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64 それぞれの旅立ちと、新たなる始まり

【第三章】完結です。

ここまでお読みいただきありがとうございます。

次回からは【第四章】突入です。二人の愛は?

引き続き応援よろしくお願いします。

「こたつ」の発表から、忙しくなる日々を送り、最近やっと少し落ち着いて来た。

 そして、少しずつ季節は春の訪れをむかえようとしていた。

 まだ、早朝は肌寒く感じるある日の公爵邸では……


「早く湯浴みの用意をして!」

「朝食はどちらに運びましょうか?」

 早朝から、バタバタと廊下を足早に忙しく歩き回る侍女達の姿があった。


「お嬢様、そろそろ起きて下さいよ」

「今日は、みんな大忙しなんですから」

「朝食は、食堂に用意しますよ。今日は」


 ルーシーに急かされる。

 そう、今日の主役は私ではなく……


 フィニーだ。


「フィニーとトムの結婚式」なのだ。


 二人の結婚式はこの公爵邸の庭で行われることになった。



「フィニーとっても綺麗よ」

「奥様……ありがとうございます」

「本当に良く似合っているわ」

「お嬢様ぁ…」

「ダメよ、今泣いたら、化粧が崩れてしまうわ」


「だって……お、エグッじょうさ…」


 目に涙をいっぱい浮かべたフィニーを

 お母様と私の二人で抱きしめる。


「おめでとう。フィニー」

「私達は会場で待ってるからね」

 背中をさすり部屋を後にした。




 庭園の一角には、身内だけで行う式に集まった人達が。


 音楽が流れると同時に拍手が沸いた。


 フィニーをエスコートして、お父様が歩く。

 ゆっくりと赤い絨毯を真っ直ぐ歩いて行く。


 そして、その手は白いスーツを着たトムへと……


 神父様の誓いの言葉を二人が復唱し、

 トムがフィニーに誓いのキスをする。

 フィニーの目には涙が溢れていた。


「綺麗……」


 どこからともなく感嘆の声がし、

 その後大きな拍手が沸いた。


 自然と、殿下の手が私の手を掴んでいた。


 その後、トムはみんなに揶揄われながらも、終始笑顔だった。


「おい! 絶対にフィニーを泣かすんじゃねーぞ!」

「泣かしたら俺がしょうちしねぇぞ」


 ダラスに肩をバシバシ叩かれながらも、嬉しそうに笑うトムを見て

 幸せな気分になった。




 無事フィニーとトムの結婚式を終えた数日後、私は王宮のある一角に来ていた。


 王太子殿下の白の騎士 第一騎士団練習場だ。


 この国には、国王軍の通称「赤の騎士団」と王太子殿下の近衛騎士を中心とした「白の騎士団」と大きくわけて二つある。


 そう、今日はルドルフ様の入団式だ。


 先日、無事入団試験に合格したと言う話を殿下から聞き、是非私も入団式に参列できないか? お願いしたら、許可が下りたのだ。

 入団式に限り親族の出席が認められている。


 ルドルフ様の親族の代理として、グレゴリー大佐と私の出席が認められたのだった。

 グレゴリー大佐と一緒に、参列者の席に座り、ルドルフ様の入場を待つ。



 ラッパの合図と共に、騎士団の制服を着た男性達が次々と入場して来る。


 あ! いた!


 黒髪のルドルフ様は、以前より少し日焼けし、顔もシャープになった気がする。

 元々細身ではあったが、筋肉がついたせいか、ガッチリしたように見える。



 一糸乱れぬ姿で整列した騎士様達はみんな美しく輝いていた。

 王太子殿下が、順番に剣を授ける。

 片膝を付きそれを恭しく受ける姿に見惚れているとグレゴリー様の目の端が赤くなっていた。


 ルドルフ様の前に、兄である王太子殿下カイン様が立つ。

 すっと、片膝を落とし殿下から肩に剣を授かる姿を見て、私も胸がいっぱいになった。


 本当に良かった。


 ルドルフ様のしたことは決して許されることではないかもしれないけれど、その長い葛藤を乗り越えて

 殿下と、この国の為に新しい人生を送って欲しい。


 全員の戴剣が終わり殿下が一言

「諸君、入団おめでとう!」

「この国の為に本日より精進するよう!」

 力強く、声高に発せられた言葉は

 強く、凛々しい騎士の姿だった。


 無事、入団式を終え、騎士様達が来賓席に向かう。

 皆、家族へ挨拶をしている。


 ゆっくりと、ルドルフ様がこちらに向かって歩いて来る。


「大佐、本日はわたくしの為においで頂き誠にありがとうございます」

 綺麗に騎士の礼をとるルドルフ様のお姿は、清々しいお顔をされていた。


 私の前にルドルフ様が視線を移し、すーっと跪く。

「エレナ様、本日は私のような愚輩に、わざわざ御足労頂き、身に余る光栄で御座います」

 恭しく挨拶された。

「どうぞお顔をあげてください、ルドルフ様」と言うと、

「私は貴女様に、会わす顔が御座いません」とそのまま膝をついたままだ。

「今日は晴れの舞台です。ルドルフ様の立派になられたお姿を、お見せ頂くわけにはいきませんか?」

 再度言うと、ルドルフ様がゆっくり立ち上がる。


「申し訳御座いませんでした」立ったまま再度深く頭を下げるその姿は小刻みに震えていた。

 彼の手を取り

「ルドルフ様その思いの償いは、この国の民のため、殿下のためにお使い下さい」

「もう謝らないで前に進んで下さい」と私が言うと

 ゆっくりと顔を上げ、私に視線を移した。


 私がそれに応えるように微笑むと、ルドルフ様はとても綺麗な笑顔を向けた。

 その頬には一筋のあとが、春の柔らかな日差しに包まれ薄く消えて行った。


 グレゴリー様が、ルドルフ様に手を差し出す。

 二人は握手をしたあと、グレゴリー様がルドルフ様を抱き寄せた。


「これからだぞ。お前の人生は。今日が始まりだ」

 低く、そして深く響く声でグレゴリー様が言う。


 良かった。本当に良かったわ。


 ルドルフ様なら絶対に、やり直せるはずだわ。


 きっと、殿下とも……

 

 二人のこれからの行く末に期待し、彼らの新しい人生の始まりを祝った。

















「最後までお読みいただき、ありがとうございます」

続きが少しでも気になると思っていただけましたら、下にある✩✩✩✩✩から作品への応援と、ブックマークをして頂けると、作者は泣いて喜びます。是非よろしくお願いします。


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