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46 決意

 白い天井。ピンクのカーテン。

 白いチェストとデスク。


 思わず自分の手を見る。


 良かった…



 この世界にまだ留まっていたことに安堵する。


 そろそろ起きなきゃね。きっと心配かけてるわ。


 絶妙のタイミングで部屋に近づいてくる足音が、

 ルーシーね、この音はきっと。

 もう、5年かぁ……


 いえ、まだ5年


 この世界に私が来た意味の答えはまだ出てないわ!


 よし! 頑張るぞ! と、気合を入れ直したところで


 ルーシーが部屋に入ってくる。



「お、お、お嬢さまーーーーーーーー」


 涙でグチャグチャだ。


「良かった。本当に良かったです」


「お嬢様が居なくなったら、もう私生きていけません」

 私に抱きつき泣きじゃくるルーシーの背中をさする。


 その声を聞いて、メラニーや、セバスも涙ぐんでいる。


「旦那様と奥様を呼んで来ます!」と、いつになく、小走りで部屋を後にしたセバスを見て、ちょっと驚いた。


 セバスが走る姿見たの初めてかも?と。


 すぐに、お父様とお母様、それに料理長のダラスと庭師のハンスも一緒だ。


「エレナ、痛いところはないかい?」     

「エレナ、顔を見せてちょうだい」

「お嬢様、心配しましたぞ」口々に言う。


「大丈夫」と答えると、いつの間にか、みんなで輪になりクルクルまわっていた。



「平凡で安定した生活」

 そう! これが私が欲しかった物。


 みんなに「ごめんなさい」と謝ると

 みんな泣き出した。

 ありがとうございました。神様…

 嗚呼、私は幸せだ。              




 その後お父様から、フォンターナ侯爵のことや、キンバレーの王子様のことなどを聞いた。

 フォンターナ侯爵は処刑となり、フォンターナ家は取り潰しとなった。

 キャサリン様は平民となり、修道院に行かれることに決まったそうだ。

 キャサリン様には良い思い出はないが、少しお気の毒にも思った。



 そして……


 ルドルフ様については、ご本人が処刑を希望しているとのことだが、

 国王陛下が現在思案中だそうだ。


 実際、ルドルフ殿下は、利用されただけだったのに……



 この国のやり方には、私が口出しすべきでないわね。


 陛下にお任せするしかないわ…

 胸のあたりが少しチクチクしたが、考えないことにした。



「お嬢様。殿下がお見えです」 仕事に戻っていたセバスが、部屋に来た。


 今回は殿下にはご心配をおかけしたものね。今回は仕方ないわ。


「わかりました。応接間にお通しして」とセバスに答える。





「エレナ!」目の端が赤くなっている。


「良かった!」

「もう歩いても大丈夫なのかい?」


「ご心配おかけしました」


「私のせいだ!すまなかった」


「決して許してはもらえないだろうが、一生かけて償うつもりだ!」


 深く頭を下げ、大きな背中が小刻みに震えている。

 

 殿下の靴の先に、一粒の雫が落ちた。


 思わず私は、殿下の両手を取り


「頭を上げて下さい。殿下は何も悪くない!」


「そして私は殿下に助けていただいたのですよ」


「こうして無事に戻ることが出来たんです」


「だからもう謝らないで下さい」「ね?」

 殿下を握る手に力を再度込める。


 それでも、殿下は頭を下げたまま、顔を上げようとしない。

 そして、靴の先には、雫がまた二粒、三粒と…


 胸が締め付けられそうになった私は、無意識のうちに殿下の頭を撫でていた。



 その瞬間、強く手を引かれ抱きしめられた。


「エレナ。愛している。ぶじ、で、良かった…」


 抱きしめながら耳元で囁く声は、か細く震えていた。


 再びギュっと強く抱きしめられて、殿下の体温と、シトラスの匂いに安堵した瞬間


 殿下の柔らかい唇が、私の口にそっと押し付けられた。



 頬に伝う雫が止めどなく溢れ、殿下の白く長い指でそれを優しく拭ってくれた。







 神様がせっかく与えられたチャンス。


 もう逃げないわ… 前に進もう。


 どこまでやれるかわからなけど、やれるだけ頑張ってみよう!





















「最後までお読みいただき、ありがとうございます」

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