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白い月  作者: 佐久間 迅
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結果

「し、死神っ……!!」

綾希は死神の消えた跡を見つめてうろたえた。本当に消えてしまった。綾希は自分もこうなるのだろうかと怖くなる。

「……あれ?」

ふいに足元に落とした目線が何かを見つける。しゃがんで確かめるとあの懐中時計だった。綾希は拾い上げて、まじまじと見る。そこでふと疑問が浮かんだ。この時計は日野桜のものなのか、死神のものなのか。半信半疑ながらあの二人は同一人物ということは認めつつある。しかし桜が見せた時計と死神が見せた時計は何処か違った。

「そうだ文字盤……!」

確か死神の時計は文字盤がなかったはずだ。小難しい理由はよく覚えていないが確かにそうだった。

「死神の特権です。」

そう言った死神の姿が浮かぶ。どちらのものとはわかっていないが仮に死神の物だとしたらこれを置いて消えたというのは死神でなくなったということなのか。それよりも、この時計をほかの死神も持っているのだろうか。桜が父から貰った物とデザインが同じなのはただの偶然か……。

「消える前に聞いとけばよかった……。」

自然とため息が零れた。とりあえず今は目の前の疑問を晴らそうと綾希は懐中時計の蓋を持ち上げようとした。しかし次の瞬間、綾希は勢いよく時計から手を離した。時計がカチャン、と音を立てて地面に落ちる。

「今のは……?」

時計に触れた瞬間、何か電流のようなものが流れた気がした。綾希は落とした時計を拾おうとしゃがみ込む。そのとき綾希の体に突然異変が訪れた。心臓がドクンと鳴る。汗が一筋綾希の頬を伝った。自分はこの感覚を知っている。綾希は次に起こることが予測出来た。その予測は狂いなく当たる。綾希は迫りくる胸の苦しさに眉を寄せる。運試しは失敗だったのかもしれない。死神は今頃どうなっているのだろう。どうせ死ぬのであればこんなことをせずに好きな物を食べるとか家族や友達と話しをしておけばよかった。しかし運試しにのったのは自分だ。生にしがみついた結果がこれかと情けなくなる。

「あんたと私の絆はやっぱり死のままだったよ、死神……。」

綾希は絶え絶えの息でなんとか言葉を発する。最後の方はほとんどかすれてしまった。だが別に構わない。誰に言った訳ではない。そもそもこんな時間に人はほとんど、というより一人もいない。言い切った綾希は口を開いたまま苦しそうに呼吸を繰り返す。その回数はだんだんと多くなり、数分後綾希はそこで意識を失った。傍には懐中時計が綾希を見守るかのように置かれている。空にはやや低めな位置の太陽と白い月がそれぞれ昇っていた。


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