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白い月  作者: 佐久間 迅
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少女は消えた

静かな川のほとり、二人の目の前には壊れてしまって途中までしかない橋がただ存在していた。よくみると橋の材質は木で相当古いもののようだ。川が増水した様子もなく寿命だったのだろう。

「うわぁ、橋ぼろぼろー。」

桜は壊れた橋から身を乗り出して川を見ている。

「桜ちゃん、危ないから降りて。」

もうあんな気分はごめんだと綾希は桜を注意した。それにしても橋が壊れたのをニュース以外で見るのは初めてだ。何も対処がされていないところを見ると、壊れてからまだあまり経っていないのだろう。綾希は周りを見回したがそれ以外の橋は見当たらない。さらに遠回りしなくてはならないのか、と綾希は顔をしかめながら桜に声をかけた。

「川、渡れないね。あっちの方まで橋を探しに行こうか。」

桜の方を向いた綾希は言葉を失った。

「綾希さん……。」

そこには桜はいなかった。

「さっきぶり、ですね。」

「どうして……。」

代わりに綾希を過去へ飛ばした張本人である死に神が立っていた。死に神はゆっくりと綾希に歩み寄って来る。綾希は瞬間的に今は何時なのか確かめたくなった。自分は運命を変えることができたのだろうか。

「……もう時間なの?」

そう言われた死神は表情を変えずに返事をする。

「いえ…違うと思います。」

「思います?なに、その適当な言い方。」

そう言うと死神は言葉を探しながらぽつぽつと喋りだす。

「私は綾希さんに時間を告げに来たのではありません。私が来なくても何かしらの結果が出ますから。私自身も何故ここへ飛ばされたのか、わからないんです。」

「そんな……。」

嘘でしょう、という前に死神は続けた。

「しかし一つだけ、わかったことがあるんです。」

「え……?」

死神はポケットをゴソゴサと漁り、「これです」と取り出した物を見せる。

「それは……!!」

綾希は目を見開く。死神が見せた物は時計だった。綾希が過去へいくときに死神が使った時計、そして桜が父から貰ったといって自慢げに見せた懐中時計だ。それをみて綾希の脳内で一つの結論が出た。この時代で起きたことが推理小説の伏線のように頭の中を巡る。綾希は特別勘がいいという人間ではない。本人も自覚している。しかし、これは恐らく間違ってはいない。根拠はないがそんな予感がした。綾希はその結論を抱きながら、まるで何かの結果発表を聞くような気持ちで死神の言葉を待った。死神がゆっくりと口を開く。BGMのように規則的な川の流れる音がしていた。

「私の、」

綾希は緊張した面持ちで死神の顔を見ている。

「私の名前は日野桜。父親が死んだ夜に橋から落ち、この川で死にました。」

死神は息継ぎをすることなく言い放った。綾希は頭が追いつかず、頭の中で必死にその言葉を理解しようとした。死神は暗闇にぼんやりと浮かぶ月をただ眺めている。


けっこうな間、更新から遠ざかってました……

でもクリスマスまでには絶対、更新しよう!!と思っていたのでなんとか間に合ってよかったです

白い月は終盤に差し掛かってるんですが年内に終わるか、年初めか…といった具合です

とにかく頑張ります!


佐久間でした。

メリークリスマス!!

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