№_22_ふりがな版
暗雲低迷
時は戻り、神社~
「本当に、何しに来たんだ?」
三人を見送り、一人、取り残された、剛。
悠の怪我のことを思い出した剛が、道の奥を眺める。
「救急隊は~来ていない?」
「緋色…騙したな!」
再び、沸き立つ怒りを、堪える。
「まぁ~良いか。命に係わる怪我でも無いし…」
「あっそう。良いんだ、帰っても?」
気配を消し、剛の背後の壁に寄りかかる、暗摩。
「どちら様で?」
声の主を警戒し、後ろは振り返らずに、質問を返す。
「それは、敵か、味方か、という意味かな?」
後ろに気を取られる剛の目の前に、突然、姿を現す、暗摩。
暗摩から一歩、後退りし、お札を構える。
「敵…だな」
「あ~敵じゃない、敵じゃない。味方」
両手を上げ、敵意が無いことを示す。
「申し遅れました。私は、安嘉病院 霊傷科の、上霜 暗摩です」
「病院…なんだ。救急の隊員か」
「救急隊では無いけど…ま、似たような者だね」
剛が構えたお札を、取り上げる。
「まさか、結界のお札で、倒すつもりだったとは?」
「脅しの効果は、あっただろ?」
「ありましたよ。恐い表情も、相まって、ね」
戦闘で傷つけられた箇所を抑え、暗摩を睨む。
「・・・そりゃ、どうも」
「そんな、敵意むき出しで、睨まないでも…ね?」
取り上げたお札を壁に貼り直し、剛の傷を指差す。
「信じられるわけ・・・痛みが消えた⁉」
押さえた手を退け、治った傷を確認する。
「ね!これで、味方だと信じてくれた?」
「…こっちだ。悠の傷を見てくれ」
道を歩き出し、悠の元へ向かうよう促す。
「え?貴方が、悠では?」
「俺は、悠の守護霊だ…」
「・・・えーーー!あっそう。守護霊ね~」
歩く剛の体を、下から上までじっくりと確認する。
「な、なんだよ…」
「いや~多分ね~」
何かを隠した様子を見せ、剛から視線を逸らす。
「はっきりっ!痛‼」
突然、剛の体に、激痛が走る。
「あ、やっぱり…」
「な、何しやがった!」
「ごめんね~間違えて、対魔の治療を施しちゃった」
「馬鹿やろー!痛‼」
全身に流れる痛みに耐え兼ね、その場で、のたうち回る。
「大丈夫。数分で消えると思うから…多分」
「数分‼」
結果、20分間の苦痛に耐え抜いた剛は、痛みを抱え、悠の元へと向かった。
「悠!医者を連れて来たぞ」
「えっと~怪我人は、あれかな?」
暗摩が差した指の先には、百に関節技を決められる悠の姿があった。
「痛い!痛い!痛い!」
「はぁ~骨が折れてる体で、馬鹿なことを…」
溜息を吐き、頭を抱える。
「あれは…普通の救急を呼んだほうが、良いかもね~」




