№_02_ふりがな版
哀毀骨立
「やべー幻覚だ。あたま打ったんだ!死ぬ前ってことじゃん」
頭を押さえ、絶望に伏せる、悠。
「あら~まだ人がいる。大丈夫ですか」
「た、たすけて。あ、頭が…ち、血が…」
「あ~あ。死んでる」
「生きてる。まだ、生きてる」
「人命救助は面倒だな。すみませんが、死んでもらえませんか?」
「いやだ~」
「仕方ない。旭」
背後に輝く炎を纏った人間が現れる。
「あ、あんた!あいつと同じ⁉」
「は?」
「後ろのそいつだよ」
「驚いた。君は、これが見える人間ですか」
「さっきも、黒い奴があいつの後ろに。なにか関係が…」
「それは・・・知りたいですか」
「知りたくないです」
「正直だね。ただ、見える人間は嫌でも知ることになると思いますよ?」
「じゃあ、教えろ」
「自由だね、君。これはね、人間に捕り付く守護霊だよ」
「守護霊?」
「そこからか…守護霊とは、人間を守る霊のことです」
「霊は、一人に一体、必ず捕り付いています。ほら、君にも」
「はあっ」
クルッ
振り返ると、鼻をほじるおっさんが、空中で胡座をかいていた。
「何これ?」
「それが君の守護霊」
「このおっさんが?」
「うん」
「そっちのやつじゃなくて」
「これは、私の守護霊です…」
「・・・嫌なんだけど。チェンジで!」
「守護霊は、死ぬまで一生代わることは無いよ」
「おい。さっきから聞いてりゃあなんだ。嫌だとか、チェンジとか、
失礼だろ!」
「おーこれは。会話が出来る霊だ!珍しいですね」
「そうだ!俺は”レアな霊”だぞ。こういうの好きだろ、お前」
「好きだけど、一生者となると…なんで、好きって知って!」
「そりゃお前が生まれた時から、一緒なんだから当然だろ」
「こんな事や、あんな時まで、ぜ~んぶ知ってるぞ」
「こいつ消せません?」
「消せるますよ」
「まじっすか!」
「消せるけど…守護霊が消えると、
捕り付かれた人間も、この世からそのうち消えてしまいますね」
「つまり…死ぬ。それじゃ消す意味ないじゃん!」
バリンッ
「な、なんの音」
「結界が破られた音だ」
「結界?かっけー」
「忘れていましたよ。
君を助けるために、結界を張って一時的に閉じ込めていたことを…」
「うわぁ~~」
「あいつに付く黒い霊も、同じ守護霊なのか」
「あれも守護霊ですよ。
”悪餓”と言って、捕り付いた人間を超人的な化物に変えてしまう状態ですがね」
「霊は、人間の精神に影響され形を変えることがあります。悪餓もその一例です」
「じゃあ、おっさんも!」
「姿までは、変わらないかな」
「そうか…どうやったら、元に戻るんだ」
「戻りませんよ」
「えっ」
「悪餓は、自ら役目を放棄した存在です。
戻せたとしても、また悪餓になりますからね」
「それじゃ、あいつはもう…」
「守護霊の使命は人間を守ること。
捕り付いた人間に守る価値が無かったから、役目を見失い悪餓となった。
仕方ねえだろ」
「そうか…さよならだ。先住民さん」
「はい?」
「うっうっ。うわぁ~」
「こちらに気づいたみたいですね」




