06 ハンドクリームを作ろう(3)
お父様にマクレガーさん宛のお手紙をお願いしてから、
今日でちょうど10日がたった。
朝食後、お父様に呼ばれる。
執務室に行くと白い封筒を2通手にしている。
もしや?
「エレナ。マクレガーからの手紙だ。私宛のと、お前宛の物だ。隣国より明日帰国するそうだ。明日の午後ならお前の話を聞いてくれるとのことだが、どうする?」
「ありがとうございます! お父様! 嬉しいです!」
お父様に抱きつく。
「こらこら。まだマクレガーが話を受けてくれると決まったわけではない」
お父様は苦笑いする。
「では明日の午後マクレガーと面会でいいな?」
「はい。お父様よろしくお願いします」
今度は淑女の礼をとる。
「マクレガーとの話し合いには私も参加することになるがいいな?」
お父様は少し強い口調で言う。
「勿論です。工夫の件にしても、お父様にはお手を煩わせることになるかもですもの」
「では、話は以上だ。エレナ無理をしてはいけないよ」
いつもの優しいお父様の声だ。
お父様の執務室を出て、
自室に戻り、急ぎ先程の手紙を読む。
『計画書は拝読しました。大変興味深いお話であり、
我がマクレガー商会におきましても、前向きに検討したく…………。
最後に、
旅先にて丁度良い容器を何点か見つけましたのでサンプルとしてお持ちします。』
と、書いてあった。
流石、大陸一の大商会マクレガー商会長だわ。
エレナは感心する。
エレナは手紙を両手に持ったままベッドにダイブして、そのままゴロゴロ転がる。
「ウフフ。楽しみだわ。あぁ。どんな香りにしようかしら? ラベンダーとバラは必須よね? レモンなどの柑橘系もいいかも? オリーブオイルと蜂蜜も配合して……」
エレナはベッドの上でひとり言をブツブツ言いながらニヤニヤしている。
お茶の用意をしに来ていた侍女のルーシーは、
そんな『大好きなお嬢様』エレナを微笑みながら眺めていた。
「お嬢様。お茶の用意が出来ましたよ」
エレナは「ひゃ!」っとベッドからとび起きた。
「ごめんなさい。気付かなかったわ……」
エレナは頬を赤く染め俯きながら小声で言う。
「お嬢様、最近何だか楽しそうですねぇ」
ルーシーは、にこやかに言う。
「そうなのよ。今はまだ秘密だけど、きっとルーシーも喜ぶと思うわ」
「まぁ!何でしょう!?」
目をキラキラさせてルーシーが言う。
「無事出来上がったら一番にルーシーに見せるわ! 楽しみにしておいてね」
「そんな、私なんかに勿体ないです!」
ルーシーは慌てて両手を頬にあて首を振る。
「いいのよ。これはルーシーのおかげでもあるんだから」
ルーシーは不思議そうに首を傾げて、
「私は何もしておりませんよ?」
少し不安そうに言う。
「楽しみにしておいてね」
再度私が言うと、ルーシーは再度不思議そうに首を少傾げた後
「わかりました。楽しみにお待ちしますね」
笑顔で言った。
「最後までお読みいただき、ありがとうございます」
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