43 激震(2)
「陛下! 大変でございます!」
廊下を走りながら、国王陛下の執務室の前で大きな声でドアを叩く男がいた。
「何ごとだ!」と居合わせた宰相ステングレー侯爵が眉を引きつらせ怪訝な顔をする。
「申し訳ございません。緊急事態ゆえ!」
「何ごとだ! 申して見よ!」
国王陛下の低く鋭い声がこだまする。
「バレリー海峡にて、多数の戦艦あり!」
「なんだとぉ?! それは、誠か!」
「先程、潜らしていた密偵からの連絡が」
「間違いないのか?!」
「はい。その数30隻には上るとのこと!」
「なんだと? いつの間に?」
「帝国か? それとも、キンバレーか?」
(この国の北部はバレリー海峡を挟み海の向こうにキンバレー王国、西側には大帝国アルバニア帝国、東側は、小さな国々で囲まれていた。
東側諸国とは、友好条約を結び現在は争いはない。アルバニア帝国とは先の大戦で、我が国は侵略に一歩も引かず、その後和平を結び良好な関係を築いていた)
「いえ。まだそこまでは」「船影を先程確認して、直ぐに報告に参りました」
「ご苦労であった」
「宰相! 今すぐ兵の用意を!」
「急ぎバレリーに向かわせろ!」
「それと、急ぎ、フォンターナに連絡を!」
「は! 直ちに!」
───その頃フォンターナ領の領主邸では
「フオッ、フォッ、フォォ」「計画通りよのぅ? キンバレー王子」
「本当にそのほうに協力したら、我を王にしてくれるんだろうなぁ?」
「もちろんでございますよ。キンバレー王様」
「それに、ついでに、あの女もお付けしましょう」
「それは、誠か?」
「ええ、妾にでも、愛人にでも、いっそ?奴隷にでも? 王の好きなようにされてはいかがですか?」
「ほぅ~まだ15歳と聞いたが?」
「左様でございます。まだ男を知らぬ生娘でございますよ」
「王もきっとお喜びなされるはずでございます」
「わかった。下がれ」
「では、失礼いたしますね。キンバレー王様」
「ふん、傀儡が…生意気に」
「まぁ良い、キンバレーごと儂の物じゃ」
「フォッ、フォォ、フォ」
「父上なぞが英雄? バカバカしい!」
「忌々しいわ」
ガシャン!
男は壁に飲みかけのワイングラスを投げつけた。
「そろそろ殿下にも消えてもらわねばな…」
「蜜を撒いたら、もうあやつも用はないわい」
顎の髭を撫でまわしながら男は、いやらしい笑いをした。
「さて、儂もそろそろ向かうかのぅ」
「迎えの船が来たころか?」
と、呟きながら、白い丸々と太った猫の背中を撫でながら、男は目を細めた。
───「起きたか?」
「やはり薬を盛ったんですね?」
「酷いなぁ、顔色が悪かったから、ほんの少しだけ眠くなる薬を混ぜただけですよ」
「その証拠に、顔色が良くなっている」
黒髪の男はゆっくり近づいて来て、私の髪に触れようとした。
その時、外で
ドーン! っと大きな音が鳴り響いた。
「何?」
「そろそろ時間みたいだね」
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