№_07_ふりがな版
青息吐息
「何が気にいらないの…名前?」
「気にいるわけないだろ!こんな名前」
「なんで?かっこいいでしょ」
「ああ。かっこいい!」
「じゃあ…何に怒ってるの?」
「…能力だよ」
「能力?」
「あの~二人とも…↑」
「うん?」
「そろそろ、下ろしてあげたら↓」
「あ…」
口から泡を吹き出し、気を失った楓を、慌てて地面に寝かせる。
「し、死んだ⁉」
パチッ。
突然、目を開くと、飛び上がる様に立ち上がった、楓。
「ボス。お帰り~」
「はい。ただいま」
「ふー。生きてた~」
「君、だれ?」
「あらら。記憶が飛んでるよ…」
「こちらは、新人の悠くんと守護霊の剛だそうです」
「もう守護霊に、名前が付いているんだ。すごいね!」
「⁇」
「あれ?聞いていませんでしたか」
「ああー、伝えてなかったな~」
「何を?」
「名前付けは、失敗すると命を落とすことがあるんです」
「はあ~聞いてないんですけど…」
睨みつける悠と、そっぽを向く剛。
「引き換えに、成功すれば、付けた名前に関係する能力を手に入れる」
「”剛の能力”って…」
「おそらく…”実体を持つ”だと思われます」
「実体?なんか地味だね」
「そう。地味だろ…」
「なんか・・・ごめん」
「でも、珍しい能力ですよ」
「珍しくても…」
「能力として、弱いね!」
「・・・」
「まあ、喧嘩はこれぐらいにして。
皆さん、もうすぐ依頼者がお見えになりますよ。準備してください」
「はーい」
「依頼?こんな時間に?」
「うちに来るのは、訳ありの依頼者だけだから」
「ふーん?」
「お茶。お願いしますね」
「・・・俺⁈」
「実体が在るのでしょ?働いてもらいますよ」
「それとも…無料で事務所に居座ると?」
「淹れて来ま~す。給湯室、どこですか…」
カランコロン。
「お待ちしておりました。どうぞこちらへ」
依頼者を、事務所奥の個室へ通す。
「なんで、ここじゃないの?」
「”プラなんちゃら”だって」
「あーあれね?」
「君たちは、ここで”待機”ですよ」
「はーい」
「はい」
「どうぞ。お掛けください」
「はい」
「お茶です」
「あ、ありがとうございます」
「本日は、どの様なご依頼で?」
「私、ストーカーの被害に遭っていまして…」
「はい」
「ここよりも大きな探偵事務所に、調査の依頼をしたんですけど…」
「失礼なやつ!ここも、一部では有名な事務所なんだぞ」
「しーー。気づかれるぞ」
「調査の結果”ストーカーは確認できかった”と言われてしまって…」
「なるほど…」
「でも…私、この目で見たんです!ストーカーは居るんです!絶対!」
「調査結果に納得できなかったから、ここへ来たと…」
「はい。調査してくれた探偵事務所から、
ここなら、なんでも引き受けてくれると、聞いて…」
「この事務所は、たらい回しの依頼者が、最後に辿り着く場所なのか。
だから、訳あり…」
「ん、うるさい!聞こえないじゃん」
「ちょ、やめろ!押すな…うわっ!」
「うわぁ!」
扉に聞き耳を立てていた二人は、
押し合いの末、壊れ扉と共に、部屋に雪崩れ込む。
「え⁉・・・」
気まずい空気を、笑ってやり過ごそうとする、楓と悠。
「・・・お受けしますよ。依頼は、こちらの二人が調査します」
「えぇ⁉」
「え⁉」




