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勇気ある若者

 時は神聖歴542年…東の国、イスルト王国。


 王都ファルンを居城に構えるイスルト王国で大きな街である。

 だがある日、世界各地に魔物が跋扈する様に出現し、罪なき民達は魔物から必死に逃げ惑い続ける日々を送り続けている。

 ある者は磔にされて見せしめに首を刎ねられ、ある者は火炙りにされると原型が留めなくなるまで燃やされてしまう。

 またある者は魔物に嬲られてなぶり殺される等と惨い末路を辿った犠牲者が増え続けていく一方。

 そして、そんな魔物の恐怖に怯えて暮らす人々の中にも、希望を捨てずに生きようとする者達はいた。



 ***



「はぁ、はぁ……!」

 そんな絶望が蔓延る世界の中で、1人の少女が必死に走っていた。

 少女は息を切らしながらも必死に走り、何かから逃げている様子である。

 そんな少女の背後から、鎧を纏う二足歩行で歩く蜥蜴の様な魔物が近付いてくる。

 リザードマンである。

「グゥァァア……」

 剣や槍を携えてリザードマン達は態とらしくゆっくり歩き、足音を立てる事で恐怖と絶望を植え付けながら少女に迫る。

 少女は必死に走るも、リザードマン達は少女に追いつくのは時間の問題である。

 そんな時だった。



 スパンッ



「え?」

「グアアッ!?」

 リザードマンの一体の首が突如、空を舞って地面に落ちる。

 何が起こったのか解らず、リザードマン達は仲間の死に騒ぎ出すと。

「間に合って良かった」

「えっ?」

 少女が前を向くと、いつからいたのか一つの影が立っていた。

 年は16歳程の少年で身長は165cm、鮮やかな黒髪で両眼は黄緑色。

 服装は地元民なのか、少し鮮やかなベージュ色・小麦色に茶・茶色を基調とした旅着と頭に白のターバン帽を着用していて、手に片手剣を所持している。

 突如現れた少年に戸惑う少女をよそに、リザードマン達は殺気を剥き出しにして、一斉に襲い掛かる。

 そんなリザードマン達に、少年は剣を構えて。

「グアッ!?」

「ギャッ!?」

「ガハッ!?」

 目にも留まらぬ速さで剣を振り、リザードマン達を斬り捨てる。

 首や胴体、手足と切り落とされバラバラになっていくリザードマン達。

 素早いスピードで少年は次々とリザードマン達を斬り捨て、あっという間にリザードマン達を全て片付けてしまう。

 そんな少年の剣捌きに、少女は呆然としていた。

「大丈夫?」

「あ……はい」

「良かった。じゃあ、俺はこれで」

「あ!待って下さい!」

 少女に呼び止められ、少年は足を止めて振り返る。

 呼び止められた事に首を傾げる少年に、少女が口を開く。

「助けて下さり、ありがとうございました。あの……お名前を教えて頂けませんか?」

「…俺はライオット…唯の旅人だよ」

 それじゃ、と少年――ライオットは少女に背を向けてこの場を去っていく。


 この少年はまだ何も知らない。

 自身に待ち受ける試練と過酷な戦い、その果てに待つ宿命を――


 これは少年がやがて勇者となりて、世界に黎明を齎す物語――



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