№_06_ふりがな版
阿吽之息
日が落ち、一日が終わりを迎える。
ウィーン。
「終わった~」
「お疲れ様でした」
ビクッ
「え、え~と高見…夏樹さんだっけ」
「高見でいいですよ」
「なんで居るんですか」
「事務所の新しい奴…職員ですからね。作業を終えるまで、待っていました」
「いやだ!働きませんよ。あんな危険な仕事、二度とごめんです」
「では、こちらを」
高見は、数字が並んだ紙を、手渡す。
「これは?」
「壊した壺の代金」
「うっ」
「保釈金」
「うぅ」
「悪餓の除霊費用」
「えっ」
「壊れた警察署の修繕費」
「なんで!」
「悠くん救出に、結界を使わなければ、被害は、もっと少なかったんですが…」
「え~噓でしょ…」(あんなに苦労して、お札張ったのに…)
「と、いう訳で…全額、お支払い頂けますか」
「無理です」
「では!給料から天引きで、よろしいですね」
「…はい」
「あ!後、守護霊の治療費もですね」
「傷、治せたの⁈」
「霊力を注いだら、一瞬で治っちゃいましたよ」
「それだけで?」
「事務所で待っていますから、ご自分の目で、確かめてみては?」
「はい」
タッタッタッ
事務所へ走る、悠。
ダッダッダッ
「事務所って、どこ?」
探偵事務所が入る、小さなビルを見上げる。
「ここです」
扉を開ける、悠。
お洒落なカフェで寛ぐ、客の視線が、こちらを向く。
「・・・」
ニコッ
店主は、首を傾け、微笑みを見せる。
「えーと…」
「あ…言い忘れてた。事務所は、二階です」
「…遅い」
扉を閉める、悠。
「階段は?」
「あっち→」
ダッダッダッ。バタン!
「おっさん」
「うん。おお!」
事務所のソファーに横たわり、ポテトチップスを食べる、剛の後ろ姿。
「遅かったな。おまえも食うか」
「・・・」
バッ
「痛!」
「え?」
悠の振り上げた拳が、顔に当たる。
目線を上げると、全身を縄で縛られ、宙吊りになった状態の人物が居た。
「だれ?」
「あぁ。君は、ボスが言っていた新人くん?」
「え!なんで…」
「あ。君も吊るされとく?」
「だから、なんで⁈」
「ちょっと、しごごごご…あべ?あだまに血が・・・」
楓の顔から、血の色が消えていく。
「え、えぇー。ど、ど、どうしよう」
「縄を切れば、いいだろう?」
「そ、そうか…って、おっさんも手伝ってよ」
「おっさん?」
「え?」
「名前は?」
「えっと…剛」
「嫌だね!」
「はぁ~!」
バチバチバチ。
互いに、睨み合う。




