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ひときわ大きな家の前に着いた。
そこから小柄な老人が出てきた。
「これが今回のいけにえかね」
老人がそう言うと、男がうなずいた。
――いけにえ。何のことだ?
そのまま家の横に連れていかれた。
そこにはとても小さな神社のようなものがあった。
鳥居も人が通れないほどの大きさだ。
そして三十人ほど人も。
それを見て立川は思い出した。
この地に赴任してきたとき、図書館でここの歴史を調べた。
立川は出張の度にいつもそうするのだ。
何かの話のネタになるかもしれないと思って。
そして数枚の村の写真を見た。
四十年ほど前に、大規模な土砂崩れで一瞬にして埋まってしまった村。
その村の在りし日の姿を収めた写真だった。
そこにこの小さな神社のようなものが写っていたのだ。
写真の端に映る家も全く同じ家だ。
するとここは、壊滅する前の村だというのか。
「やれ」
老人がそう言うと、男が立川を引きずり始めた。
そして穴の前に連れていかれた。
人一人がぎりぎり入れるくらいの大きさの穴。
暗くて底が見えなくて、その深さはわからなかった。
「どうするんだ!」
立川が叫ぶと老人が言った。
「どうするって。わかりきったことじゃ。この村に災いが起こらぬよう、あんたには人柱になってもらうんじゃ」
――人柱?
この穴の中に人を入れて埋めるようだ。
もう四十年も前に、この村は滅んでしまったと言うのに。
立川は思わず叫んだ。
「おい、そんなこと無駄だ。この村は四十年も前に、土砂崩れで壊滅したんだ!」
それを聞いて老人と周りの村人に、明らかな動揺が走った。
ざわざわとざわめきが聞こえる。
すると老人が声を出した。




