68 ハンバーガーショップ(2)
待ちに待ったついに「ハンバーガーショップ」の開店だ。
今日は初日と言うこともあり、私もお父様から朝からの出勤の許可を頂いた。
勿論パートとしてだ。
開店は11時だと言うのに、長蛇の列が。
お向かいの「白騎士様」達が沿道の警備を買って出てくれた。
毎回お騒がせして申し訳ないです。本当に助かってます。
朝一番で殿下とヘンリー様もいらして下さり、店頭でも人員整理を手伝ってくれている。
その騎士様達の中に、なんとルドルフ様もいらっしゃったのだ。
ご兄弟で一緒に協力されている姿を見ると、本当に嬉しい。
ちなみに殿下だけは、お忍びの為、騎士団の制服ではなく、普段着だ。
ちょっと残念に思ったのは内緒だ。
「ルドルフ、向こうの馬車の停留所を見てきてくれ」
「こっちに人が溢れて来たら危険だ」
「人が足りないと判断したら、増員するように」
「かしこまりました」
走り去っていくルドルフ様の姿は颯爽としていた。
さぁ。ついに「ハンバーガーショップ」の開店です。
騎士様が声かけし、店内に誘導してくれた為、大きなトラブルもなくスムーズに店内にお客様を迎えることが出来ている。
そんな時
「よお! 久しぶりだな」
その低く、鋭い声の主の方に視線を向けると
なんとシュゼル大公閣下だった。
「シュゼル様! いらして頂けるとは! ありがとうございます」
私が挨拶していると、
直ぐにヘンリー様もいらした。
遅れて殿下がいらして
「ご無沙汰しております。シュゼル様」殿下が挨拶する。
「おい。今日は、嬢ちゃんの大事な日だ。無粋な挨拶などいらん」眉を寄せた。
すかさずヘンリー様が、シュゼル様を席に案内する。
「おい。ここの店は、自分で、あの台に行き注文するとか? 聞いたぞ!」
「左用でございますが……」
「ヘンリー! ならば案内は不要じゃ!」
力強い声だけど笑いながら立ち上がり、カウンターに向かわれた。
そのお姿を見て、殿下とヘンリー様と私は顔を見合わせた。
「おい! 坊主! おすすめはどれだ?」
「は! こちらの、ビーフバーガーでございます。それとフライドポテトのセットがおすすめでございます」
「よし、ならばソレにしよう!」
「果実水とのセットのほうがお買い得ですよ?」 私が言うと
笑いながら「しっかり商売しているな」と少し目の端を下げながら言われた。
「ではそのセットを頂こう」
「ビーフアンドポテトドリンクセット1はいります~」
カウンターの店員が紙にチェックをしながら、厨房にオーダー表を貼っている。
なかなかスムーズに出来ているわ。いい感じ。
「会計をこちらでお願いします」と店員が示すと、
「お、おう…」少しモジモジしながら横にずれ、会計をしている姿が、あまりにも似合わなくて…
あ! ヘンリー様の背中がフルフルしているわ!
シュゼル様の注文の品が出来上がり、店員がトレーを渡す。
「おう」と一言だけ照れくさそうに言いながら受け取り、キョロキョロしている。
「こっちこっち~」とヘンリー様が席で手を振り呼ぶ。
席まで私も一緒に案内し「どうぞお召し上りくださいませ」私が言うと
「お、おぅ」短く小さめな声で言われる。
ヘンリー様が自分の分のバーガーを手に取り、包み紙をめくりそのまま、口に入れると
笑いながらシュゼル様も真似をした。
口からケチャップがはみ出しそうになり、「おっと!」笑いながら口を拭かれる姿を見て、
ヘンリー様が大笑いした。
「お前ぶっころされてぇのか?」
「いえ。決してそのようなことは」
ぷぷぷ… 肩が震えてますが…
頭をポカリと叩かれて怒るヘンリー様と、シュゼル様と殿下の三人の姿を見ていると
ああ。こんな普通の幸せが、みんなにも届くといいなと、改めて思った。
「最後までお読みいただき、ありがとうございます」
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