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SFな世界  作者: 井口ケンショウ
4/9

佇む

ガラケーがFOMA全盛期の頃の話。

兄貴がまだ高校生の頃、友達二人と街に遊びに行った。

片側4車線の大きなメイン通りを渡ろうと、信号が変わるのを待ってた。

しばらくすると、信号が青に変わり、待ってた歩行者が一斉に渡り始める。

兄貴たちも合わせて渡り始めた。

横断歩道の中腹あたりに差し掛かったところで、兄貴は、反対側で渡らずにいる人がいるのを見かけた。兄貴は目が悪いので、詳細は分からなかったが、背丈的に男の人だろうというのは分かった。

(ん?)

と疑問に思いつつも、さして気にしなかった。

二人が横断歩道を渡り切ろうとした時、兄貴はふと男の方に目をやった。

血だらけだった。

血だらけで突っ立っていた。でも、周りの人はその男を気にも留めていなかった。

行き交う人達の真ん中に突っ立ったままの血だらけの男。

(ヤバい)

そう思って、さっと目を逸らして気づいていないフリをした。

その後、何事もなかったように友達と買い物をしたり、ゲーセンに行ったりして遊んだ。

しかし、まずい事が起きた。

男がいるのである。

どこに行くにしても、あの血だらけの男が現れるようになっていた。

お店の中でも、道路でも、地下街でも。どこに行くにしても男がいるのである。

それでも、兄は気づいていないフリをしていた。

時間も遅くなり、そろそろ帰ろうかということになり、兄貴は友達と別れてバスに乗った。

家の最寄りのバス停を降りて、暫く歩く。

角を曲がって、家の近くの道まで差し掛かった裏道。

男が立っていた。人がすれ違う程度の細い道。その道を抜ければ家は目の前だと言うのに、血だらけの男が立っていた。

一気に汗が吹き出す。それでも気づいていないフリをし続ける。

意を決して、平静を装って進む。

ドンドン近づく。近づくに連れ男の姿カタチが分かるようになる。容姿、顔、表情がハッキリ見えてくる。

そして、男の真横を通り過ぎる。

『お前、気づいとろうが』

一気に血の気が引く。瞬間、絶叫しながら家になだれ込んだ。

その後、なにか起こったわけじゃない。でも、兄貴はこの事が、これまでで一番怖かったって話てた。


というお話。

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