54 冬と言えば鍋でしょう
閑話的回です。
箸休め程度にお付き合いください。
新しい展開まで短めに刻みます。
暫くお待ちください。
年の瀬をひかえ、街の様子も何処か慌ただしい。
そんなある日のこと。
若いカップルが、大きな荷物を抱えていた。
「あと、忘れ物はもうない?」
「うん? そうねぇ? 差し入れのワインも買ったし」
「大丈夫だと思うわよ?」
そう、トムとフィニーだった。
少し前から二人は一緒に暮らし始めていた。
一人暮らしのトムを心配し、フィニーがトムの部屋に通っていたのだが、先日の私の誘拐事件から、トムが心配して、フィニーと一緒に暮らしだしたのだ。
メラニー女史からは「婚姻前の男女が…」とお小言を言われてたが、誘拐事件のこともあり、
お父様とお母様も賛成した。
一方市場では「今日はいい品が入ったよ?」
「あら? そうなの?」「これなんかどうだろ?」
「まあ、素敵ねぇ」「これなら、うちの店でも置けるわねぇ」
「今度アンナに相談してみるわ」
「そろそろ時間だから、帰ろうか?」
「そうねぇ」「待たせると悪いしね」
デートだと言うのに、仕事のことで頭がいっぱいの
真面目なアンと、それを優しく見守るジョニーの会話だ。
アンとフィニーは前からだが、この前の「クリスマスパーティー」から
ちらほらと新しいカップルが誕生したのだった。
やはり恋する者達の
『クリスマス・イヴ』だわ。
そして一番の驚きは
なんと!あの! 強面ダラスに彼女ができたのだ!
どこのもの好き…もとい…
アンナのご主人の妹さんだ。
私も紹介されたけど、とても気さくで可愛らしい人だった。
今日は、二人で街に食べ歩きに出掛けたそうだ。
ちょっと覗いて見てみたい気持ちはあるが、そこは我慢した。
うん。みんな幸せそうでなによりだ。
他にも侍女見習いの子達にも、良い話がチラホラと。
うん。みんな青春しているわね。
流石「クリスマス効果!」
そして殿下の周りでも。
驚いたことに、ヘンリー様にも春が来たらしい。
まあ、元々ヘンリー様は、おモテになっていたんだけど。ご本人がなかなか乗り気でなかったらしく
「お前のせいだ」と殿下に抗議したらしいとか?しないとか?
そんな中、私はと言うと…
「エレナ~こっちでいい?」
「野菜足りそう?」
そう、厨房にいるのだ。
そして、料理しているのは、なんと王太子殿下だ。
私不敬罪で処刑されないよね?
驚いたことに、この完璧王子様はなんと料理まで出来るのだ。
イケメンで、しかも料理男子! 高スペック物件だ。
───時は少しさかのぼる
「エレナ~今度の休みは、何処に行きたい?」
「殿下、毎日遅くまで公務でお疲れでしょう」
「次の休みは、お家でゆっくりしませんか?」
「いや? 僕は平気だよ? エレナさえ側に居てくれたら」
「エレナが僕の元気の源だからね」
なんて話をしていて、ふと思いついたのだ。
「そうだ、鍋パだ!」と。
冬の定番。「鍋パーテイー」だ!
殿下に話したら、大賛成で、今日はその準備を二人でしているところだ。
まぁ、殆ど殿下がやっているんだが…
この方、料理の手際も素晴らしく良く、私の出る幕ないのよね。
元主婦の私が邪魔になるぐらい…結構これでも料理は得意だったんだけどなぁ…
軍で遠征の時は、野営することはよくあり、団員は全員料理は出来るらしい。
しかも大人数の料理を短時間で少ない食材で作る強者達だ。
私は、と言えば厨房に椅子を用意され
「エレナは危険だから、そこで見ててね?」と
念を押されたのだった。
ひどくね? 私だって料理のひとつやふたつ…
今日はこれから【第一回鍋パーテイー】の開催だ。
殿下は、酒の肴やら、オードブルやサラダなどまで作っている。
この方本当に何でも出来るのね…
侍女達の手を煩わせるのは申し訳ないので、今日は公爵家の別館で開催することにした。
「最後までお読みいただき、ありがとうございます」
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