№_11_悪事千里
~登場人物紹介~
主人公・・園久 悠
悠の守護霊・・勘凪 剛
探偵事務所の社長[ボス]・・高見 夏樹
探偵[部下]・・杉木 楓
楓の守護霊・・綾紗 蘭
化物・・芝 麗羅
バタリ。
守護霊が消えると、麗羅は、気絶して地面に倒れた。
_「さ~て、どう成るかな?」
ギチギチ、ミチミチ。
麗羅の体は、異音を立て、細く細く縮んでゆく。
腕の肉が細く縮み、反動で伸びる手足は、紙縒りの様に先が尖っていく。
立つのも儘ならない細く長い身体に、鋭く尖った手足。
麗羅は、化物へと成った。
_「…あの時の、化物とは違う?」
_「悪餓になった守護霊は、捕り付いた人間の”願望”を形にする」
_「あの人の願望って?」
_「彼女の場合、他人から見た”容姿”を、気にしていたんだろうね」
_「冷蔵庫に何も無かったり、不味いお茶に拘っていたりしたのは…」
_「体型や、見た目を気にしてだと思うよ」
_「でも、そんなに瘦せ細っている様には、見えなかったよ?」
_「それは、守護霊が…あ」
_「きゃきゃきゃきゃ…」
_「あぁ!来るよ!悪いけど、自分の身は、自分で守ってね」
_「こんな状況なのに、何でそんな、嬉しそうなの⁉」
_「僕は、ね…退治専門の探偵なんだ」
_「はい?」
_「ぎゃぎゃ!」
ドン、バン。ガシャ、ガシャ。
ふらふらと左右に動く化物が、腕を鞭の様にしならせ、建物の壁を破壊する。
_「あまり壊さないでくれる?損害が酷いと、後で、ボスに怒られるんだよ」
_「きゃ、ぎゃぎゃぎゃ!」
化物のしならせた腕が、楓と悠に迫る。
_「うぁぁ!」
頭を抱え、しゃがみ込む、悠。
_「蘭」
_「あれ?」
悠が顔を上げると、部屋に張り巡らされた無数の糸が、化物の腕を絡み止めていた。
_「紹介するね。こちら、僕の守護霊、綾紗 蘭です」
右手で糸を操る蘭が、悠を見つめる。
_「・・・」
_「あ、どうも…何?」
_「・・・」
_「気にしないで、人見知りなだけ。普段は、服の糸に紛れて、隠れているぐらいだから」
首を縦に振り、悠に挨拶をする、蘭。
_「まぁ、君は、そこで見ていてよ。先輩の活躍する姿を!」
蘭が左手首を捻ると、張り巡らされた無数の糸が動き出す。
_「殺れ、蘭」
散りばめられた糸は、楓の合図で輪と成り、化物を囲い込む。
蘭が左手を握りしめると、糸の輪が、化物を締め上げた。
_「はい、終了」
しかし、糸の輪は、化物を通り抜けてしまう。
_「え!な、なんで…」
_「慌てない、慌てない。蘭」
蘭が左腕を引くと、化物の中から、悪餓になった守護霊が出てきた。
_「右手の糸は、霊力を籠めた実在する糸。左手は、蘭の能力で作り出した実在しない糸」
_「あの体では、糸をすり抜けられてしまうと思ったから、霊の方を捕まえたってわけ!」
_「でも、人間の方は、まだ動けるんじゃ?」
_「そう。だから、早く悪餓になった霊を、祓わないと…あれ?」
自分の服に付けられた、ありとあらゆるポケットに手を入れ、何かを探す、楓。
_「どうしたの?」
_「・・・お札、忘れて来たかも」
_「あ!それなら、これを…」
悠は、高見に貰ったお札を取り出そうと、ポケットに手を入れたが…
_「あれ・・・無い。どこかに、落としたのかも」
_「ぎゃ、きゃきゃ、ぎゃ」
守護霊を失った化物は、玄関にある扉の隙間をすり抜け、外へ出て行った。
_「これは・・・まずいよね」
顔面蒼白で見つめ合う、楓と悠。




