№_09_ふりがな版
悪因悪果
椅子に腰掛ける、楓と悠。
「どうぞ。粗茶ですけど…」
テーブルに、ティーカップが三つ置かれる。
「急に押し掛けたのにすいません」
「いただきま~す」
ゴクゴク。
「苦~」
「…薬だ」
「臭っ!これ、お茶じゃねぇだろ?」
「す、すみません!普通のお茶は、置いてなくて…」
「ハーブティー?みたいなやつだ」
「ハーブの匂いじゃないだろ。これ!」
「ハーブとか、この部屋とか、こだわりが強いんだね?」
「いえいえ、普通ですよ。ふつうに”汚い部屋”ですよ…」
「いやいや。全然、汚く無いですよ」
「悠の家は、物だらけだもんね」
「そうそう。って、何で知ってるの⁈」
「身辺調査?だってボスが…」
「家、特定されてたんだ…流石、有名な探偵事務所だね」
「そうでしょ!凄いんだよ」
「褒めてねぇよ。嫌味だぞ」
「・・・待ってください。楓さんが、調査で家に?」
「そうだよ」
「何も触って無いよね?」
「それは…調査だからね!」
「おい。何を壊した?」
「大丈夫。棚に飾ってあった人形の腕が、取れただけだよ」
「楓!あれ、高かったんだよ‼」
楓に掴み掛かる、悠。
「あはははは。ごめん、ごめん。ボスに頼んで、弁償してもらうから…」
「あ~そうですね…そうしましょう、楓さん」
悪いことを思いついた顔をする、悠。
「楓でいい。年下だし”さん”は要らないよ」
「あ~そうだよね」
「楓さんは、何歳なんですか」
「”21”だよ」
「え!そ、そうなんですね…」
中学生ぐらいの幼い見た目で、大人としては幼稚な言動を見せる、楓。
「・・・年上だった」
「うん?何か言った?」
「いえ!何でも無いです」
「敬語も、使わなくていいよ。僕より年上なんだからさ!」
「い、一応、探偵としては先輩なので…」
悠は、”年下だと明かしたら、面倒なことになる”と直感し、
年齢のことは、黙っておくと決めた。
「じゃあ先輩として、悠に問題を出そう!」
「はい?何ですか」
「今、おかしな事が起こっています。何でしょう?」
「おかしな事?ですか…」
「私が、何か粗相を…」
「いえいえ、お茶も美味しかったですし、違うと思い・・・」
「あれ?守護霊って、普通の人には見ないんじゃ?」
「どうだろう?
剛は、実体を持つ能力だから、普通の人も見える幽霊なのかも?」
「あの~何の話を?」
「もしかしたら、この人が”見える人”の可能性もあるよ!」
「たしかに…」
「回りくどい。
幽霊が見える人間は、幽霊に何らかの干渉を受けたやつなんだろ?」
「な~んだ。知ってたんだ…」
「悠は、あの化物に殴られた直後、俺が見える様になった。
偶然にしては、タイミングが良すぎる」
「なるほど…流石、おっさんだ。頭いいな」
「おっさんなのは、関係ないだろ!」
「そういえば…楓の守護霊を見ていない!」
「…僕には、付いて居るんだよな~」
「確かに、姿は見えないけど!もっと、気になる奴が居るだろ!」
「もっと?誰?ボスのこと?」
「あの!さっきから、幽霊とか、化物とか、何なんですか!」
突然、声を荒げ、感情を露にする、麗羅。
「す、すみません。何でも…」
「あ!この人か→」
守護霊が付いていない依頼者に、今更気付く悠。
「な、何なの!いきなり、指差さないでよ!」
「正解。でも、どこへ行ったのかな?守護霊」
部屋の中を探すが、麗羅の守護霊の姿は、どこにも見当たらなかった…




