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57 お姉さん

「ただいま戻りました」

「ただいまー」「無事納めてきましたよ」

 男女の声が入口から聞こえた。


「ヘンリーくんじゃない?久しぶり~」

 美人なお姉さんがヘンリー様に声をかけている。


 知り合いかしら ?と小首を傾げたら。


「あら? ヘンリーくんの彼女?」明るい声で言われた。


 え? すかさずヘンリー様が、


「違います! バーバラ女史!」

「この方は、本日見学に来られたんです!」

 少し強めの口調で否定した。


「エレナと申します。本日はお世話になっております」挨拶をした。


 ちなみに、公爵家の娘だと言うことは内緒にしている。もちろん殿下のことも。

 まだ公式に婚約発表したわけではないので、ヘンリー様にも言わないようにお願いしている。


 バーバラと呼ばれた、美人のお姉さまが、

「あら? 珍しいはねぇ。見学? しかも、ヘンリーくんが、わざわざ連れて来るなんて?」

 少し驚いた表情で言われた。


「違いますよ。最初はウチの者が案内に連れ添ったんですけどね…」

 髪の毛ボサボサの「おじさま」に視線をやる。


「あぁ。なるほどね」と美人のお姉さまは納得顔だ。


「それで、俺が代わりに来たんです」


「そっか。それはごめんなさいね。ちょうど今、第一騎士団へ納品に行ってきたところだったのよ」


「ああ、あれ出来たんすか?ありがとうございます!」ヘンリー様がお礼を言う。


「ごめんなさいね。驚いたでしょ? あの人口は悪いけど、性格は悪くないから」

「まあ、人使いは悪いけどね」


「あん?」

「いつまで喋ってるんだ! とっとと仕事しろや!」


「誰のせいで、私が第一騎士団までわざわざ行ったと思ってるんですか?()()()()()?」


「うっせぇなぁ」と言いながら少しモゴモゴと、その後の言葉を濁し去っていった。


「まあ、あんな人だから。気にしないで」美人のお姉さんがウインクした。



「バーバラ女史。この方が『こたつ』の」


「え? あなただったの?」驚いた顔を一瞬浮かべ、おもむろに私の手をガシッと掴んだ。


「あれは素晴らしいわね!」「是非、量産出来るように頑張ってみるから」

「期待してちょうだい!」


 ブンブンと握られた手を振られる。

 イ、イタイんですけど、お姉さま…


「あら、私ったら。ごめんなさいね。つい」

「毎日『こたつ』に入ってるから、つい親しみがわいて」笑顔で言う。


「はぁ」思わず令嬢らしからぬ返事をしてしまう。


 くノ一は今日は流石にいないはず!

 新たなエスパー発見したけどね。

 てか、毎日『こたつ』使ってるのか! まぁ、まだ試作の段階だし販売登録してないから、

 いぃんですけどね…

 量産化に向けての「臨床体験」と思いましょうか…



「でも、あの『こたつ』はダメよねぇ。」「抜け出せなくなるから」笑いながら言う。


「シュゼなんか、毎日あの中で寝てるのよ」ドアの向こうの薬品保管室を見ながら笑う。


 え? おじさん。もとい、大公様も使ってらっしゃるの?

 しかもシュゼって?


 私の顔を見て察したのか? お姉さまが、

()()()()()を、役職や、様付け、なんかで呼んだら、即刻追い出されるから気をつけてね?」

「ましてや、敬称なんかで呼んだりしたら」と笑顔で言った。


 あ! だから追い出されたのね。あの騎士様… 少し申し訳ない気がした。

 後でヘンリー様に、謝ってもらうようお願いしとこう。


「じゃあ、ついてきて案内するから」


「ありがとうございます」


「ヘンリーくんはどうする?」

「もう、私が帰って来たから大丈夫よ?」


「そうっすねぇ。バーバラが居るなら安心かなあ。でも、終わるまで付いとけって言われたしなぁ」


 大丈夫、と私が目配せすると「んじゃ、一旦帰って、また後で誰か様子見によこすよ」


「帰りは俺がまた迎えに来るから」



「ありがとうございます」


「まぁ、凄い過保護ぶりねぇ」

 少しビックリした様子でお姉さま。


「まぁ、色々あって…」ヘンリー様が苦笑いした。


 ヘンリー様に挨拶をし、お姉さまについて、実験室に向かった。


 楽しみだわ。


 ちなみに、この美人なお姉さまは、ヘンリー様の乳母をされていた方の娘さんだそうで、

 ヘンリー様と殿下とは、子供の頃よくお城で遊んでいたそうだ。

 年は、殿下とヘンリー様より2つ上だそうだ。


 小さい頃のヘンリー様と殿下の話を教えてくれて、

 嬉しい気持ちと、複雑な気持ちが入混ざったのは……


 ほんの少しだけ胸がキュンと締め付けられたような気がした。










「最後までお読みいただき、ありがとうございます」

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