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71 カレーパーティー

 ある日の夕刻、王宮の騎士団練習場にて、激しく剣がぶつかる音が聞こえていた。


「おい。どんどん腕あげるなぁ」

「ヘンリー様相手に全く引けを取らないなんて」

「もう15分以上続いてるぜ」

「どっちが勝つと思う? お前?」


 それを観戦している仲間からの声援が飛び交っていた。


「それまで!」


 グレゴリー大佐の、制止を命令する声で二つの剣の音が止まった。



「ルドルフ、随分腕をあげたなぁ」

「いやぁビックリしたよ」

「気を抜いたら、やられていたところだ」


 ヘンリー様が黒髪の男に手を差し伸べた。


「本日はお手合せ、誠に有難うございました」

 騎士の礼をとる。



 二人は、握手をしその場を離れた。



「何を死に急いでいる?」

 グレゴリー大佐の小さな声が

 誰もいなくなった練習場にポツリと落ちた。




 あの日以来、あの柔らかな寝顔が頭の中にずっとある。

 消し去ろうとしても、湧き出るこの気持ちは……


 ()()()()だ。

 ふ、何を馬鹿なことを考えているんだ俺は……


 彼女を全力で守ると決めたではないか……

 あの笑顔を守ると。


 あの透き通る気高く美しい笑顔さえ見れれば、それでじゅうぶんではないか。

 本来あの日に落としたこの命。


 救ってくださった兄上と()()の為にも

 俺はもっともっと強くならなくてはいけない。


 二度と二人を危険な目にさらさないように、

 彼女を二度と傷つけないように

 俺は強くなる。


 みんなが帰ったあと、練習場の片隅で、外周を走り、幾度も剣を振るい丹念を続ける者がいた。


 その姿を遠くから眺めている、かつての名将は、心配そうに見つめていた。

「あやつも辛いのぅ……」届くことがない相手に小声で呟いた。





 ───その頃、公爵家の厨房では「カレー」の匂いが漂い、みんな今日の夕食を楽しみにしていた。


「お嬢様? そろそろこんな感じで、どうですかねえ?」



「ダラス。素晴らしいわ」

「これならきっとみんな喜ぶはずよ!」


 そう、今日ついに「カレー」が完成したのだ。


「お米もいい感じに炊けたようだわ」


 早速、夕食時にみんなに提供すると大変喜ばれた。


「お嬢様! これは止まりませんあぁ」と

 ハンスが言う。


 侍女達にも好評で、初めての「お米」にも抵抗なく、みんな美味しそうに食べていた。


「この辛さが良いですねぇ」

「くせになりそうな味ですね」

「この食欲をそそる匂いにも」


 みんな口々に褒めていた。


 本当は、先日の買い物でお世話になった、バーバラ様や、研究所のみんな、ルドルフをはじめとした、いつもお世話になっている騎士様達、「ハンバーガーショップ」や『トレ・ゾール』のスタッフなども呼んで、お庭で「カレーパーティー」と開きたかったのだが……


 生憎の今日も雨模様で、残念ながら公爵邸でのみの、ささやかな「カレー」のお披露目となった。

 最近、雨が続いていてなかなか外に出ることも出来ず……

 殿下ともなかなか、お会い出来ていなかった。


 でも、珍しいはねぇ。こんなに雨の日が続くなんて……

 農作物に影響が出なければいいのだけど。

 気を揉みながら、みんなと久々に「カレー」を楽しんだエレナだった。


「せめて、このカレーだけでも、殿下と騎士様にお届け出来たらいいんだけど……」



 その私の呟きが聞こえたのか? ダラスが


「お嬢様、差し入れ用に作りますから、うちの者にお城へ届けさせましょうか?」


「そうねえ。これだけ長雨だと、気分も晴れないでしょうし。気分転換にもカレーは良いかもね」

「ダラスお願いできるかしら?」


「明日にでも差し入れ用を用意し、持たせますよ」


「ありがとう。よろしくねダラス」











「最後までお読みいただき、ありがとうございます」

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