33 息子の為には
デビュタントを終え、正式に『エレガンス』『トレ・ゾール』の登記を私の名義に変更した。
出来立ての「登記書」を見て、感慨深い気持ちになる。
あの日、初めてこの世界に来た時、小さくなった自分の手を見て、驚愕と押しつぶされそうになった不安の日々から、早5年。
まさか二つもの、特許権を得ることが出来るなんて。
想像もしなかったわ。
「私の周りの大切な仲間に、改めて感謝しなきゃ」
「お嬢様。お手紙が来ておりますよ」
セバスチャンが手紙の束を持ってくる。
もうセバスチャンで良くない?いやダメか…ゴメンヨ サバスいや違うな…
デビュタントの日以来、沢山のお茶会の誘いの手紙や、縁談の申し込みの手紙が毎日のように届くようになっていた。
15歳で、お見合いとか…
前の世界の常識では考えれないわ。まだ男も女も顔にニキビの日焼け顔の子供。
婚約なんてありえない…
でも、こっちの世界の15歳ってお顔ツヤツヤ、男性は背も高く随分大人びて見える。
文明の遅れは著しいのに、発育は凄く発展しているのね。
「いつものようにお願いしていい?セバス」
「承知いたしました」
お父様とセバスに任し、縁談のお話は全てお断りするようにしている。
「ですが、お嬢様。こちらは…」と、赤いバラの封蝋が施された、豪華な封筒を手渡される。
差し出し人は「マーガレット・ローザリア・グレンシード」
王妃殿下だ。
「お茶会の誘い」だった。
「これ行かないといけないよねぇ?」
セバスは満面の笑みだが無言だ。
断っちゃダメなやつよね? 怖くて聞けない……
「新しいドレスをご用意しないとですね」赤レンジャーこと、メラニーの声が。
どっから現れた! アンタは、くノ一か!と心の中で呟く。
心の声が聞こえたのか?私の表情に出たのか?
「お嬢様のお姿は、何処にいらっしゃっていても、確認できておりますよ?」
ニッコリと微笑まれた。
完全撃沈だ。敗北感で脱力した私に、追い打ちをかける。
「お嬢様、直ぐに出席のお返事の手紙をお書き下さいませね」「今直ぐにですよ!」
やっぱり断るのはダメ? って聞ける勇気は今の私にはまだない…。
「NOと言えない〇本人」健在だ。
───その頃王宮では
王妃様の一室で、優雅にお茶を飲む、王妃殿下の姿があり、
「息子のフォローは母親の務めですものね」
「ウフフッ」朗らかな笑い声が聞こえていた。
「楽しみだわ」
「忙しくなるわね」「ウフフッ」
「あら、大変!私ったら、娘に渡す大事なお土産の用意をするのを忘れていたわ」
「いそがなくっちゃ」頬に手をあてて
少女のように、クルクルと表情が変わる国母の姿があった。
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