№_14_愛別離苦
~登場人物紹介~
主人公・・園久 悠
悠の守護霊・・勘凪 剛
探偵事務所の社長[ボス]・・高見 夏樹
探偵[部下]・・杉木 楓
楓の守護霊・・綾紗 蘭
化物・・芝 麗羅
警察・・節那 緋色
緋色の守護霊・・淡代 雪
楓に向かって、飛び掛かる、化物。
_「はぁ~蘭…」
宙を舞う糸が、横一直線に撓り、化物を薙ぎ払う。
軽く吹き飛ばされた化物は、周囲に張り巡らされた糸に足を引掛け、宙吊りの状態で楓を睨む。
_「速度は遅いし、遠距離も無い。飽きたな~この化物…」
_「ぎゃぎゃぎゃ」
足元の糸を蹴り飛び、別の糸へと移動する、化物。
糸から糸へ、糸から糸へ、移動を繰り返す化物の、速度が上がる。
_「はぁ~無駄な時間。近隣に目撃される前に、終わらせるか~」
蘭が、右手を開く。
張り巡らされた糸が、突然、緩む。
_「きゃ!」
足元の糸が撓み、バランスを崩す、化物。
速度を上げた化物の身が、緩んだ糸に投げ出される。
_「捕縛」
緩めた糸を、隙間が無いように、編み込む、蘭。
糸で三角の箱を造り出し、化物を閉じ込めた。
_「はい、お~終い」
背伸びをした楓は、箱に近づく。
箱の中で暴れる、化物。
_「これ…出られないんだよね、蘭?霊力も、そう長くは持ちそうにないし、帰ろうか」
_「楓→」
楓の名を発した蘭が、倒れた剛を指差す。
_「あーそうだった!」
剛の存在を、完全に忘れていた楓は、小走りで剛に近づく。
_「た、た、助けてくれ…」
_「ごめんね。霊力が減ると、拘束が解けちゃうから、無理」
倒れた剛の体に、優しく手を置く、楓。
_「・ふだ・は・・」
_「何?」
_「・札・貼った」
_「蘭…お札、貼ってある?」
_「微かに、抵抗する箇所は感じるが…」
_「よし!やってみよう」
楓は、糸の牢に近づき、言霊を唱える。
_「・・・滅」
悶え苦しむ化物の声が、牢の中から微かに漏れる。
_「糸を解いていいよ、蘭」
道路に集まった野次馬を抜け、楓と別れた通りを目指す、悠。
_「楓?貰って来たよ、札」
お札を取りに、事務所まで戻っていた悠が、警察車両に乗った楓を見つける。
_「あ、悠!遅かったね」
_「あれ?化物は…」
_「もう祓ったよ。じゃあ…後、お願いね」
_「お願い?」
楓に導かれるまま、悠は、車両に乗り込む。
_「早速、問題を起こしたな!」
聞き覚えのある声が、悠を責める。
_「”緋色”が、何でここに?」
_「名前で呼ぶな!あと、”さん”を付けろ」
_「節那…さん。問題って、何?」
_「お前らの依頼者だった、芝 麗羅が死んだ」
_「・・・え?」
姿を確認しようと、現場へ走り出す、悠。
_「待て!現場検証中だ。安心しろ、逮捕も罰金も発生しない」
_「…じゃあ、死因は何?」
_「雪の見立てでは、栄養を吸収した守護霊が消えた事による、餓死だと…」
_「だが、守護霊が栄養を蓄えていた事で、これまで、彼女が生き長らえていた可能性がある」
首を傾げる、悠。
_「要するに、何らかの方法で、人間の代わりに、守護霊が栄養を摂っていた可能性があるという事だ」
_「それって…剛と同じ!」
_「前例の無い事態が、二つも確認されたとは、思いたくないがな…」
緋色は、悠の膝に、紙を置く。
_「これって…」
_「報告書だ。書き終わるまで、帰さないからな」
扉を閉める緋色の顔は、悪意に満ちていた。




