08 ハンドクリームを作ろう(5)
先日のマクレガーさんとの話し合いから
2週間がたった。
ついに試作品が完成したと連絡があり
今日の午後に面会することになった。
あぁぁ!楽しみ~~
朝からずっと顔がニヤニヤしている。
侍女のルーシーや侍女見習いのアン、侍女長のメラニーにも何度も注意される。
「お嬢様、大変申し上げ難いのですが、お口が開いておりますゆえ……」
小声で交代で注意される。
ヤバイ!
公爵令嬢に転生しても心は庶民のまま……
そろそろこの生活にも慣れなくてはね……
「オホホホホッ」と口元に手をやり笑って誤魔化す。
それを見た侍女長のメラニーが
「お嬢様、はしたのうございます」
低音ハスキーボイスで言う。
こ、怖い……
ごめんなさい。ごめんなさい。
アラサー独女の庶民なんですぅ……
心の中で何度も手を合わせる。
───そんなこんなを過ごしながら、約束の時間が来てお父様の執務室に行く。
部屋に入るとテーブルの上には、小さなジャムのような瓶が数本。
うわーーーーー
思っていたより可愛いわ!
口の部分に黄色、ピンク、紫のリボンを巻くようお願いしたのも、ちゃんと可愛く仕上がってる!
スバラシイ!
この世界のガラス加工技術はまだ少しばかり低く、少し厚みがあり、表面も少しザラつきがある物がある。研磨技術の違いだ。でもこれにより手作り感とヴィンテージ感が増している。
手書き風のレモンやバラの花、ラベンダーのイラストラベルも、ハンドメイド感たっぷりで、可愛らしい仕上がりだ。
空瓶を並べて置いたらとても可愛らしいオブジェにもなりそうだ。
店内に置く際は空瓶にポプリや綿花を入れて飾っても良いかもしれない。
「マクレガーさん!想像通りの仕上がりです! 本当に可愛らしくて素晴らしいです!」
興奮気味に言うと、マクレガーさんは笑顔で
「年齢相応のお顔ですね」
微笑む。
恥ずかしい……頬に手をあてて俯く。
その後、試作品のクリームを手に取り、手指に塗る。
ふんわり香る甘い匂いや、爽やかな柑橘系の匂い。あぁ。癒されるわぁ~~。
実は私、元いた世界でも、アロマオイルやハンドクリームなど大好きだったのだ。香水よりも、ほのかに香る練り香水などが好きだった。
ハンドクリームの可愛いパッケージって、何か気分が上がる感じがして、いくつも所有していた。
うん。女子としてはパッケージは重要!
(アラサー独女ですけどね)
貴族向けの高級ラインも、素晴らしい出来映えで、うっとりするような仕上がりだ。
この後、試作品を使い臨床実験を一定数行い、 マクレガー商会の雑貨店にて試作販売することに決まった。
───これが、この後のエレナの人生において一大転機になるとは、この時の三人は思いもしなかったのだ…………
マクレガーさんに何度もお礼を言い、
臨床実験が終了したらまた報告に来る
と、言うことで本日はお開きとなった。
ちなみに、本日マクレガーさんが持参した
3種と高級ライン1個は私が貰うことになった。
「きっとルーシーも喜ぶわ」
とルーシーの喜ぶ顔を想像しながら執務室を出る。
「最後までお読みいただき、ありがとうございます」
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