09 (元)アラサーパート主婦がブランドを立ち上げる
先日の試作発表会から3週間がたった今日
臨床実験も無事終わり、
一定水準を保つことが出来ると判断され、
ついに商品化の話し合いが行われることになった。
お父様の執務室に入ると、
テーブルの上には大量なアンケートの集計用紙が束になって積み重ねられていた。
どれも好評で
「早く商品化して欲しい」
「全種類絶対買います」
「毎日癒されます」
「一日に何度も自分の手を見てうっとりします」
「最近手荒れに悩まされなくなりました」
などと概ね好評だ。
先日の話し合いの後、
侍女のルーシーに試作品の1つ「ラベンダーと薬草入りクリーム」を渡すと、泣きながら喜んだ。
何度も何度も「お嬢様、これは一生大事にします! 宝物にします!」
グシャグシャの顔で頭を下げた。
「使って見て感想を聞きたいの」と言うが
「そんな勿体ないこと、出来ません宝物にします」
言いお父様と二人で説得することになった……
高級ラインの方はお母様にプレゼントすると大変喜んでくれた。
商品化したら、お友達の貴族仲間にも是非薦めたい!と、大変乗り気だ。
「今日は商品化にあたり、名前を決めようと思って」
マクレガーさんが笑顔で言う。
ハッ!! 名前!!
初めて自分が作った
(実際作ったのはマクレガー商会の人だけどね…)物に名前が付けれる!
なんて素晴らしいことなんでしょう!
お父様とマクレガーさんと三人で「ハンドクリーム」の名前を考える。
結局、私の名前からとって『エレガンス』に決まった。
ブランド名『エレガンス』として、商品化されることに決まった。
当初の構想通り、「ハンドクリーム」が軌道に乗ったら「リップクリーム」(リップバームになる)も商品化し『エレガンス』から発売する予定だ。
貴族向けの高級ラインは差別化をはかる為『レディ・エレガンス』として販売されることになった。
ちなみに、私がまだ未成年ということもあり、販売権はお父様のクロフォード公爵が保証人となり、一旦はお父様の名義で商業登録し、私が15歳になった時点で私に譲渡する契約となった。
この国では未成年(15歳未満)に商業権はなく、大抵の場合は成人するまで保証人が仮の登録者となる。それでも商業ギルドに行けば、登録者の名前に私の名前がちゃんと記載され、
注意書きで未成年のため保証人が仮登録者であることが明記される。それによって誰でも閲覧出来、誰の手によって産みだされた物かは、調べれば直ぐにわかるのだ。
───夫に借金され、浮気され、病気になり、もう生きて行くのも嫌になったパートのおばちゃんだった私が、自分のブランドを持つことが出来るのだ。
「神様は本当に居たんだ! ありがとうございます」
自室のベッドの中で両手を合わせ、声に出して感謝の気持ちを述べる。
元の世界での私はあまり信仰心は強くなく、正月など神社を訪れた際にお賽銭を入れる程度だ。神や先祖を嫌うこともなっかったが、特別視するようなこともなかった。受験前などのよくある「困った時の神頼み」だった。その自分勝手さに今は反省し「神様、ありがとうございます」心からお礼を言い就寝した。
「最後までお読みいただき、ありがとうございます」
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