、僕は普通では無いと言い切れるほどに運が悪い。大したことではないのだがトコトン運がないのである。

欲しいものは売切れ、信号は赤信号に変わったばかり、傘を持たずに出かけると雨が降る。

しょうもないことばかりではあるが、まるで狙ったかのように不運が続くと何か作為的なモノを感じなくもない。


(でも不幸と感じたことはないな。。。)


友好関係は広くはないが、気の合う友人もいる。慕ってくれる後輩もいる。愛情を持って接してくれる家族の存在も大きい。不運でもやさぐれずにいられるには十分な理由だろう。


などと考えているとクラスメートはみんな帰ってしまった後のようだ。思ったよりも時間が経過していたらしい。反省しなくては。。。

もうすぐ受験だ。志望校は十二分に合格圏内ではあるが、少しでも積み増しはしておきたい。僕はうわべの知識だけを増やすのではなくその内容を正確に理解してこそ身に付くものだと考えている。そのためには努力することが大事だと思っている。


(今日も図書館に行くかな。。。)


幸いに自宅に帰る途中には市立の図書館がある。静かに集中して勉強するためにはもってこいな環境だ。筆記用具と教科書などを鞄に詰め込んで教室を出ようとしたところで声を掛けられた。


「天津君」


そこに居たのは神凪郁絵かんなぎいくえちゃん。スリムな体型、サイドポニーで笑顔が可愛い女の子。小学校に入る前からの幼馴染だ。


「どうしたの?」

「もうすぐ受験でしょ?勉強で分からないことがいくつかあるから教えてもらえると嬉しいんだけど」

「分かった、じゃあ教室で教えようか?」

「やった、お願いね」


ニコニコな郁絵ちゃんを見てると幸せな気分になってきた。秘密にはしているが僕は郁絵ちゃんのことが好きなのである。今のこの関係を崩したくないから告白はしてないけどね。。。


「どの教科が分からないの?」

「うんとね、歴史がちょっと分からないところが多くて」


郁絵ちゃんは歴史が苦手だ、人と話すのが得意なので国語は優秀なんだけどね。


「天津君は歴史得意だもんね。昔のこととか覚えて楽しいの?」

「うん。昔の人がどんなことを考えてそうしたのかとか、あの時に違う選択肢が選ばれたらどうなったとか想像すると楽しいよ。」

「私にはそんな想像することなんてできないよ、天津君てすごいよね。」


郁絵ちゃんに褒められた。舞い上がってしまいそうだがそこは平静を装う。変な奴と思われたくなしね。


「おしゃべりはこれくらいにして勉強しようか?」

「うん、教えてほしいのはね。。。」



**********************************************



勉強を教えていて感じたことだが、郁絵ちゃんは頭は悪くない。僕が教えた事を理解してどうしてそうなるかを自分なりに考えている。歴史が苦手なのは単に興味が薄いからなんだなぁ。

僕にとって至福な時間ではあったが、もう日が暮れ始めた。そろそろ帰らないといけないな。


「神薙さん、そろそろ帰ろうか?」

「そうだね、天津君。ありがとう勉強に付き合ってくれて」

「僕も楽しかったから。神薙さんさえ良ければまた教えるよ」

「うん、時間があればお願いね!」


照れた様子の郁絵ちゃん。なんかイイ雰囲気なような気もしないではないが、僕の勘違いだったときはダメージで死んでしましそうだから踏み込みません。

ヘタレ?何とでも言ってくれ。郁絵ちゃんと話できなくなるくらいならこのままで十分なんだよ、僕は!!!




**********************************************



家も近所ということで今日は一緒に下校することになりました。本当は毎日でも一緒に帰りたいけど、付き合っている訳ではないんでね。


「神薙さんって料理が好きなんだってね」

「えっ、どうして知ってるの?」

「神薙さんのお母さんから聞いたんだ、最近料理にハマってるって」


郁絵ちゃんのお母さんはうちの母親と仲が良く、よくウチに来てはお茶を呑みながらおしゃべりしている。郁絵ちゃんの情報が聞けるから僕としては嬉しいが、お茶汲みさせるのは勘弁して欲しい。おかげでお茶汲みの技術がかなり向上したのは喜ばしいことなんだろうか?


「もう、お母さんたら・・・」

「でも神薙さんの料理か、上手に出来るようになったら食べさせて欲しいなー」

「本当に!」


思わず出てしまった本音に物凄い勢いで反応した郁絵ちゃん。なんか目に力が篭っているよ。


「うん、神薙さんの料理なら是非食べてたいな。でも試食係が僕でいいの?」

「イイの、絶対に食べてね。約束だから!」


物凄く機嫌の良くなった郁絵ちゃん。僕に好意があるとは思うけど"Love"か"Like"か分からないからこれ以上は踏み込めない。ヘタレでもいいんだよ!!!


玄関について外履きに変えようとしていたときに校内が騒がしいことに気付いた


「なにかあったのかな?」


郁絵ちゃんが心配そうにしている。本当にやさしいコだなぁなど思っていると自分達の足元が光っていることに気付いた。確認すると訳の分からない魔方陣?らしきものがある。オタク系である僕はこの状況に心当たりがあった。対象範囲には郁絵ちゃんもいる!最悪だ、郁絵ちゃんも巻き込まれる可能性がある。


「郁絵ちゃん、手を繋いで!」

「ユキ君!」


咄嗟に郁絵ちゃんの手を掴もうとしたが間に合わず、溢れかえる光の中で僕は意識を失った。。。


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