表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リシュエル1 魔導騎士リシュエル   作者: 五十嵐 綾子
13/26

7話 王位継承権


 私、王子セゥルドはここ数年の間に、多くの貴族達から、王位継承権を得るべきだという進言を受けていた。その者達は、西の大臣、北の大臣、そして、その両大臣に意見を同じとする。要するに、新しい政権を望む者達である。

 私自身は是非に王になりたいとまで願った事は無かった。

 何故ならば、私の弟であり、東の大臣という強力な後ろ盾のある、正妃の子、イルス王子が王位継承権が最も上と誰もが思って来たし、更には、近年父に気に入られ、娘御を第二妃として、父に差し上げ、大臣となった東の大臣の姫君の王子キリアルが、私よりも母の位が高いからである。私は、自分が王位継承権を主張する事で、国情が不安定に成るのを望まなかった。

 実際には父である現王が、政治に対し全く関与しようとしないので、誰が次期王と明確な事は言っていない。それが、大臣、貴族達を分裂させているのも事実である。

 父王は兼ねての政治は大臣、政治家、貴族達に任せきりである。

 先々代の王がご存命の時、父があまりに政治に興味を示さない様子を心配し、ある男にこの国の先行きを助して欲しいと頼み、その男というのが、リードであった事を、近衛隊の長であるヴォルドーから聞いたのはつい最近の事であった。

 リード、すなわち魔導騎士リシュエル。彼が何故、私を気に入り、支援してくれたのか、私には解らぬ事だったが、今思うに、彼は誰の後ろ盾も無いからこそ、私を選んだのではないかと思う。彼が望んでいるのは新しい政治体制なのであろう。

 そして、子供の頃より、王位継承権が無いと思われ、特別な扱いも受けず、気が向いた時に何時でも城下へ出かけ、民衆の生活を垣間見てきた私を、善き王に成れるだろうと判断したのでは無いかと思う。



 さて、私のこの所の心配は、王位継承権争いに業を煮やしたグラウダ大臣の動向である。父王に気に入られてからの彼の権勢たるは、まさに飛ぶ鳥をも落とす勢いであるが、

父王の衰えにいささかの不安も感じているだろう。

 そして、不報が知らされたのも、何も無い事を祈っていた矢先であった。第2王子東の大臣家の王の正妃の息子である、イルス王子が、毒殺されたという物であった。

 

 宮殿内の誰もが騒然となり、緊張が高まった。

 権力者達の間で多くの噂が飛び交い、明らかなる言い争いなどが勃発するようになった。

 その事件より、一週間に満たなぬ頃、私の元にミストという青年を伴ったリードが現れた。

「王子、次はあなたの番ですね」

 というリードの言葉の意味は深かった。

 次に命を狙われるか、はたまた、イルス王子を暗殺を企てた者とされるか、そして、何より、身の潔白を明かすには、王位継承権を得るしか無いのだろうという事なのだ。

 わずか数日の間に、私の覚悟は決まっていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ