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フクロウさん

作者: 173

 小学校の頃、彼女は授業中、外を見るのが好きだった。当時の彼女の教室は一階で、後ろの方の窓際の席が彼女の席だった。その席を彼女は大層気に入っていた。何故なら、窓から外を見ていることができたからだ。

 窓の外には背の低い植え込みがあり、春先にはピンクや白の花が咲き乱れていた。彼女はそれを見るのが楽しくて、毎日学校に通っていたようなものだった。


 その花が茶色く枯れ落ちてしばらくした頃。彼女は植え込みから誰かが見ているのに気がついた。

 青々と茂った葉っぱの隙間から、目だけがぎょろりとこちらを見ている。体や顔は隠れてしまって見えないが、いつも大きな二つの目玉だけは見えていた。

 彼女は目だけのそれを「フクロウさん」と呼んだ。当時の彼女の知識の中では、木にいる目が大きいもの=フクロウということになっていたからだ。

 最初は彼女も驚いて、友達に報告することもあったが、木の葉が上手いこと重なっているらしく、彼女の席に着いて、彼女の位置、高さ、角度から見ないと見えないらしい。他の同い年の子より体が大きかった彼女と同じ座高の子はおらず、彼女の席に座ってもフクロウさんが見えた者はいなかった。


 彼女は毎日学校に来るとフクロウさんとにらめっこしていた。彼女は何故かそれを怖いものだとは少しも思わなかったのだ。


 結局一ヵ月ほどでフクロウさんはいなくなってしまった。その間、彼女は一回もフクロウさんの目の部分以外を見たことはなかった。

いつもこんな妄想をしてます。

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