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第4話 ~市長邸防衛戦~

うぃーす、蓮だ。今は俺の家で待機中だ。『仕事』までまだ時間がある。ちなみにアリスたちもついてくることになった。


「お前ら準備とかはいいのか?」


「大丈夫だよ」


「ところで、市長を狙って来るのってどんな奴らなのよ」


「うちの市長は色々と裏の連中に恨まれるようなことをしてきたからな。ヤクザとかにはよく狙われてる。今日来る奴らはそんなのばっかだろ」


「じゃあ余裕だね」


「ところでお前らの魔術ってどんな仕組みなんだ?」


「ん〜っとね……」


何故か話すのをためらうアリス。


「どうした?言いづらい事なのか?」


「蓮の頭じゃ理解できるわけがないから言ってもムダってことよ」


「どういう意味だよそれ!」


「そのまんまの意味よ」


「ウゼェェェエ!」


その時、携帯のアラームが鳴った。


「っと、もう時間か。二人とも行くぞ」


「蓮は何か持ってかなくていいの?」


「ああ、俺はコイツで十分だ」


そう言って俺が手にとったのはただの木刀。


「アンタ、馬鹿じゃないの?そんなただの木で戦うつもり?死にたいの?」


「お前、俺の事ナメてるだろ………いいんだよコレで。ヤクザ相手には十分すぎる。ほら、さっさと行くぞ」


「「はーい」」


そう言って俺らは家を出た。







「さあ、さっきの続きだ。魔術の仕組みについて話してくれ」


「魔術っていうのは、魔力の塊みたいなものなの。この世界には六大精霊っていうのがいて、精霊と契約して魔力をわたすことで、それに見合った魔術を使えるんだよ」


「じゃあ一回契約しちまったらもうその精霊の力しか使えないってことか?」


「契約は一時的なものよ。だから、私たちはどの精霊とでも魔力が続く限り契約できる」


「基本は火、水、風、地の四大元素から成り立っていて、それぞれサラマンダー、ウンディーネ、シルフ、ノームと契約すれば使える魔術なの。その上位に光と闇があって、ゼウスとカオスと契約すれば使えるらしいよ」


「らしいって何だよ」


「光の魔術が使えるのはホントに少しの人だけなの。闇なんか今では誰も見たことのない魔術だから、昔の事を調べるしかないの」


「ふーん…なんか、大変だなお前ら」


「蓮…アンタ結局理解できてないでしょ」


「失敬な!……っと、お喋りもそろそろやめねーとな」


「あんたが説明しろって言ったから説明したんじゃない!」


「お前はほとんどなにもしてねーだろ!主にアリスしか説明してくれてねーよ!…あ、アリス、ありがとな」


「え?あ、いいよ別に」


アリスが頬を少し紅く染めた気がしたが、特に気にしない。つーかローラはうるせーな……


俺たちが話している間に、いつの間にか市長邸に着いた。
















「あ、蓮。やっと来たね」


馬鹿デカイ門の前に立ってたのは拓哉だった。


「なんだよ、まだ9時になってないだろ」


「予定が変わった。仕事内容は市長邸の守護。邸内には侵入者を入れるな……だって」


………………はい?


「いや、ちょっと待て。市長邸ってこの馬鹿デカイ屋敷のことか?」


「そうだよ。市長が外に出るのをやめちゃったからね。執事さんが土下座して謝ってきたよ」


「ふざけんじゃねーよ!この引きこもりチキン野郎がァァアア!!」


「まあまあ。確かに二人だったら危なかったけど、きょうはアリスとローラがいるから大丈夫だよ」


「お前、二人だったらどうしてたんだよ…」


「さあ?」


「…まあいいや。とりあえず4人いるから、東西南北に一人ずつでいいな?」


「「「了解」」」


結局、俺が北、アリスが東、ローラが南、拓哉が西を守ることになり、それぞれ持ち場に散った。













〜side拓哉〜


拓哉が他の三人と別れてから十分ほどで、ヤクザがた。


「…やっと来たね」


拓哉は即座に敵の数を確認する。ざっと二十人ほど。


「まぁ…大丈夫かな」


ヤクザの一人が先陣をきって来る。武器は…刀。構えから見て素人と分かるほど。


「……始めましょうか」


と拓哉は呟き、一瞬で間合いを詰め、鳩尾に膝打ち。ヤクザは呆気なく気絶する。


それを見た他のヤクザも次々と拓哉に襲いかかる。


(これは柔術を使うまでもないかな…)


拓哉は一人一人の動きを見極め、的確に急所を突き気絶させる。


ヤクザを無力化してるうちに、他の場所でも爆音が聞こえ始めた。


他に気をとられていたら、目の前に男の刃が迫っていた。


「チッ!」


拓哉は舌打ちをしながらそれを避ける。


「あなた、素人じゃありませんね…」


男は無言で拓哉に迫まり刀を振る。しかし拓哉は見切り、避けて反撃をしようとするがその間に男は間合いをとる。


「面倒だな…分かりました。そっちが本気ならこっちも」


そう言って拓哉は構えをとる。


再び男が迫る。


「月下柔術、『風旋』」


男が降り下ろそうとした刀を左上段蹴りで弾き飛ばす。そのままの勢いで左足を軸に右回し蹴りで相手のこめかみを射抜く。男は5メートルほど吹っ飛び、意識を失った。


「………ふう…蓮たちは大丈夫かな…」
















〜sideローラ〜


「………人数多すぎよ!!」


ローラは自分の前にいる人の数に唖然としていた。今目の前にいるのはざっと50人。


「まあ、あんまり関係ないけどね………我、シルフと契約し、風を操る。前方に展開、敵を切り裂け!」


ローラが唱え終わると同時にカマイタチが発生し、ヤクザを切り裂いていく。数秒後、ローラの元にいたヤクザたちは全滅していた。


「……弱すぎね」
















〜sideアリス〜


「凄い音……ローラかな」


アリスは一人の青年と対峙していた。他の奴らは既に気絶している。


「よそ見をするな!!」


「キャッ!」


青年の剣を間一髪避けてアリスは体勢を建て直す。


「我、シルフと契約し風を操る。前方に「遅い!」クッ!?」


アリスが詠唱を終える前に青年が迫り、切りつける。仕方なくアリスは魔術をやめて回避する。


アリスは苦戦していた。魔術は発動すれば協力だが、詠唱時間が長い。この青年はその間にアリスに攻撃を仕掛けていた。


「どうすれば…」


「隙ありィ!!」


「!?しまっ…」


アリスが油断したわずかな隙で青年はアリスを斬りつけた。


「れ………ん……」



斬られたアリスは気を失った。















〜side蓮〜


俺はイライラしていた。え?なぜかって?だってさぁ………


「何で俺のところには誰一人として来ないんだよォォォオオオ!!!」


そう、周りで戦いを行ってる音がしてるのに俺のところだけ何もない。


「ふざけんなァァァアア!なんなんだよチクショォォオオ!!!」


俺はここにいてもしょうがないと思ったから、他のところに参戦しようと思っていたら、拓哉が来た。


「あれ?蓮はもう終わったの?」


「ああ?俺のところに誰も来なかったじゃねーかよ!どうしてくれんだよ!」


「いや場所決めたの蓮だよ?」


「俺のバカヤロォォオオ!」


と拓哉としゃべっていると、ローラが走ってきた。


「ローラか…終わったの「アリスがいないの!」…なに?」


「私が雑魚を倒してアリスの所に行ったときにはもういなくて…」


今にも泣きそうな顔でローラが言う。


「マズイね…人質にとられたかも知れないな。しかも中に侵入を許した……って蓮?どうした?」


「くくく……人がイライラしてるときにやってくれんじゃねぇか…おいローラ!拓哉!行くぞ!」


「当然よ!」


「やれやれ…」


こうして俺たちは市長邸に入っていった。















「………や、やめてくれ…」


「うるせえ!テメエは俺らを裏切りやがったんだ!死んで償え!」


「やめなさい!「お前は黙ってろ!」キャァ!」


ある一室で、市長と青年が対峙していた。


「あれは仕方なかったんだ…」


「何が仕方ないだ!テメエはこっちの人間だったんだぞ!それが何で市長になってやがるんだよ!なんで俺らを潰そうとしたんだよ!」


「もう理由がめちゃくちゃだよ!何でこんなシリアスな場面で私が突っ込まなきゃならないのさ!」


「うるせえ!」


私は青年に蹴られた。斬られた傷は治癒魔術で直したが、完全ではない。意識がもうろうとする。


「まずはお前から殺してやるよ…!」


青年の刃が振り上げられる。もうダメだ…




「おい、お前いい加減にしろよ」




その時、聞きなれた声が聞こえた。



「れ……ん…」
















蓮の怒りは最高潮だった。目の前にはボロボロのアリス。しかもそのアリスに刀を振り下ろそうとしている男。キレる理由は十分だった。


「れ……ん…」


アリスが呟く。


「何だお前…」


「そいつから離れろ」


「はあ?お前何言って「そいつから離れろ!!」……チッ」


「…覚悟は出来てんだな?……来いよ」


男が蓮に迫り、斬りかかる。それを避け、頭に木刀を叩き込む………事は出来なかった。男はいつの間にか間合いをとっている。


「ねえ拓哉、蓮はアイツに勝てるわけ?」


ローラが拓哉に聞く。


「まあ見てなよ。あの状態の蓮に勝てるやつなんていないからさ」


拓哉は笑いながらそれに答える。



男が蓮に迫り、刀を振り下ろす。


「……月下剣術、協奏曲『罰』」


蓮が呟くと同時に男の手を木刀で打ち抜き、刀を飛ばす。ひるんだ男の懐に素早く潜り込み、木刀を振り抜く。男は派手に吹っ飛び、気を失った。
















「………まぁ、こんなもんかな」


俺は男との戦いを終えた後、アリスのところに行った。


「大丈夫かアリ「蓮!!」ウォッ!」


突然アリスが泣きながら抱きついてきた。


「グスッ………怖かったよ……」


「………よく頑張ったな」


「……うん」


「……帰るか」


「うん!」


「おい!貴様ら!」


俺らが振り向くと市長がいた。


「この屋敷に一歩も入れるなと言っただろ「お言葉ですが市長」」


拓哉が市長の言葉を遮る。


「今回の突然の依頼変更を言ってきたのはどこのどいつだかご存知ですか?」


「そ、それは…」


「ん?何ですかチキン野郎」


「ぐ……」


「そう言えば、市長ってそっちの人だったんですよね?これをネットにさらせば一体どうなるんでしょうかね…」


「!!頼むからそれだけは止めてくれ!今回の件は無かったことにするから!」


「まったく……自分の立場をわきまえてほしいですね」



「「「…………」」」


「ん?どうした?さっさと帰ろうか」


俺らは拓哉に逆らうのはやめようと密かに誓った。



こうして、長い一日が終わった。


作「第4話、いかがでしたか?」

蓮「暴れ足りねーな」

作「いや十分だろ」

蓮「結局突っ込みはあるじゃねーか!」

作「それでは皆さんまた5話で会いましょう!」

蓮「突っ込まんぞ」

作「あ、ヒドイ!」

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