№_18_ふりがな版
悪口雑言
事務所入口~
「と、いうわけで…」
「稀代の天才、矢真白 百。よろしくね!」
お決まりの自己紹介をしながら登場した百を、白い目で見る、悠。
「…はい。よろしくお願いしますね、百くん」
ファイルを持った腕を広げ、百たちを招き入れる、高見。
「緒乃葉も、悠も、お疲れ様でした。では、次の仕事です」
資料を綴じたファイルを、悠に手渡す。
「あの~」
「私に、お任せください。社長の為でしたら、どこへでも参ります!」
悠に渡されたファイルを取り上げた緒乃葉が、名乗りを挙げる。
「いや、休ませてよ!」
「休み…ですか?」
叫ぶ悠に、不思議そうな表情を見せる、高見。
「依頼の途中で、睡眠を取らなかったんですか」
「そんな時間、無かったけど…」
「あ~楓でしたね…」
「ふぁ~おはよ~どうしたの?」
寝起きの楓が、奥から顔を出す。
「・・・」
休みが無い理由を理解する、悠。
「あ、お札!頂いてきましたよね?」
高見は、空いた掌を晒し、悠に、お札を要求する。
「何の話ですか。聞いてないんだけど…?」
「私、お願いしたよね?」
惚けた笑顔で首を傾げた高見が、緒乃葉に尋ねる。
「社長が、間違うわけありません」
高見に訴える緒乃葉は、振り返り、悠を睨む。
「突っ立っていないで、早く、取りに、戻りなさいよ」
「・・・は~い」
怒りを抑えた顔で、事務所を飛び出す、悠。
「ふざけるな!」
蹴り飛ばした石ころが跳ね返り、後ろから付いて来た剛に当たる。
「痛!」
怒りが収まらない悠は、頭を抑える剛に詰め寄った。
「お願いなんて、聞いてないよね⁈」
「まず、この傷を謝れよ…」
「絶対!社長が忘れてたのに…」
「緒乃葉…先輩は、社長信者だから、聞く耳持たないし!」
「楓も、百も、薄情者だよ!助けを求めたのに、目線を逸らされた…」
「皆、あれだ!あれだよ、あれ」
不満を吐くが、大事な言葉が出てこない、悠。
「あれって、何だよ…」
不満を漏らしながらも、神社に着いた悠は、社務所の台に身を乗り出し、鉄男を呼ぶ。
「すいません。札、お札をください」
しばらく待つが、返事が無い。
「居ねぇな?奥を、見に行くか?」
身体を浮かせ、台を越える、剛。
「うん。いってらっしゃ~い」
社務所奥を覗く剛に、手を振る、悠。
「俺だけかよ!まあ、いいけど…」
剛は、文句を言いながらも、奥へ消えて行った。
「留守?」
「留守?ここに居るけどな~」
耳元で囁かれた声に、驚いた悠が、振り返る。
「こんにちは、悠くん。覚えてる?」
「あ~頭の人だ…何でここに?」
「頭、ふふ。面白いな~悠くんは!そのまま、もっと楽しませてくれるかな?」
含んだ笑みで、悠を見つめる、天。
「逃げろ、悠!」
ドンッ。
社務所奥から、壁を衝き破った剛が、吹き飛んできた。




