№_10_ふりがな版
悪逆非道
「守護霊は、宿主から離れることは出来ないはず…この近くに居るってこと?」
「悠。お隣に、人が住んでいないか見てきてよ」
「はい・・・え、一人で?」
「うん」
「何で?楓は、行かないの?」
「だって、人が住んでたら、不法侵入になるじゃん」
「捕まりたくないと…」
「そう」
「あの~お尋ねしたいことが~」
「な、何ですか。急に?」
「お隣に、人は住んでいますか」
「多分、住んでいますよ。たまに、音がするので…」
「おお。そんな方法が!」
「伊達に、9回も捕まってないよ」
「お~い。誰も住んでなかったぞ」
ひっそりと、壁を抜けて確認していた、剛。
「え!誰も住んでいない…て」
「え~嘘ついたんだ~」
「いや!噓じゃないですよ。本当に音が…」
「悠。行こうか」
「はい」
「行くって、お隣にですか!それって、不法侵入になるんじゃ…」
お隣の扉の鍵をピッキングする、悠。
ガチャ。
「開いたよ」
「さすが~常習犯」
「ピッキングは、”一回”しかやった事ないよ!」
「一回は、あるんだ~」
「そんな事より、入ろうよ。中に」
「駄目ですよ!不法侵入。犯罪ですよ、これ!止めましょう」
「だって。どうする?」
「いや、いや、入るよ。ここまで来て、止めるという選択肢は無い!」
扉を開き、二人を置いて、中へ入って行く悠。
靴一つ無い玄関。
「空き部屋だ…」
部屋の奥へと進む、悠。
『むしゃむしゃむしゃ、むしゃむしゃ』
咀嚼する音が響く、薄暗い部屋。
「誰か…居る!」
目線の先には、部屋の隅で背中を丸めて座り、
地面に積み上げられた食べ物を貪る、男が居た。
「し、失礼しました…って、人間?」
遅れて部屋に入って来た、楓と麗羅。
「あ!居た、居た。守護霊だ!」
「やっぱり、あれ守護霊だよね」
「な、人⁈ど、どうしましょう…」
「”人”じゃないよ。”幽霊”だよ」
「はい?」
「でも、何か様子が変だよ?」
『食べる・食べる・食べる・食べる』
「あ~本当だ。これは…悪餓の前兆だね」
「悪餓の前兆⁈と、止めないと!」
「え、何で?」
「守護霊が悪餓になったら、その宿主が…」
「その方が、好都合でしょ?
だって、僕たちが依頼されたのは、ストーカーの調査だよ」
「は?」
「ストーカーは、普通の探偵では見つけられなかった。じゃあ、その正体は…」
「悪餓になりかけた守護霊…」
「正解。このまま、悪餓になるまで見守ろうか」
「さっきから・・・何なんですか、あなた達は!」
溜め込んだ怒りを露にする、麗羅。
「調査だけど?」
「調査?不法侵入のどこが調査なんですか!
もういいです。依頼は、無かったことに…」
『うわぁぁぁ』
麗羅の怒りに反応し、悲鳴を上げる守護霊。
「・・・始まった」
満遍の笑みを見せる楓と、不安で顔が引きつった悠。




