№_03_ふりがな版
相碁井目
「うわーー」
ドン、ドン、ドン、
四足歩行で地面を叩きながら、こちらに近づいて来る、化物。
「おい、どうするんだ」
「逃げますよ」
「は?」
「ぼー、とすんな!来るぞ」
言われるがまま、化物の進路から逃げる。
化物は、標的を横目に、止まることが出来ず壁に衝突した。
ドン! ガラガラガラ
「はあ、はあ。あぶねー」
「すぐに、次が来るよ。立ってください」
「逃げるだけって…どうにか出来ないのか?」
「捕り付いた霊が消えれば、暴走は止まるけど…」
「なら、早い話!」
「あの霊を”ぶっ飛ばせばいい”ってことだろ」
「あっ・・・」
上半身が壁に埋め込まれ、身動きが取れない化物。
その背中に付く霊にむかい、悠は飛びついた。
「あれ?」
悠の体は、霊をすり抜け、化物にぶつかる。
「わぶっ」
「あちゃ~」
「人が霊に触れるわけねえだろ。このバカ!」
「知らないよ、そんなの」
壁を抜け出した化物が、悠を見つめる。
「あ…ははは」
化物は、悠にむかい、右手を振り下ろす。
「…旭!」
高見の守護霊が、身に纏った炎を、化物の霊にむけて放つ。
「ああぁーー」
イギャーー
守護霊が燃え上がり叫びだすと、化物も苦しみだし叫ぶ。
「な、なにが・・・」
「おい、バカ。今のうちに逃げろ!」
悠は、こそこそと、化物の足元から逃げ出した。
「燃えていないあいつが、なんで苦しんでんだよ」
「炎で燃える痛みが伝わっているんですよ」
「繋がっているのか…本当に、消えたら死ぬんだな」
「ええ、そうです。そして…」
霊から炎が消える。
「霊は、楽には消せません」
「う、うおーー」
「来ますよ。これを…」
「え、なんだこれ?」
高見から、一枚のお札を手渡された、悠。
「おい、ぼーとすんな」
ドン、ドン、ドンッ
再び、突進を始める化物。
「私は、上から見守っています。君は、その札を化物の背中に貼ってください」
「はあー、あいつの背中に?無理。また殴られかけるだけじゃん」
「彼のためです。君なら…助けるよね?」
「・・・わかった。それで、あいつが止められるなら、やってやるよ!」
「おー。素晴らしい正義感だ。じゃあ」
人間離れした身のこなしで、穴の空いた上階の地面へ飛び上がる。
「あいつ…人間の動きじゃないだろ」
「上を見ている暇があるのか?」
「うおーー」
突進をぎりぎりで横に交わす、悠。
しかし、化物の振り払った腕が、悠を吹き飛ばす。
地面を滑り転がる悠は、受け身をとって立ち上がる。
「くそっ。どうやって背後に?」
「諦めて、逃げればいいだろ。あんなのに、命を賭ける価値は無い…」
「そうだな…でも、殴られっぱなしは、腹が立つ」
「はっ?」
「一発、殴り返さないとな!」
「正義感じゃなかったのかよ…」
「いいから、やるぞ…おっさん」
悠の足が震えている。
「はは。良いぜ、付き合ってやるよ」




