84 最終話~光の中へ
ついに結婚式の日がやって来た。
恒例のように朝5時に、侍女レンジャーにたたき起こされ、もみくちゃにされ……
今日はその、いつもの作業が嬉しく思う。
「もう、ルーシーったら泣かないで」
「ウッ、ウッ、グスン。だってぇ、おぢょうざまぁ……」
「永遠の別れじゃないんだからぁ」
私はルーシーに微笑む。
「そうですよ。ルーシー。今日はおめでたい日なんですから」
鬼軍曹ことメラニーの目の端も赤くなっている。
「もう、みんな、笑ってちょうだい」
「いつでも会えるんだから」
私が言うと、
鬼軍曹殿がすかさず
「王太子妃殿下ともあろう方が、簡単にお城を出るなど、あってはなりません!」
強い口調で言う。
「い、いえ……簡単と言うか……ちゃんと言って出て……」
鬼軍曹殿の目がキラン! と光った為、続きの言葉は口の中にしまった。
準備が整い、お父様とお母様に挨拶をする。
「エレナ。おめでとう」
「今日のエレナはとても綺麗だよ」
「エレナ……」
二人に優しく抱きしめられた。
はじめて私がこの世界に来た時、ベッドから起き上がった時に心配そうな顔を浮かべた後、直ぐに私を大事そうに、優しく抱きしめてくれたこの二人の顔を思いだした。
この二人の溢れる愛情があったから、これまで頑張って来れたんだわ。
「お父様、お母様、こんな私を今までずっと支えて下さり、本当にありがとうございました」
二人の手を取り、お礼を言うと、泣きながら再び強く抱きしめられた。
「さぁ、今日はエレナの新しい出発の日だ」
「おめでたい日にいつまでも泣いていてはいけないね」
お父様が優しい声で私の頭を撫でながら言った。
「そうね。エレナ、無理をしてはいけませんよ」
「あなたは何でも一人で頑張ろうとするから、これからは、殿下をお支えし、二人で仲良くこの国の為に……」
お母様は泣きながら、私の背中を撫でる。
「さぁ、そろそろ時間だ。行こうか」
優しくお父様が私に手を差し出す。
私はお父様のエスコートでホールを出て玄関前の公爵家の人達全員に見送られながら、門前で待つ馬車へ向かった。
今まで本当にみんなありがとうございました。
心に中で再び呟き馬車に乗った。
───王宮に到着すると、ルドルフが待っていた。
「エレナ様、クロフォード公爵様、本日はおめでとうございます。こちらへ」と
お城にある教会へと案内された。
大きな白い重厚なドアに、ルドルフが手を掛ける。
「よろしいですか?」
優しい笑顔で私とお父様に聞く。
軽く頷くと、そのドアをゆっくりルドルフが開けた。
大きな窓から、眩いキラキラと輝く光が一気に視界に入る。
その眩しさに一瞬目を閉じる。
そして、ゆっくりと再び目を開けると、赤い絨毯の向こう。
白い大きな祭壇の前に金色の髪を靡かせ、白き大きな羽を携えた天使の姿があった。
嗚呼、私はこの光の世界に足を踏み入れるのね。
元アラサー独女だった私が、光溢れる世界へと!
神の降臨とも思えるその光景に目が眩みそうになった時、
「エレナ。行くよ」
優しく力強い声でお父様が言った。
私はその声に頷き、お父様にエスコートされ、一歩ずつ絨毯を踏み込む。
そして、天使様の前まで来たところで、そっとお父様が手を離した。
「エレナ。綺麗だ」
天使様がニッコリ微笑んだ。
部屋全体が白く、そして光輝く。
そっと、私の手を殿下が取り、軽くキスをした後、神父様の誓いの言葉を述べる。
そして、先日殿下から頂いたお揃いの指輪を互いの指にはめる。
殿下が私の薬指に指輪をはめた時、
「私はこの先もずっと君を愛することを誓おう」
「1000年先も永遠に」
「愛しているよエレナ」
そっと、私の手にキスをした。
そして、ゆっくりとウエディングドレスのベールをめくる。
優しく微笑みながら、そっと唇にキスをした。
溢れる涙をゆっくり殿下が拭ってくれながら、
「エレナ。笑って」
耳元で囁いた。
私はこの人のために、そして私を愛してくれる、みんなのために
ずっと笑っていよう。
光の中で……
心の中で誓った。
fin.
今までお読みいただき本当にありがとうございました。
これで、このお話は終了となります。
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