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=世界を知る  作者: 真知コまち


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17/48

№_17_可惜身命

~登場人物紹介~

 主人公・・園久そのひさ ゆう

 悠の守護霊・・勘凪かんなぎ つよし 

 探偵・・天張あまばり 緒乃葉おのは 

 巫女・・矢真白やましろ もも

 百の父[神主]・・矢真白やましろ 鉄男てつお


 _(〘つよし〙)「人殺しな…」

    足を痛めて遅れて来た剛が、柱の陰で呟く。


_(〘ゆう〙)「何がいけないの?」

   毅然とした表情で、聞き返す。


 _(〘もも〙)「ひ、人殺しだよ!い、命を奪うってこと…」


_(〘ゆう〙)「人間じゃなくて、化物の命だよ。悪いことかな?」


 _(〘もも〙)「それは…そうだけど…」


_(〘ゆう〙)「一つの命より、大勢の命を救う。当たり前でしょ?」


   悠の自信せいろんに、全員が沈黙する。


 _(〘おのは〙)「確かに。私達の仕事は、人の死に立ち会うこともあります…ですが」

 _(〘おのは〙)「悪餓を祓い、命を救う。それが、祓い屋の”死命しごと”ですから」


   何も言い返せない百は、気まずい表情で下を向く。


_(〘てつじ〙)「こら!お客様を、困らせるな」

   社務所の奥から出て来た鉄男が、百の頭を叩く。


 _(〘もも〙)「痛い…親父に殴られた。虐待だ!」


_(〘てつじ〙)「くだらん事を言ってないで、早く、荷造りを終わらせんか」

   顔で怒る百を、社務所奥に投げ飛ばす。


_(〘てつじ〙)「すみませんね。こちらが、迎えをお願いしたのに…」


_(〘ゆう〙)「そうですよ!高見社長の命令だから仕方なく…」


   頭を下げる緒乃葉に、頭を殴られた、悠。


_(〘ゆう〙)「なんで…」

 

 _(〘おのは〙)ばか。悪餓祓いのお札を、我々につくられているのは、この御方ですよ!」


_(〘てつじ〙)「いえいえ。おたがい様ですから」

   謙遜する鉄男は、手を差し伸べ、緒乃葉の頭を上げさせる。


 _(〘おのは〙)「失礼致しました。矢真白様」


_(〘てつじ〙)「良いんですよ。これから娘を預ける事務所ところが、どんな者達かんきょうか、一目見てみたかっただけですから」

   疑いの視線で、威圧する、鉄男。


   鉄男の視線に身構えながらも、悠は、疑問をぶつける。

_(〘ゆう〙)「は、祓い屋なんて危険な仕事に、娘を就かせて良いんですか」


   大きなため息を吐き、御守りを整理し始める。

_(〘てつじ〙)神社うちは、生まれつき霊が見える血族いえなんでな…」

_(〘てつじ〙)「嫌でも、生活いきるの為に、お祓いの術を身につける。そういう家系さだめなんだよ」


   鉄男の守護霊の金槌が、悠の喉元に置かれる。


_(〘ゆう〙)「・・・」

   顎を上げ、固唾を呑む、悠。


_(〘てつじ〙)「可愛い子には旅をさせよって、言うだろ!」

   鉄男が、表情を笑顔に変わった事で、金槌を持つ守護霊の腕が、下げられる。


_(〘てつじ〙)「危険な仕事だからこそ、力を付ける」

   真剣な表情に変えた鉄男、悠の肩に手を置く。

_(〘てつじ〙)「”救う”と粋がる前に、実力を付けろ…言葉だけでは、何にもならん」


_(〘ゆう〙)「うん…知ってる」

   鉄男と目線を合わせ、平然とした態度で答える、悠。

 

    真面目な空気に耐え切れなかった剛が、横槍を入れる。

 _(〘つよし〙)「お前の根拠のない自信だけは、毎回、感服するよ」


_(〘ゆう〙)「そう?ありがとう」


 _(〘つよし〙)「褒めてねぇよ?」


 _(〘もも〙)「お待たせ…」

    荷造りを終えた百が、スーツケースを持ち上げ、玄関から出て来た。


_(〘てつじ〙)「お前な~そのスーツケースは、転がして運ぶんだよ」

   娘の世間知らずに、呆れる父。


 _(〘もも〙)「そっか!」

    鉄男の言葉通り、スーツケースを投げ捨て、転がそうとする、百。


_(〘ゆう〙)「危ない!」

 _(〘つよし〙)「え⁉」

    スーツケースが、着地の衝撃で壊れない様に、剛を投げ飛ばした、悠。

 _(〘つよし〙)「ぐは!」

_(〘ゆう〙)「ふー。よかった~」


    スーツケースの下敷きになった剛が呟く。

 _(〘つよし〙)「物を大切にする優しさは、あるんだよな」


_(〘ゆう〙)「喧嘩うってるの?」


 _(〘つよし〙)「いや、褒めただろ!」

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